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180『期せずして天下三分の計』
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鳴かぬなら 信長転生記
180『期せずして天下三分の計』市
驚天動地 ! 震天動地! 回天動地! 震天駭地!
驚愕 · 驚嘆 · 衝撃的の表現はいっぱいあるけど、中国四千年の、どの慣用句でも足りない!
なぜって『驚天動地』に水は含まれていない!
そう、水なのよ(>〇<)!
ゴゴゴゴォ グゴゴゴゴォ グゴゴゴ……ドドオオオオオ…………
三合河原を大きく抱くように湾曲した長江、そのはるか上流の方から空と大地、それと海と見まごう大河を振るわせて、いまだに姿は見えないけれど凄まじい量の水が迫って来る。
聴衆の中の長江沿岸の者、漁師や近隣の百姓たちは分かるんだ。
でも、聴衆の大方は他省人、気にする様子もなくステージの歌に耳を傾けて寛いでいる。土地の者たちも、その穏やかな空気の中では「水」とは呟けても「危ない!」とは言い出せずにいる。
ドドオオオオオ…………
地形の関係なんだろう、急に音が大きくなった。
川津波……と囁く者がいる。
さすがにステージの歌と演奏が停まった。
焼け落ちる城を見た、二度も見た。
一度は初婚の小谷城、二度目は再婚の北ノ庄城。
あの時の震えが腹の底から蘇って来る。
落城の折は火、彼方から迫るのは水。真逆ではあるけど、その圧倒的に迫る破壊と死の予感では近似値。
三蔵法師が苦し紛れに『わたしが、ここで説法できているのは、そこで場内警備をやっている弟子たちのおかげ。ほれ、そこで警備をしてくれている猪八戒などは……』と持ち上げた時、三合河原の空は一点の曇りもない青空だった。
元の天然美少女の市に戻って一息ついたころ、西の空が少しばかり陰り始め、この分では明日は雨。みんな疲れ始めているので、いい潮になるかと安心したのもつかの間。
空の陰りよりも早く、天地が鳴動して、信じられない量の水が津波となって鳴動し長江を駆け下りてくる!
「みんな、落ち着いて!」
真っ先に叫んだのはカメラ小僧の孫権、ついで、踊りを中断した大橋さんが侍女たちを下がらせると共に「警備隊長の曹素さん、みんなを退避させて」と穏やかに、でも声を張り上げる。
曹素の姿は見当たらないけど、部下は魏の輜重のベテランたち、自分の隊長が頼りにならないのは肌で知っていて、数秒で状況を把握「どなたかお下知を!」と叫んだのがたった今!
数カ所で応じる気配!
我が兄の信長が悟空の擬態のままステージに走り、孔明がハエタタキを掲げると関羽と張飛が孔明を担ぎ上げて、これもステージに上がる。
事は急を要するが、まずは状況把握。
立場は違えど、英雄たちの行動は同じなんだ。
「わたしが下知する!」
聴衆の中から跳躍したのは沙悟浄だったが、ステージに着地した時は、一年ぶりに目にする軍服姿の女将軍、曹茶姫。
おお、茶姫様!!
聴衆の大かたからも声が上がり、パニックになりかけていた場の空気がわずかに静まる。
「茶姫、辰巳の岸です! あの向こうが土地が高い!」
状況を把握した孔明が軍師らしく茶姫に進言。
「検品長! 備忘録! お前たちは曹素の兵たちと北の聴衆を、孔明殿は中を、三蔵組の我々は南を誘導して、辰巳の岸を目指す!」
「間近には見えているが、波の到達に10分ほどはある、緩い駆け足で間に合う。茶姫殿」
「かかれ!」
オオ!
それぞれのリーダーが手を振って、聴衆を三分する。
「うわあ、さすがは孔明さん、成りましたね。天下三分の計ですよ、みなさん」
孫権がうまいことを言い、孔明が「そういうつもりはなかったんですが」と頭を掻いて、さざ波のような笑い声があがる。
そして、それぞれ万を超える聴衆たちを落ち着いて避難させにかかる。大橋さんは落ち着いて『きらきら星』の続きを歌い、孫権は、そんな義姉と冷静に避難し始めた聴衆たちを写真に撮り、パニックにならないように努めている。
我が兄は……と思うと、いつの間にか白馬を筋斗雲に変えて岸の上を飛んでいる。
久々に筋斗雲にしたので姿勢が安定しないけど、すぐに安定させると数秒西を窺う。クルンと筋斗雲を回して、急降下した……かと思うと、三分した聴衆たちの最後尾の者たちを如意棒で叩き始めた!
何をするんだ! クソ信長!
聴衆たちは牧羊犬に追い立てられた羊のように速度と怒りの声が上げる。
中の聴衆を率いていた孔明は、関羽と張飛に命じて、自分を投げ上げさせる。さすがは蜀の二将軍、三度目には筋斗雲と同じ高さまで上げる。
降りてきた孔明は、二将軍とともに最後尾に周ると、信長同様に人々を叩き始める。
二つの集団の速度が上がったので、残り一つも速度が上がり、数十秒で先頭は辰巳の高地にたどり着いた。
ビュン!
