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最悪の日

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 俺は平井春

 親には春のように朗らかな心の子になってほしいという願いを込められてこの名前が付けられたが、実際にはどうだろうか

 俺には自分のことを客観視して評価などできっこないが、まあ普通に善い子に育ったと思う

 運動神経も学力も人並みにはよく、比較的まじめな性格だ

 だが、唯一大きな欠点があるとすれば、就職先がブラックだったことだろうか

 週休二日、残業基本なし、残業代もしっかりと出ると謳っていて、職種も俺の興味のあった音楽関係でこれ以上なかった

 それが入った初日から残業、20連勤

 はじめは会社なんてそんなものかな、仕事に慣れれば帰れるようになるのかな、なんて思っていたがそこで本当は気づくべきであった
 
 というか気づかないふりをしていたのかもしれない、同じ会社の社員も誰も帰っていないことに

 労働基準監督署に言いに行こうと何度も思ったが、そんなことをする暇があったら、一秒でも多く寝たいと思うほどにつかれていたため、言いに行かなかった

 でも噂では労働基準監督署に言いに行った社員は一週間後に行方不明になっていたらしい

 つくづく言いに行かなくてよかった

 もちろんストレスと疲労は溜まる一方でついには、出勤中の車の中で気を失って事故死した

 どうやらその時、人を轢き殺していたらしい

 そして今は、天界とかいう場所で生前裁判を受けているところである

 どうやらここの判決で来世が決まってくるらしい

 『汝、平井春の判決を言い渡す。その殺人の残虐性、計画性より、逆楼の監獄最下層9646階層へ1万年の投獄。』

 (残虐性?計画性?確かに人は殺したらしいが、計画性も何もないぞ。)

 「質問よろしいd…」

 『さっさと出ていけこの大犯罪者。一万人も殺しておいていまさら何を言うのだ。むしろ1万年で済んだことに感謝しろ。』

「1万人!?何かの間違えd」

 俺は聞く耳の持たない裁判官に指示された、甲冑を着た屈強な兵士に両脇を抱えられて、強制的に退出させられる

 俺のじたばたとした抵抗もむなしく、赤子の手をひねるかのようにして、抑え込まれた

 そんな中、俺の耳には聞こえるのであった

 『次!汝、哀川銀の判決を言い渡す。判決は来世で平民になる刑。人を殺してしまったとはいえ、過労で気を失っていた時の事であり、故意でないため、大幅に減刑された。感謝しろ。』

「ふっ。なぜだかわからんが、1万人も殺したのに全然求刑されなかったな。ラッキーラッキー。来世でも人を殺せればいいな。実人に楽しみだ。」

 そう、俺は判決を間違えられ、見当もつかないくらいの刑を与えられたのだった

 1万年である

 逆楼の監獄っていうのが何かはわからないが、どう考えてもやばいとわかる

 しかもそこの最下層らしい

 最下層のほうが快適だなんてわけはない

 これは、俺が中学生の時の流行った小説では鉄板であり、たぶん間違っていないだろう

 これからどうしたらいいのだろうか

 そう思った俺は気づけば意識を失いかけていた、転生の時が来たらしい



―逆楼の監獄-
そこはどこまでも深い地下に伸びる神代の牢獄

 起こした悪事が重ければ重いほど深い下層に投獄されるといわれている

 いかなるものもここに投獄されれば決められた服役期間が過ぎるまで出ることはできず、それはこの牢獄を作った最高位の神であっても同じであった

 最下層にはこの世界の神々を皆殺しにしかけた堕神がいるといわれているが真相はどうなっているのか、知る者はいない

 現在では悠久の時が経ち、世界最恐のダンジョンとして名を轟かせている

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