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本編35
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呟くと、ザームエルはソーマの夜着を大きくはだけさせた。ピンと天を向く細い身体に見合った小ぶりな分身を掴むと、先端をたっぷりと撫でまわした。
「ゃぁぁ、ぁぁっ!」
腰が勝手に跳ねる。もっとと言うように両手でザームエルの右腕を掴み、何度も何度も腰を擦り付ける、モジつかせる。その嬌態に夜の秘め事に慣れたザームエルも、無意識に唇を舐め、唾を飲み込んだ。
何も知らないはずなのに、娼婦のように誘われてはザームエルの興奮も高まる。
口づけながら強く分身を扱いていけば、そのたびに甘く可愛い声を聴かせてくれる存在に、初めてその美しい姿を見た時よりもずっとのめり込んでいった。
細くしなやかな手足を艶めかしくくねらせるソーマの姿が、今まで褥を共にした誰よりも魅惑的だ。
初めて人の姿を見た時は、銀色の髪に同じ色の瞳、透き通るほどに白い肌に、心を奪われた。女神のように美しく、妖精のようにミステリアスだった。目が大きいわけでも色っぽい仕草をされたわけでもないのに、妙に目を奪われるのだ。一目見たら、離せなくなり、頭の中がソーマのことでいっぱいになってしまう。彼のすべてが欲しくなり正気でいられない状態になった。だがそれは美しい美術品を得たいような、そんな感覚で今は全く違う。生身の反応を得て、そのすべてが欲しくなる。
話し、共に食事をし、そして褥での遊戯を繰り広げればそれだけ、無垢な心も、美しいまでに身体もすべて掌中に収めたくなる。彼の傍を離れるという選択肢を何度も示されたが、王都よりも何もないここが、彼の隣の場所がどこよりも魅力的に感じる。
そして今、嬌態を目の当たりにして、憑りつかれたように彼を犯すことばかりしか頭になかった。
甘い啼き声を上げ続ける唇が、もっと強烈な快楽を知ったらどんなに美しく啼き続けるだろう。
知りたくて、分身を握りしめる手の動きを速めた。単調にならずにリズムを変え、弱い場所を見つけてはそこを執拗に弄り続けた。
「ぁぁっ! も……だめぇぇぇぇっ」
身体をくねらせながら善がる様を目の当たりにしては、もう止まらない。
性的なことを何も知らないはずなのに、これほどまでに快楽に溺れる様は、男女(または男男)の恋の駆け引きに慣れた宮中の人々の演技がどこまでも滑稽に思えてくるほどだ。今までの自分がしてきたことが、子供の遊びのように思えてくる。
ソーマを溺れさせることこそが、本当の愛だ。
面白おかしく、小手先だけの恋などまやかしでしかなかったのだ。
どこまでも快楽に溺れさせ、心も身体も自分に溺れさせたい。
善がり狂う様をたっぷりと瞼に焼き付け、手の動きを大胆に、絶頂へとむけて動かしていく。
「ひぃっ……ゃぁぁぁぁぁぁっ!」
絶頂を迎えるソーマの表情に、ザームエルの欲望ももうはちきれんばかりになっている。
「ぁ……んんっ」
余韻に震えるソーマの下肢は震え、細い脚は間に入っているザームエルの腰を甘く締め付けていく。
ごくりと唾を飲んだ。乱れた夜着を纏っただけで弛緩する姿にもう我慢できない。
だが、ここには繋ぐための道具があるのだろうか。
鎧を脱ぐといつも持ち歩く香油は、残念ながらここにはない。だが耐えられない。少し痛い思いをさせてしまうが……だがソーマはきっと初めてだ。男同士どころか、こんなにも敏感ということは、あまり弄っていない可能性がある。ということは、女生徒の経験も浅いのかもしれない。もしくは、したことがないかも……。
自分がすべて初めてになるのかと思うと、このまま欲望に任せていいのか、決行を躊躇ってしまう。
でも我慢できない。
ちょっとだけ……先なら……。
悶々としている間に、ザームエルの耳に心地よい寝息が届いた。
「え?」
まさか……。
下肢ばかりを見つめていた目線をあげれば、さっきまでの艶やかさなど嘘のように、可愛らしい寝顔がある。
「そんな……」
ではこの下半身でいきり勃っている欲望をどうしろというのだ。まさか数年ぶりの右手での処理となるのか。しかし、ここにいるのはソーマと自分だけ。そのソーマは犯しがたいほどにスヤスヤと心地よい眠りの中にいる。
「さすがに無理……だな」