サーフボードのように筋斗雲を旋回させると、信長は、こっちに向かって飛んできた。
「急げ! 丘の方からも水が押し寄せてくる!」
ええ!?
「辰巳の丘だけでは全員の収容は無理だ! 俺は、できるだけ、みんなを固まらせる。みんなも逃げろ!」
「いいえ悟空殿。最後の人が逃げ切るまで、大橋はここに居ます」
「わたしも居る、曹茶姫の姿を現したんだ、最後まで務めを果たす!」
「わたしも、今度は逃げないよ」
「市……」
「孫権、あなたたちは逃げて」
「でも」
「孫策さんは体が弱い、万一の時は孫権があとを継がなければ」
「義姉さん(>△<)!」
「なら、これを! 市、使い方は分かるな!?」
「お、おう、任しといて!」
芭蕉扇を投げてよこすと、信長は筋斗雲を蹴って岸の方へ飛んでいく。
ドドオオオオオ……
長江とは違う方角から水が押し寄せる音がする。
女三人、演壇に体を括り付け『きらきら星』を歌い続け、わたしは芭蕉扇を構えた。
ドドオオオオオ!
丘からも長江からも地獄の龍が吠えるように大水が押し寄せてきた……。
☆彡 主な登場人物
織田 信長 本能寺の変で討ち取られて転生 ニイ(三国志での偽名)
熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
織田 市 信長の妹 シイ(三国志での偽名)
平手 美姫 信長のクラス担任
武田 信玄 同級生
上杉 謙信 同級生 配下に上杉四天王(直江兼続・柿崎景家・宇佐美定満・甘粕景持 )
古田 織部 茶華道部の眼鏡っ子 越後屋(三国志での偽名)
宮本 武蔵 孤高の剣聖
二宮 忠八 市の友だち 紙飛行機の神さま
雑賀 孫一 クラスメート
松平 元康 クラスメート 後の徳川家康
リュドミラ 旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ 劉度(三国志での偽名)
今川 義元 学院生徒会長
坂本 乙女 学園生徒会長
曹茶姫 魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
諸葛茶孔明 漢の軍師兼丞相
大橋紅茶妃 呉の孫策妃 コウちゃん
孫権 呉王孫策の弟 大橋の義弟
天照大神 御山の御祭神 弟に素戔嗚 部下に思金神(オモイカネノカミ) 一言主
180『期せずして天下三分の計』市
驚天動地 ! 震天動地! 回天動地! 震天駭地!
驚愕 · 驚嘆 · 衝撃的の表現はいっぱいあるけど、中国四千年の、どの慣用句でも足りない!
なぜって『驚天動地』に水は含まれていない!
そう、水なのよ(>〇<)!
ゴゴゴゴォ グゴゴゴゴォ グゴゴゴ……ドドオオオオオ…………
三合河原を大きく抱くように湾曲した長江、そのはるか上流の方から空と大地、それと海と見まごう大河を振るわせて、いまだに姿は見えないけれど凄まじい量の水が迫って来る。
聴衆の中の長江沿岸の者、漁師や近隣の百姓たちは分かるんだ。
でも、聴衆の大方は他省人、気にする様子もなくステージの歌に耳を傾けて寛いでいる。土地の者たちも、その穏やかな空気の中では「水」とは呟けても「危ない!」とは言い出せずにいる。
ドドオオオオオ…………
地形の関係なんだろう、急に音が大きくなった。
川津波……と囁く者がいる。
さすがにステージの歌と演奏が停まった。
焼け落ちる城を見た、二度も見た。
一度は初婚の小谷城、二度目は再婚の北ノ庄城。
あの時の震えが腹の底から蘇って来る。
落城の折は火、彼方から迫るのは水。真逆ではあるけど、その圧倒的に迫る破壊と死の予感では近似値。
三蔵法師が苦し紛れに『わたしが、ここで説法できているのは、そこで場内警備をやっている弟子たちのおかげ。ほれ、そこで警備をしてくれている猪八戒などは……』と持ち上げた時、三合河原の空は一点の曇りもない青空だった。
元の天然美少女の市に戻って一息ついたころ、西の空が少しばかり陰り始め、この分では明日は雨。みんな疲れ始めているので、いい潮になるかと安心したのもつかの間。
空の陰りよりも早く、天地が鳴動して、信じられない量の水が津波となって鳴動し長江を駆け下りてくる!
「みんな、落ち着いて!」
真っ先に叫んだのはカメラ小僧の孫権、ついで、踊りを中断した大橋さんが侍女たちを下がらせると共に「警備隊長の曹素さん、みんなを退避させて」と穏やかに、でも声を張り上げる。
曹素の姿は見当たらないけど、部下は魏の輜重のベテランたち、自分の隊長が頼りにならないのは肌で知っていて、数秒で状況を把握「どなたかお下知を!」と叫んだのがたった今!
