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本編53

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「この者はお前の知己か?」

「幼馴染なんだ」

「ソーマは俺と結婚の約束をしている。いわば婚約者だ」

 嘘ではない。嘘ではないが、違うと大声で叫びたい。ソーマが結婚したいのは、あくまでも女だ。男ではない。

「なんだ、婚約しただけ、か。元婚約者は早々にここから去れ。ここは私とソーマの愛の巣だ、何人たりとも足を踏み込むことは許さぬ」

 まるで自分の領地のように言うが、あくまでもここは竜の館であり、現在の持ち主は竜王たるソーマである。なのに、ザームエルのほうがまるで所有者然としていた。

「消えるのはお前の方だ、第五王子ザームエル。俺のソーマを返してもらう」

 しゃがんだままのソーマの腕を取ろうとするゲオルクの手を、ザームエルは跳ねのけた。

「何度も言っているだろう。ソーマは私の妃だ。我が妃に気安く触るでない」

「それはお前の妄想だ。四年前からソーマは俺の物だった。そうだろう、ソーマ」

「例えそうだとしても、今は私のものだ。この身体に愛を教えたのは私なのだから……」

「んっ……ちょっと……ザームエルっ!」

 ザームエルはソーマを後ろから抱き起すと、露になっている首筋をねっとりと舐め上げた。銀色の艶やかな髪に隠れていた耳を、その上から甘噛みする。

「ぁっ……だめっ……んんっ」

 ゲオルクが目の前にいるのに、突然始まった愛撫にソーマは小さな抵抗を試みながらも、身体も唇も甘い反応を返してしまう。

 服の上から胸の飾りを弄りながら、そこにソーマの意識を集中させている間にズボンの紐を外していく。

「だっ……めぇ…ぁぁっ」

「ソーマは我が妃だ、だからこの手を拒めぬのだ」

 違う、快楽に弱いだけだ!

 叫びたいのに唇から零れるのは甘い啼き声だけ。勝手にスイッチが入った淫らな身体はもっとして欲しいとばかりにザームエルの欲望に腰を擦りつけてしまう。

「なんだ、この者に見せつけようというのか……それもまた一興だな」

「ちが……ぃぃっそれもっとぉ」

 残滓で濡れる蕾を割り開かれ指が潜り込んでくると、もうソーマは快楽を追いかけることだけに頭がいっぱいになってしまう。目の前にゲオルクがいることも、ここが館の外だということも頭から飛んでしまう。

 しかも、外でするのは初めてではない。ザームエルがその気になれば、泉の側だろうが畑の畑の横だろうが、動物たちの前だろうが関係なかった。そんな生活を半月も続けてきて、ソーマも良識がどこかおかしくなってきていた。

 腰が立たないくらいしたばかりだというのに、欲しがりな蕾は悦んでザームエルの指を迎え入れ、たっぷりと解されては、もっと確かな熱の到来に期待し収縮する。

「もう私のものが欲しいのか、ソーマ」

「ぁぁ……ほしぃ」

「すぐに与えよう。愛しているぞ、ソーマ」

 愛を囁きながら、ザームエルは立ったままのソーマを後ろから貫いた。
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