44 / 192
45『敦子を捕まえる』
しおりを挟む
鳴かぬなら 信長転生記
45『敦子を捕まえる』
敦子の部屋のドアにお札を貼っておいた。
敦子って分かるよね? 熱田敦子。
ここんとこ姿を見せないけど、織田家担当の神さまの熱田大神。
クソ兄貴の信長を転生させて、ここんとこ知らんぷりを決め込んでいる。
ちゃっかり家を大きくして、家族同然に住み着いてるけど、なんか無責任。
敦子の正体って、三種の神器が具現化したもので、神格が高い。
で、記憶を頼りに探したら荷物の奥から出てきた。伊勢神宮のお札。
なんてったって、ご神体は皇祖神の天照大神(あまてらすおおかみ)だから、敦子よりもえらい!
それをドアに貼っておいたから、入れるわけもないから、庭の祠に戻っているはず。
だから、学校から帰ってから、ずっと祠の前で待っている。
晩ご飯まだだから、きっと空腹に耐えきれずに出てくる。敦子は、神さまのくせに食い意地は張ってるからね。
こんな簡単なことで、敦子をおびき出せるかって?
フフ、舐めるんじゃないわよ。
わたしは市よ。
女に生まれたから、力の振るいようもなかったけど、もし、男に生まれていたら、クソ兄貴の信長なんか差し置いて、天下の主になっていたわよ。ま、男になんか生まれかわるつもりはカケラもないけどね。
ミシミシ……ミシミシ……
祠が微かに軋んでる……分かってるけど、知らんふり。これも計算のうちだからね。
シュ
小さく空気が抜けるような音がしたかと思うと……予想通り!
ガッシャーーン! ドスン!
やった!!
急いで祠の裏に回ると、塀に頭をぶつけて、敦子が唸ってる。
「痛ったぁぁぁぁぁ……」
「ふふ、裏口があるのは、とっくにお見通しなのよ」
「で、でも、突き当たった塀に伊勢神宮のお札貼るのは反則ぅ……たんこぶができちゃったぁぁぁぁぁ……」
信長のご飯は、シャクだけど美味しい。
それを毎日食べてるもんだから、敦子のやつ、ちょっと太ってきた。だから、めったに使わない裏口は通りにくいってことは計算のうち。そこを無理に通ろうとしたら、シャンパンの栓を抜くみたいに勢いがつく。
で、行き止まりの塀に伊勢神宮のお札。
普通なら、こんな塀、素通しで抜けられるんだけどね。
お札のお蔭で、ガラス戸に突っ込んだワンコと同じになって、激突してタンコブができるわけさ。
「ふん、神さまのくせに、コソコソしてるからよ」
「で、なんなのよ、この仕打ちはぁ……」
「それはね……」
敦子の襟首を掴むと、一世一代の人生相談を持ち掛けるわたしであった……。
☆ 主な登場人物
織田 信長 本能寺の変で討ち取られて転生
熱田 敦子(熱田大神) 信長担当の尾張の神さま
織田 市 信長の妹
平手 美姫 信長のクラス担任
武田 信玄 同級生
上杉 謙信 同級生
古田 織部 茶華道部の眼鏡っこ
宮本 武蔵 孤高の剣聖
二宮 忠八 市の友だち 紙飛行機の神さま
今川 義元 学院生徒会長
坂本 乙女 学園生徒会長
45『敦子を捕まえる』
敦子の部屋のドアにお札を貼っておいた。
敦子って分かるよね? 熱田敦子。
ここんとこ姿を見せないけど、織田家担当の神さまの熱田大神。
クソ兄貴の信長を転生させて、ここんとこ知らんぷりを決め込んでいる。
ちゃっかり家を大きくして、家族同然に住み着いてるけど、なんか無責任。
敦子の正体って、三種の神器が具現化したもので、神格が高い。
で、記憶を頼りに探したら荷物の奥から出てきた。伊勢神宮のお札。
なんてったって、ご神体は皇祖神の天照大神(あまてらすおおかみ)だから、敦子よりもえらい!
それをドアに貼っておいたから、入れるわけもないから、庭の祠に戻っているはず。
だから、学校から帰ってから、ずっと祠の前で待っている。
晩ご飯まだだから、きっと空腹に耐えきれずに出てくる。敦子は、神さまのくせに食い意地は張ってるからね。
こんな簡単なことで、敦子をおびき出せるかって?
フフ、舐めるんじゃないわよ。
わたしは市よ。
女に生まれたから、力の振るいようもなかったけど、もし、男に生まれていたら、クソ兄貴の信長なんか差し置いて、天下の主になっていたわよ。ま、男になんか生まれかわるつもりはカケラもないけどね。
ミシミシ……ミシミシ……
祠が微かに軋んでる……分かってるけど、知らんふり。これも計算のうちだからね。
シュ
小さく空気が抜けるような音がしたかと思うと……予想通り!