数カ所で応じる気配!
我が兄の信長が悟空の擬態のままステージに走り、孔明がハエタタキを掲げると関羽と張飛が孔明を担ぎ上げて、これもステージに上がる。
事は急を要するが、まずは状況把握。
立場は違えど、英雄たちの行動は同じなんだ。
「わたしが下知する!」
聴衆の中から跳躍したのは沙悟浄だったが、ステージに着地した時は、一年ぶりに目にする軍服姿の女将軍、曹茶姫。
おお、茶姫様!!
聴衆の大かたからも声が上がり、パニックになりかけていた場の空気がわずかに静まる。
「茶姫、辰巳の岸です! あの向こうが土地が高い!」
状況を把握した孔明が軍師らしく茶姫に進言。
「検品長! 備忘録! お前たちは曹素の兵たちと北の聴衆を、孔明殿は中を、三蔵組の我々は南を誘導して、辰巳の岸を目指す!」
「間近には見えているが、波の到達に10分ほどはある、緩い駆け足で間に合う。茶姫殿」
「かかれ!」
オオ!
それぞれのリーダーが手を振って、聴衆を三分する。
「うわあ、さすがは孔明さん、成りましたね。天下三分の計ですよ、みなさん」
孫権がうまいことを言い、孔明が「そういうつもりはなかったんですが」と頭を掻いて、さざ波のような笑い声があがる。
そして、それぞれ万を超える聴衆たちを落ち着いて避難させにかかる。大橋さんは落ち着いて『きらきら星』の続きを歌い、孫権は、そんな義姉と冷静に避難し始めた聴衆たちを写真に撮り、パニックにならないように努めている。
我が兄は……と思うと、いつの間にか白馬を筋斗雲に変えて岸の上を飛んでいる。
久々に筋斗雲にしたので姿勢が安定しないけど、すぐに安定させると数秒西を窺う。クルンと筋斗雲を回して、急降下した……かと思うと、三分した聴衆たちの最後尾の者たちを如意棒で叩き始めた!
何をするんだ! クソ信長!
聴衆たちは牧羊犬に追い立てられた羊のように速度と怒りの声が上げる。
中の聴衆を率いていた孔明は、関羽と張飛に命じて、自分を投げ上げさせる。さすがは蜀の二将軍、三度目には筋斗雲と同じ高さまで上げる。
降りてきた孔明は、二将軍とともに最後尾に周ると、信長同様に人々を叩き始める。
二つの集団の速度が上がったので、残り一つも速度が上がり、数十秒で先頭は辰巳の高地にたどり着いた。
ビュン!
サーフボードのように筋斗雲を旋回させると、信長は、こっちに向かって飛んできた。
「急げ! 丘の方からも水が押し寄せてくる!」
ええ!?
「辰巳の丘だけでは全員の収容は無理だ! 俺は、できるだけ、みんなを固まらせる。みんなも逃げろ!」
「いいえ悟空殿。最後の人が逃げ切るまで、大橋はここに居ます」
「わたしも居る、曹茶姫の姿を現したんだ、最後まで務めを果たす!」
「わたしも、今度は逃げないよ」
「市……」
「孫権、あなたたちは逃げて」
「でも」
「孫策さんは体が弱い、万一の時は孫権があとを継がなければ」
「義姉さん(>△<)!」
「なら、これを! 市、使い方は分かるな!?」
「お、おう、任しといて!」
芭蕉扇を投げてよこすと、信長は筋斗雲を蹴って岸の方へ飛んでいく。
ドドオオオオオ……
長江とは違う方角から水が押し寄せる音がする。
女三人、演壇に体を括り付け『きらきら星』を歌い続け、わたしは芭蕉扇を構えた。
ドドオオオオオ!
丘からも長江からも地獄の龍が吠えるように大水が押し寄せてきた……。
☆彡 主な登場人物
織田 信長 本能寺の変で討ち取られて転生 ニイ(三国志での偽名)
熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
織田 市 信長の妹 シイ(三国志での偽名)
平手 美姫 信長のクラス担任
武田 信玄 同級生
上杉 謙信 同級生 配下に上杉四天王(直江兼続・柿崎景家・宇佐美定満・甘粕景持 )
古田 織部 茶華道部の眼鏡っ子 越後屋(三国志での偽名)
宮本 武蔵 孤高の剣聖
二宮 忠八 市の友だち 紙飛行機の神さま
雑賀 孫一 クラスメート
松平 元康 クラスメート 後の徳川家康
リュドミラ 旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ 劉度(三国志での偽名)
今川 義元 学院生徒会長
坂本 乙女 学園生徒会長
曹茶姫 魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
諸葛茶孔明 漢の軍師兼丞相
大橋紅茶妃 呉の孫策妃 コウちゃん
孫権 呉王孫策の弟 大橋の義弟
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