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本編68
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そうだ。きっとここから出てしまえば、女に興味を持つはずだ。ゲオルクは分からないが、少なくともザームエルは男のソーマよりも女のほうが良いに決まっている。
二つも年下だというのに、あの超絶技巧は相当遊んでいるはずだ。王宮に戻ったらまた、夜な夜な宮中の女性たちの部屋を渡り歩くに違いない。
そのはずだ……それが望ましい……はずなのに、どうしてだろうザームエルが他の女を抱いているところを想像しただけで胸が締め付けられてしまう。できればここにいる間と同じように、自分に愛を囁き、たっぷりと抱いて欲しくなる。
(いやいや、男に抱かれて悦ぶとかおかしいから!)
自分は女の子を抱きたいのであって、男に抱かれたいわけではない。そう何度も自分に言い聞かせても、ザームエルが離れると思うだけで悲しくなってしまう。何も知らないソーマに様々な快楽を与えたからだろうか。今はただそれを失うのが嫌なのだろうか。
「それはない。魔法が効いているのはあの洞窟だけだよ。彼に直接魔法をかけていなければ、この館まで魔法の効果は及ばない。」
「そうなの? じゃあザームエルの言っていることは……」
「王子の本心だろうね。おや、随分と嬉しそうだね、ソーマ」
「別にそういうわけじゃ……」
「それでいいんだ。竜は愛されることで力を得るからね。人間からたくさんの愛情をもらえればそれだけ強くなる。そういう生き物だ」
「愛情? じゃあ食べなくてもお腹が空かないのはそのせいなんだ」
「愛情が多ければ、食事を摂らなくても生きていけるさ。ただし……」
ユリウスがそっと耳に顔を寄せてきた。
「体液をたっぷりと注いでもらうことが条件だけどね」
「それって……」
もしかしなくても、ソーマは今ユリウスに向かって、たっぷりと犯されてますと宣言したようなものである。
「息子を愛してくれている人が二人もいるなんて、父さん……あ、母さんか。まあどっちでもいいや。僕は嬉しいよソーマ。あの二人がソーマの恋人なら、二人とも王都に連れていこう」
「あ、でもっ!」
いくら母親公認でも親の前でこの館でしていたような生活はできない。だって、毎晩していたし、ゲオルクが加わってからはもう朝から晩まで、食事をする以外ほとんどしてます状態だ。そんな淫らな生活を他の人に知られたくない。
「三人でここに残るほうが良いのかい」
「それもちょっと……」
腹が空かない代わりにずっとベッドに縛り付けだ。そんな生活はどう考えても淫蕩すぎるだろう。
「……ソーマはどうしたいんだい」
「えと……王都には行きたい。でもちょっと休んでからでもいいかな。その前に二人を王都に戻してあげて。ザームエルもゲオルクも王都で仕事があるんでしょ。僕は落ち着いたら自分で王都に行ってお……父さんの家を訪ねるから」
「分かったよ。では外にいる二人を連れて先に王都に行っているね」
「王都に着いたら宰相の屋敷と言えば、誰もが知っている。家の者にはよく言っておくからいつでも来なさい」
「うん……」
これでしばらくは一人になれる。その間に魔法の効果が効かない女の子を探して脱童貞を目指すんだ!
ソーマはリビングから出ていく二人を見送った。
そしてすぐに、竜の館は静寂へと包まれソーマ以外誰もいなくなったのだった。
二つも年下だというのに、あの超絶技巧は相当遊んでいるはずだ。王宮に戻ったらまた、夜な夜な宮中の女性たちの部屋を渡り歩くに違いない。
そのはずだ……それが望ましい……はずなのに、どうしてだろうザームエルが他の女を抱いているところを想像しただけで胸が締め付けられてしまう。できればここにいる間と同じように、自分に愛を囁き、たっぷりと抱いて欲しくなる。
(いやいや、男に抱かれて悦ぶとかおかしいから!)
自分は女の子を抱きたいのであって、男に抱かれたいわけではない。そう何度も自分に言い聞かせても、ザームエルが離れると思うだけで悲しくなってしまう。何も知らないソーマに様々な快楽を与えたからだろうか。今はただそれを失うのが嫌なのだろうか。
「それはない。魔法が効いているのはあの洞窟だけだよ。彼に直接魔法をかけていなければ、この館まで魔法の効果は及ばない。」
「そうなの? じゃあザームエルの言っていることは……」
「王子の本心だろうね。おや、随分と嬉しそうだね、ソーマ」
「別にそういうわけじゃ……」
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「愛情? じゃあ食べなくてもお腹が空かないのはそのせいなんだ」
「愛情が多ければ、食事を摂らなくても生きていけるさ。ただし……」
ユリウスがそっと耳に顔を寄せてきた。
「体液をたっぷりと注いでもらうことが条件だけどね」
「それって……」
もしかしなくても、ソーマは今ユリウスに向かって、たっぷりと犯されてますと宣言したようなものである。
「息子を愛してくれている人が二人もいるなんて、父さん……あ、母さんか。まあどっちでもいいや。僕は嬉しいよソーマ。あの二人がソーマの恋人なら、二人とも王都に連れていこう」
「あ、でもっ!」
いくら母親公認でも親の前でこの館でしていたような生活はできない。だって、毎晩していたし、ゲオルクが加わってからはもう朝から晩まで、食事をする以外ほとんどしてます状態だ。そんな淫らな生活を他の人に知られたくない。
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「それもちょっと……」
腹が空かない代わりにずっとベッドに縛り付けだ。そんな生活はどう考えても淫蕩すぎるだろう。
「……ソーマはどうしたいんだい」
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「分かったよ。では外にいる二人を連れて先に王都に行っているね」
「王都に着いたら宰相の屋敷と言えば、誰もが知っている。家の者にはよく言っておくからいつでも来なさい」
「うん……」
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