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149『信長版西遊記・敦煌・4・寝仏とは涅槃像のことだ』
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鳴かぬなら 信長転生記
149『信長版西遊記・敦煌・4・寝仏とは涅槃像のことだ』信長
ひょっとしたら敦煌は無事に抜けられるかもしれない。
そう思ったぞ。
96窟の大仏で莫高窟も半ばを過ぎた。
どこからかかって来てもやっつけてやるぞという気概で臨んだのだが、思わず見入ってしまうほど石窟の仏画や仏像は素晴らしい。市も猪八戒の仮装を解いて遊びに出てくるぐらいだ。
よし、あと一つ二つ見たら宿に行って出発の準備をしよう。
96窟を出て数歩歩いたところで決めた、148窟の寝仏をトドメにしよう。
正確には涅槃像という、寝仏は俗称だ。
涅槃というからには、臨終の釈迦の姿をかたどったものだ。全長は15メートルほどだから学校のプールの横幅ほどだ。まん前に立つと、釈迦のへそが見えるばかり。左右に首を振って、ようやく釈迦の顎先と爪先が窺える。
周囲には、釈迦の臨終に嘆き悲しむ仏弟子や衆生、動物たちの姿も描かれている。
しかし、釈迦の表情も姿も平安の一言だ――やるべきことはやった、伝うべきものは伝えた、お浄土で待っているよ――そんな顔をして微笑んでおる。
涅槃図そのものは、ガキの頃、平手の爺に見せられて知っている。
「若、ごらんなされ。釈迦は悟りを開き、全てを成し遂げたがゆえに、このように平安な笑みをたたえておられるのでござりますぞ。仏弟子や衆生どもは、そんな釈迦臨終の姿に接し、もう生きた釈迦の言葉も聞けぬ、慈愛に満ちたお顔も見れぬと嘆き、別れを悲しんでおるのでございますぞ。棟梁たる者、国主たる者はこれに倣わなくてはなりませんぞぉ」
したり顔で、ガキの俺に話しおった。
「爺、これは不穏な絵じゃ」
「ふ、不穏でござりますか?」
「不憫と申してもいい」
「ふ、不憫!?」
「衆生どもの悲しみを見よ。顔をゆがめて嘆き悲しみ、諸侯どもの中には、刃を持って自らの体を切り、鼻や耳を削いでいる者もおる」
「それほどに、悲しんでおるということでございりましょう」
「ちがうぞ」
「どのように?」
「これは、そこまでして悲しみを装わなければ、身が危ないからじゃ――自分は、これほどまでに嘆いている、悲しんでいる――そう装わなければ信仰心を疑われ、日々の生活、商売、領国支配に支障が出るからじゃ」
「若……」
「これまで、何度か織田の一族や力のある者、えらい者の葬儀に出たが、みな似たり寄ったり。髪を下ろしたり髻を切ったり、同じことではないか」
だからな、爺、親父が死んだとき、葬儀の席に遅刻して焼香の香を鷲づかみにして投げつけたんだ。
こんな空涙であの世に送り出される親父がかわいそうでならなかった。
「しかし、釈迦は、こんなにも安らかな笑顔で臨終を迎えておられるではありませぬか」
「人間、死ねば力が抜けて呆けた顔になる。爺も、幾たびも戦に出て知っておるであろう」
「それは、若の思い違いにございましょう。先般の美濃の戦、お父君が討ち死にした者たちを見舞われた時にご一緒なされて、ご覧になられたではありませんか。みな、お屋形様の御ために戦えたことを嬉しく思い、死してなお微笑んでおったではありませぬか」
「爺……知っているぞ。死んだ者の枕を高くしてやれば喉が頬の肉を押し上げて微笑んだように見える」
「それは……」
「まだ吉法師と呼ばれたころに、一緒の遊んでいたガキの親父が急死してなぁ、俺は、そのガキよりも早く、そいつの家に駆けつけた。その親父は、まだ死んだばかりでな、目を半開きにして呆けた顔をしておった。くしゃみが出る寸前の顔みたいだと思った。一家の者たちは急いで死人の身なりを整え、枕を高くして寝かせたら、まるで微笑んだようになったぞ。連れのガキには『おまえがしっかりしているのを知って、親父殿は安心して逝かれたぞ』と嘘を申しておった」
「……そういうのを身も蓋もないと申すのですぞ」
「俺は、涅槃図よりも、坊主がお八つに出してくれた干し柿の方がありがたいぞ。まんべんなく白い糖分が噴き出て甘そうではないか。芸術鑑賞はここまでにして、早く食わせろ……ジュルリ」
「若ッ!」
涅槃像とあるが、この釈迦はまだ死んではおるまい。弟子や衆生どものオーバーアクションに、最後の力を振り絞って微笑んで見せた……そういうものであろう。しかし、涅槃を主題にして作られたアートとしては良くできているぞ。釈迦の安らかさと、周囲の悲しみのコントラストが見事に際立ち、どちらに焦点を当てても人を感動させるようにできている。アイロニーでありながら、精緻でバランスが取れて美しい。真の仏教とは矛盾したままに人間を肯定し救済するのではないかと錯覚させる。いや、錯覚したままでも良いのではないかと安堵させる統一感さえ感じてしまう。これを織部に見せてやったら、あのへうげ者は卒倒するかもしれんなあ。これなら、俺は干し柿どころではなくなるかもしれんぞ。
ゆっくり息を吐くと、静かに瞑目合掌した。
……そして、目を開けると。
なんと涅槃像も目を開け、微笑んだまま俺を見つめておったぞ!