寝ている人を犯すなど、騎士の名折れだ。人の道を外してはならない……一応騎士なのだから。
「ぐっ……」
ザームエルは本当に何年振りかになる自慰にふけるしかなかった。
「ゃぁぁ、ぁぁっ!」
腰が勝手に跳ねる。もっとと言うように両手でザームエルの右腕を掴み、何度も何度も腰を擦り付ける、モジつかせる。その嬌態に夜の秘め事に慣れたザームエルも、無意識に唇を舐め、唾を飲み込んだ。
何も知らないはずなのに、娼婦のように誘われてはザームエルの興奮も高まる。
口づけながら強く分身を扱いていけば、そのたびに甘く可愛い声を聴かせてくれる存在に、初めてその美しい姿を見た時よりもずっとのめり込んでいった。
細くしなやかな手足を艶めかしくくねらせるソーマの姿が、今まで褥を共にした誰よりも魅惑的だ。
初めて人の姿を見た時は、銀色の髪に同じ色の瞳、透き通るほどに白い肌に、心を奪われた。女神のように美しく、妖精のようにミステリアスだった。目が大きいわけでも色っぽい仕草をされたわけでもないのに、妙に目を奪われるのだ。一目見たら、離せなくなり、頭の中がソーマのことでいっぱいになってしまう。彼のすべてが欲しくなり正気でいられない状態になった。だがそれは美しい美術品を得たいような、そんな感覚で今は全く違う。生身の反応を得て、そのすべてが欲しくなる。
話し、共に食事をし、そして褥での遊戯を繰り広げればそれだけ、無垢な心も、美しいまでに身体もすべて掌中に収めたくなる。彼の傍を離れるという選択肢を何度も示されたが、王都よりも何もないここが、彼の隣の場所がどこよりも魅力的に感じる。
そして今、嬌態を目の当たりにして、憑りつかれたように彼を犯すことばかりしか頭になかった。
甘い啼き声を上げ続ける唇が、もっと強烈な快楽を知ったらどんなに美しく啼き続けるだろう。
知りたくて、分身を握りしめる手の動きを速めた。単調にならずにリズムを変え、弱い場所を見つけてはそこを執拗に弄り続けた。
「ぁぁっ! も……だめぇぇぇぇっ」
身体をくねらせながら善がる様を目の当たりにしては、もう止まらない。
性的なことを何も知らないはずなのに、これほどまでに快楽に溺れる様は、男女(または男男)の恋の駆け引きに慣れた宮中の人々の演技がどこまでも滑稽に思えてくるほどだ。今までの自分がしてきたことが、子供の遊びのように思えてくる。
ソーマを溺れさせることこそが、本当の愛だ。
面白おかしく、小手先だけの恋などまやかしでしかなかったのだ。
どこまでも快楽に溺れさせ、心も身体も自分に溺れさせたい。
善がり狂う様をたっぷりと瞼に焼き付け、手の動きを大胆に、絶頂へとむけて動かしていく。
「ひぃっ……ゃぁぁぁぁぁぁっ!」
絶頂を迎えるソーマの表情に、ザームエルの欲望ももうはちきれんばかりになっている。
「ぁ……んんっ」
余韻に震えるソーマの下肢は震え、細い脚は間に入っているザームエルの腰を甘く締め付けていく。
ごくりと唾を飲んだ。乱れた夜着を纏っただけで弛緩する姿にもう我慢できない。
だが、ここには繋ぐための道具があるのだろうか。
鎧を脱ぐといつも持ち歩く香油は、残念ながらここにはない。だが耐えられない。少し痛い思いをさせてしまうが……だがソーマはきっと初めてだ。男同士どころか、こんなにも敏感ということは、あまり弄っていない可能性がある。ということは、女生徒の経験も浅いのかもしれない。もしくは、したことがないかも……。
自分がすべて初めてになるのかと思うと、このまま欲望に任せていいのか、決行を躊躇ってしまう。
でも我慢できない。
ちょっとだけ……先なら……。
悶々としている間に、ザームエルの耳に心地よい寝息が届いた。
「え?」
まさか……。
下肢ばかりを見つめていた目線をあげれば、さっきまでの艶やかさなど嘘のように、可愛らしい寝顔がある。
「そんな……」
ではこの下半身でいきり勃っている欲望をどうしろというのだ。まさか数年ぶりの右手での処理となるのか。しかし、ここにいるのはソーマと自分だけ。そのソーマは犯しがたいほどにスヤスヤと心地よい眠りの中にいる。
「さすがに無理……だな」
寝ている人を犯すなど、騎士の名折れだ。人の道を外してはならない……一応騎士なのだから。
「ぐっ……」
ザームエルは本当に何年振りかになる自慰にふけるしかなかった。
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