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57『友子の夏休み 東京・3』
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RE・友子パラドクス
57『友子の夏休み in 東京・3』
「ヌフフ、薬漬けにしてマカオあたりに売り飛ばしてもよかったっすね……」
友子が沈んだあたりの海面を見つめながら手下が笑う。
「自分のモノにしたあとにだろ、変態ヤローが」
女の手下は容赦がない。
「王清香の娘だ、どんなオマケがついているか知れやしねえ。始末するしかねえのさ」
友子のハッタリを信じている朱元基は、一口吸っただけの煙草を、海に投げ込んだ。
ポン! パチパチパチ……!
すると海に落ちるまでに爆竹のような音がして、空中に文字が現れた
―― このお礼は百倍返し! 王清娘 ――
ヒエーーー(,,꒪꒫꒪,,)!!
花火の文字がうかびあがり、朱元基たちは、オゾケをふるってキャビンに戻った。
友子は、海底に着くと、コンクリートの固まりを足に着けたままドルフィンキックで船を追いかけた。そして、船底に近づくと、勢いを付け十万馬力の力で船底を蹴り上げた。
ドッカーーーーーン!!
―― 大変だ、機関室に浸水! すごい勢いだ! ――
機関長は船内電話で叫ぶと、さっさと機関室を放棄した。
衝撃音で、みんな気づいてはいたが、それからの展開までは読み切れなかった。
「機関室はロックしてきただろうな。あそこだけなら沈没することはねえ!」
「そこにぬかりはねえ。海保が来る前にヘリ呼んで、ブツだけでも運び出そうぜ」
「陳頼、ヘリを……」
ドッカーーーーーン!!
朱元基が命じきる前に、今度は右舷側に衝撃を感じ、船はゆっくりと傾いていった。
「王精香の娘のタタリだ(;'∀')!」
気の弱い手下がパニックになり、図体がデカイので手が付けられない。
「この薬を飲みな、気分が落ち着く」
「す、すまねえ、アネサン」
その手下は、数秒で落ち着いて海に飛び込んだ。
「あのバカ、カナヅチなんだぜ」
救命具を投げてやったが、届かなかった。その間に残りの手下は救命胴衣をつけ、女の手下から薬をもらっていた。
「ボス、あんたも」
「オレは海には強いんだ。それより、あの絵を……み、見あたらねえ(;゚Д゚)!」
絵は、友子が海に投げ入れられたとき、原子にまで分解されていた。
「早くしな! もうもたないよ、この船は!」
仕方なく、朱元基は海に飛び込んだが、その瞬間、首に微かな痛みを感じた。だが、とにかく沈み行く船に巻き込まれるので、船から離れることに懸命だった。
友子は、海上にに姿を現して脅かしてやろうとも思ったが、陸(おか)を目指して泳いだ。
なんせ、船内で下着まではぎとられている。ヨットハーバーに泳ぎ着くと、無人のクルーザーを選んで乗り込み、シャワーを使わせてもらい、とりあえず着る物を拝借し、そのまま家を目指した。
「お帰り、あら、服が替わったのね?」
母であり義理の妹である春奈が聞いた。
「ああ、工事現場の横通ったらペンキの缶が落ちてきて。で、借りてきちゃった」
「え、ペンキぃ! もうおしゃかでしょ!?」
――しまった、あれは春奈が買ってくれたお気に入りだった( ゚Д゚)!?――
クルーザーの中で分子変換して再生しておけばよかったと思った。春奈の記憶を上書きして服など買ってもらわなかったことにもいいのだが、それはできない。あれは期末テストで不注意に全教科100点をとった記念に買ってくれたものだった。春奈は、日常はほとんど義体であることを忘れて、ほんとうの娘のように接してくれている無下には出来ない。
テレビを点けると、さっそくニュースになっていた。
悪のご一統さんは、なぜか、みんなヘロイン中毒で、事情聴取もできないようだ。あの女の薬と朱元基に刺した注射のせいだと思われた。
ただ、ボスの朱元基よりも偉そうだった女の手下が発見されていないことが気になった。
――あたしにも心を読ませないなんて、たいしたやつね……ま、いいや――
夏休みも、とっくに後半。あとは、当たり前に女子高生をやってみようと思う友子であった。
☆彡 主な登場人物
鈴木 友子 30年前の事故で義体化された見かけは15歳の美少女
鈴木 一郎 友子の弟で父親
鈴木 春奈 一郎の妻
鈴木 栞 未来からやってきて友子の命を狙う友子の娘
白井 紀香 2年B組 演劇部部長 友子の宿敵
大佛 聡 クラスの委員長
王 梨香 クラスメート
長峰 純子 クラスメート
麻子 クラスメート
妙子 クラスメート 演劇部
水島 昭二 談話室の幽霊 水島結衣との二重人格 バニラエッセンズボーカル
滝川 修 城南大の学生を名乗る退役義体兵士
57『友子の夏休み in 東京・3』
「ヌフフ、薬漬けにしてマカオあたりに売り飛ばしてもよかったっすね……」
友子が沈んだあたりの海面を見つめながら手下が笑う。
「自分のモノにしたあとにだろ、変態ヤローが」
女の手下は容赦がない。
「王清香の娘だ、どんなオマケがついているか知れやしねえ。始末するしかねえのさ」
友子のハッタリを信じている朱元基は、一口吸っただけの煙草を、海に投げ込んだ。
ポン! パチパチパチ……!