☆彡 主な登場人物
織田 信長 本能寺の変で討ち取られて転生 ニイ(三国志での偽名)
熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
織田 市 信長の妹 シイ(三国志での偽名)
平手 美姫 信長のクラス担任
武田 信玄 同級生
上杉 謙信 同級生
古田 織部 茶華道部の眼鏡っ子 越後屋(三国志での偽名)
宮本 武蔵 孤高の剣聖
二宮 忠八 市の友だち 紙飛行機の神さま
雑賀 孫一 クラスメート
松平 元康 クラスメート 後の徳川家康
リュドミラ 旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ 劉度(三国志での偽名)
今川 義元 学院生徒会長
坂本 乙女 学園生徒会長
曹茶姫 魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
諸葛茶孔明 漢の軍師兼丞相
大橋紅茶妃 呉の孫策妃 コウちゃん
孫権 呉王孫策の弟 大橋の義弟
天照大神 御山の御祭神 弟に素戔嗚 部下に思金神(オモイカネノカミ) 一言主
149『信長版西遊記・敦煌・4・寝仏とは涅槃像のことだ』信長
ひょっとしたら敦煌は無事に抜けられるかもしれない。
そう思ったぞ。
96窟の大仏で莫高窟も半ばを過ぎた。
どこからかかって来てもやっつけてやるぞという気概で臨んだのだが、思わず見入ってしまうほど石窟の仏画や仏像は素晴らしい。市も猪八戒の仮装を解いて遊びに出てくるぐらいだ。
よし、あと一つ二つ見たら宿に行って出発の準備をしよう。
96窟を出て数歩歩いたところで決めた、148窟の寝仏をトドメにしよう。
正確には涅槃像という、寝仏は俗称だ。
涅槃というからには、臨終の釈迦の姿をかたどったものだ。全長は15メートルほどだから学校のプールの横幅ほどだ。まん前に立つと、釈迦のへそが見えるばかり。左右に首を振って、ようやく釈迦の顎先と爪先が窺える。
周囲には、釈迦の臨終に嘆き悲しむ仏弟子や衆生、動物たちの姿も描かれている。
しかし、釈迦の表情も姿も平安の一言だ――やるべきことはやった、伝うべきものは伝えた、お浄土で待っているよ――そんな顔をして微笑んでおる。
涅槃図そのものは、ガキの頃、平手の爺に見せられて知っている。
「若、ごらんなされ。釈迦は悟りを開き、全てを成し遂げたがゆえに、このように平安な笑みをたたえておられるのでござりますぞ。仏弟子や衆生どもは、そんな釈迦臨終の姿に接し、もう生きた釈迦の言葉も聞けぬ、慈愛に満ちたお顔も見れぬと嘆き、別れを悲しんでおるのでございますぞ。棟梁たる者、国主たる者はこれに倣わなくてはなりませんぞぉ」
したり顔で、ガキの俺に話しおった。
「爺、これは不穏な絵じゃ」
「ふ、不穏でござりますか?」
「不憫と申してもいい」
「ふ、不憫!?」
「衆生どもの悲しみを見よ。顔をゆがめて嘆き悲しみ、諸侯どもの中には、刃を持って自らの体を切り、鼻や耳を削いでいる者もおる」
「それほどに、悲しんでおるということでございりましょう」
「ちがうぞ」
「どのように?」
「これは、そこまでして悲しみを装わなければ、身が危ないからじゃ――自分は、これほどまでに嘆いている、悲しんでいる――そう装わなければ信仰心を疑われ、日々の生活、商売、領国支配に支障が出るからじゃ」
「若……」
「これまで、何度か織田の一族や力のある者、えらい者の葬儀に出たが、みな似たり寄ったり。髪を下ろしたり髻を切ったり、同じことではないか」
だからな、爺、親父が死んだとき、葬儀の席に遅刻して焼香の香を鷲づかみにして投げつけたんだ。