ガッシャーーン! ドスン!
やった!!
急いで祠の裏に回ると、塀に頭をぶつけて、敦子が唸ってる。
「痛ったぁぁぁぁぁ……」
「ふふ、裏口があるのは、とっくにお見通しなのよ」
「で、でも、突き当たった塀に伊勢神宮のお札貼るのは反則ぅ……たんこぶができちゃったぁぁぁぁぁ……」
信長のご飯は、シャクだけど美味しい。
それを毎日食べてるもんだから、敦子のやつ、ちょっと太ってきた。だから、めったに使わない裏口は通りにくいってことは計算のうち。そこを無理に通ろうとしたら、シャンパンの栓を抜くみたいに勢いがつく。
で、行き止まりの塀に伊勢神宮のお札。
普通なら、こんな塀、素通しで抜けられるんだけどね。
お札のお蔭で、ガラス戸に突っ込んだワンコと同じになって、激突してタンコブができるわけさ。
「ふん、神さまのくせに、コソコソしてるからよ」
「で、なんなのよ、この仕打ちはぁ……」
「それはね……」
敦子の襟首を掴むと、一世一代の人生相談を持ち掛けるわたしであった……。
☆ 主な登場人物
織田 信長 本能寺の変で討ち取られて転生
熱田 敦子(熱田大神) 信長担当の尾張の神さま
織田 市 信長の妹
平手 美姫 信長のクラス担任
武田 信玄 同級生
上杉 謙信 同級生
古田 織部 茶華道部の眼鏡っこ
宮本 武蔵 孤高の剣聖
二宮 忠八 市の友だち 紙飛行機の神さま
今川 義元 学院生徒会長
坂本 乙女 学園生徒会長
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
16世紀のオデュッセイア
尾方佐羽
歴史・時代
【第12章を週1回程度更新します】世界の海が人と船で結ばれていく16世紀の遥かな旅の物語です。
12章では16世紀後半のヨーロッパが舞台になります。
※このお話は史実を参考にしたフィクションです。
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
人生負け組のスローライフ
雪那 由多
青春
バアちゃんが体調を悪くした!
俺は長男だからバアちゃんの面倒みなくては!!
ある日オヤジの叫びと共に突如引越しが決まって隣の家まで車で十分以上、ライフラインはあれどメインは湧水、ぼっとん便所に鍵のない家。
じゃあバアちゃんを頼むなと言って一人単身赴任で東京に帰るオヤジと新しいパート見つけたから実家から通うけど高校受験をすててまで来た俺に高校生なら一人でも大丈夫よね?と言って育児拒否をするオフクロ。
ほぼ病院生活となったバアちゃんが他界してから築百年以上の古民家で一人引きこもる俺の日常。
――――――――――――――――――――――
第12回ドリーム小説大賞 読者賞を頂きました!
皆様の応援ありがとうございます!
――――――――――――――――――――――
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した
若き日の滝川一益と滝川義太夫、
尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として
天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が
からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜
黒城白爵
ファンタジー
とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。
死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。
自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。
黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。
使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。
※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。
※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。
輿乗(よじょう)の敵 ~ 新史 桶狭間 ~
四谷軒
歴史・時代
【あらすじ】
美濃の戦国大名、斎藤道三の娘・帰蝶(きちょう)は、隣国尾張の織田信長に嫁ぐことになった。信長の父・信秀、信長の傅役(もりやく)・平手政秀など、さまざまな人々と出会い、別れ……やがて信長と帰蝶は尾張の国盗りに成功する。しかし、道三は嫡男の義龍に殺され、義龍は「一色」と称して、織田の敵に回る。一方、三河の方からは、駿河の国主・今川義元が、大軍を率いて尾張へと向かって来ていた……。
【登場人物】
帰蝶(きちょう):美濃の戦国大名、斎藤道三の娘。通称、濃姫(のうひめ)。
織田信長:尾張の戦国大名。父・信秀の跡を継いで、尾張を制した。通称、三郎(さぶろう)。
斎藤道三:下剋上(げこくじょう)により美濃の国主にのし上がった男。俗名、利政。
一色義龍:道三の息子。帰蝶の兄。道三を倒して、美濃の国主になる。幕府から、名門「一色家」を名乗る許しを得る。
今川義元:駿河の戦国大名。名門「今川家」の当主であるが、国盗りによって駿河の国主となり、「海道一の弓取り」の異名を持つ。
斯波義銀(しばよしかね):尾張の国主の家系、名門「斯波家」の当主。ただし、実力はなく、形だけの国主として、信長が「臣従」している。
【参考資料】
「国盗り物語」 司馬遼太郎 新潮社
「地図と読む 現代語訳 信長公記」 太田 牛一 (著) 中川太古 (翻訳) KADOKAWA
東浦町観光協会ホームページ
Wikipedia
【表紙画像】
歌川豊宣, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる