異世界に転生したら王子と勇者に追いかけられてます

椎名サクラ

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本編39

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「まだだ、ソーマ。もっと気持ちよくなることを知っているだろう。今は堪えるんだ」

「ゃっ……早くほしぃよぉぉ」

 もっと気持ちよくなりたい。もっと狂いたい。もっともっと確かな刺激が欲しい。

 ワガママな身体がそればかりを求めて、ソーマをおかしくさせた。

 分身を弄られたらすぐに達ってしまうのが分かっているザームエルは、巧妙に刺激を反らしてソーマを狂わせる。

「ザームエル……お願い……」

「まだだ、ソーマ。夜は始まったばかりだろう」

「でもっ!」

「今日はもっと気持ちいいことをしてやる。だからそれまで待て」

「もっと……気持ちいいこと?」

「そうだ。淫らなソーマがもっと狂うほど気持ちいいことだ」

 今でも狂ってしまうのに、もっと気持ちいいこととはなんだろう。

 期待にまた分身が膨れ上がり、透明な蜜を零していく。それを腹部に感じてザームエルは王子らしからぬ策略家の笑みを浮かべた。

 白い肌に所有の証を残しながら、身体を下ろしていく。もうソーマの肌はどこもザームエルの所有の証でいっぱいだ。ザームエルもここまで独占欲丸出しに跡を残した相手がいないほど、ソーマの肌のどこもかしこも跡を付けていった。それほどまでに彼もソーマへの独占欲に駆られている。

 その白い肌に自分の跡がないことが許せないほどだ。

 消えれば付け、新たな跡を残す。そしてザームエルもまた満たされる。ここにソーマと自分二人しかいないと解っていても、誰かに奪われるのではないかという焦燥が常に付きまとっている。ソーマが淫らになればなるほど、自分以外に取られやしないかと思い始める。

 宮中の女官の誰にも抱いたことがない感情だ。

 恋とは、その場限りの遊びで、自分の後に誰が抱こうが興味なかった。その一瞬を楽しめれば満足で、むしろ一人に執着するのではなく多くの女人の間を渡り歩くのが、夜の帝王の真の姿であると信じてさえいた。自分が訪えぬ間に誰を招き入れその身を慰めようが気にしたこともなかった。

 だがソーマは違う。

 自分以外の者がその身を抱くのを想像するだけで、感じたことがないほどの嫉妬を覚える。こんなにものめり込んだのは初めてで、だから一層、余すことなく快楽を与え、自分に溺れさせたいのだ。
 そして今日は、今までと違うことをする。

 このひと月、ずっと堪え続けていたことをようやく果たすのだ。

 その瞬間を想うと、本当はザームエルにも余裕などない。

 だが、みっともない姿を見せたくないのは、男の性で、相手が愛するものなら尚のこと。

 たっぷりと肌を食み、身体を下ろし自分を求めて震える分身へと辿り着く。ちょっと弄られるだけですぐに果てるそれを慎重に舐め、さらに昂らせながら、そっと最奥の蕾に指を這わせた。
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