こんな空涙であの世に送り出される親父がかわいそうでならなかった。
「しかし、釈迦は、こんなにも安らかな笑顔で臨終を迎えておられるではありませぬか」
「人間、死ねば力が抜けて呆けた顔になる。爺も、幾たびも戦に出て知っておるであろう」
「それは、若の思い違いにございましょう。先般の美濃の戦、お父君が討ち死にした者たちを見舞われた時にご一緒なされて、ご覧になられたではありませんか。みな、お屋形様の御ために戦えたことを嬉しく思い、死してなお微笑んでおったではありませぬか」
「爺……知っているぞ。死んだ者の枕を高くしてやれば喉が頬の肉を押し上げて微笑んだように見える」
「それは……」
「まだ吉法師と呼ばれたころに、一緒の遊んでいたガキの親父が急死してなぁ、俺は、そのガキよりも早く、そいつの家に駆けつけた。その親父は、まだ死んだばかりでな、目を半開きにして呆けた顔をしておった。くしゃみが出る寸前の顔みたいだと思った。一家の者たちは急いで死人の身なりを整え、枕を高くして寝かせたら、まるで微笑んだようになったぞ。連れのガキには『おまえがしっかりしているのを知って、親父殿は安心して逝かれたぞ』と嘘を申しておった」
「……そういうのを身も蓋もないと申すのですぞ」
「俺は、涅槃図よりも、坊主がお八つに出してくれた干し柿の方がありがたいぞ。まんべんなく白い糖分が噴き出て甘そうではないか。芸術鑑賞はここまでにして、早く食わせろ……ジュルリ」
「若ッ!」
涅槃像とあるが、この釈迦はまだ死んではおるまい。弟子や衆生どものオーバーアクションに、最後の力を振り絞って微笑んで見せた……そういうものであろう。しかし、涅槃を主題にして作られたアートとしては良くできているぞ。釈迦の安らかさと、周囲の悲しみのコントラストが見事に際立ち、どちらに焦点を当てても人を感動させるようにできている。アイロニーでありながら、精緻でバランスが取れて美しい。真の仏教とは矛盾したままに人間を肯定し救済するのではないかと錯覚させる。いや、錯覚したままでも良いのではないかと安堵させる統一感さえ感じてしまう。これを織部に見せてやったら、あのへうげ者は卒倒するかもしれんなあ。これなら、俺は干し柿どころではなくなるかもしれんぞ。
ゆっくり息を吐くと、静かに瞑目合掌した。
……そして、目を開けると。
なんと涅槃像も目を開け、微笑んだまま俺を見つめておったぞ!
☆彡 主な登場人物
織田 信長 本能寺の変で討ち取られて転生 ニイ(三国志での偽名)
熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
織田 市 信長の妹 シイ(三国志での偽名)
平手 美姫 信長のクラス担任
武田 信玄 同級生
上杉 謙信 同級生
古田 織部 茶華道部の眼鏡っ子 越後屋(三国志での偽名)
宮本 武蔵 孤高の剣聖
二宮 忠八 市の友だち 紙飛行機の神さま
雑賀 孫一 クラスメート
松平 元康 クラスメート 後の徳川家康
リュドミラ 旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ 劉度(三国志での偽名)
今川 義元 学院生徒会長
坂本 乙女 学園生徒会長
曹茶姫 魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
諸葛茶孔明 漢の軍師兼丞相
大橋紅茶妃 呉の孫策妃 コウちゃん
孫権 呉王孫策の弟 大橋の義弟
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