すると海に落ちるまでに爆竹のような音がして、空中に文字が現れた
―― このお礼は百倍返し! 王清娘 ――
ヒエーーー(,,꒪꒫꒪,,)!!
花火の文字がうかびあがり、朱元基たちは、オゾケをふるってキャビンに戻った。
友子は、海底に着くと、コンクリートの固まりを足に着けたままドルフィンキックで船を追いかけた。そして、船底に近づくと、勢いを付け十万馬力の力で船底を蹴り上げた。
ドッカーーーーーン!!
―― 大変だ、機関室に浸水! すごい勢いだ! ――
機関長は船内電話で叫ぶと、さっさと機関室を放棄した。
衝撃音で、みんな気づいてはいたが、それからの展開までは読み切れなかった。
「機関室はロックしてきただろうな。あそこだけなら沈没することはねえ!」
「そこにぬかりはねえ。海保が来る前にヘリ呼んで、ブツだけでも運び出そうぜ」
「陳頼、ヘリを……」
ドッカーーーーーン!!
朱元基が命じきる前に、今度は右舷側に衝撃を感じ、船はゆっくりと傾いていった。
「王精香の娘のタタリだ(;'∀')!」
気の弱い手下がパニックになり、図体がデカイので手が付けられない。
「この薬を飲みな、気分が落ち着く」
「す、すまねえ、アネサン」
その手下は、数秒で落ち着いて海に飛び込んだ。
「あのバカ、カナヅチなんだぜ」
救命具を投げてやったが、届かなかった。その間に残りの手下は救命胴衣をつけ、女の手下から薬をもらっていた。
「ボス、あんたも」
「オレは海には強いんだ。それより、あの絵を……み、見あたらねえ(;゚Д゚)!」
絵は、友子が海に投げ入れられたとき、原子にまで分解されていた。
「早くしな! もうもたないよ、この船は!」
仕方なく、朱元基は海に飛び込んだが、その瞬間、首に微かな痛みを感じた。だが、とにかく沈み行く船に巻き込まれるので、船から離れることに懸命だった。
友子は、海上にに姿を現して脅かしてやろうとも思ったが、陸(おか)を目指して泳いだ。
なんせ、船内で下着まではぎとられている。ヨットハーバーに泳ぎ着くと、無人のクルーザーを選んで乗り込み、シャワーを使わせてもらい、とりあえず着る物を拝借し、そのまま家を目指した。
「お帰り、あら、服が替わったのね?」
母であり義理の妹である春奈が聞いた。
「ああ、工事現場の横通ったらペンキの缶が落ちてきて。で、借りてきちゃった」
「え、ペンキぃ! もうおしゃかでしょ!?」
――しまった、あれは春奈が買ってくれたお気に入りだった( ゚Д゚)!?――
クルーザーの中で分子変換して再生しておけばよかったと思った。春奈の記憶を上書きして服など買ってもらわなかったことにもいいのだが、それはできない。あれは期末テストで不注意に全教科100点をとった記念に買ってくれたものだった。春奈は、日常はほとんど義体であることを忘れて、ほんとうの娘のように接してくれている無下には出来ない。
テレビを点けると、さっそくニュースになっていた。
悪のご一統さんは、なぜか、みんなヘロイン中毒で、事情聴取もできないようだ。あの女の薬と朱元基に刺した注射のせいだと思われた。
ただ、ボスの朱元基よりも偉そうだった女の手下が発見されていないことが気になった。
――あたしにも心を読ませないなんて、たいしたやつね……ま、いいや――
夏休みも、とっくに後半。あとは、当たり前に女子高生をやってみようと思う友子であった。
☆彡 主な登場人物
鈴木 友子 30年前の事故で義体化された見かけは15歳の美少女
鈴木 一郎 友子の弟で父親
鈴木 春奈 一郎の妻
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大佛 聡 クラスの委員長
王 梨香 クラスメート
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麻子 クラスメート
妙子 クラスメート 演劇部
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