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068『オリビアとお風呂に入る』

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やくもあやかし物語 2

068『オリビアとお風呂に入る』 




「……ということは、今のわたしたちはお酒のとっくりということね(^▽^)」

 お風呂のお湯が沸くのを待ちながら燗風呂の説明をしてあげると、子どものようにおもしろがるオリビア。燗風呂は元々はお酒をお燗するものだからね。
 
 お風呂の湯は「わらわの風呂だからわらわが沸かす」と御息所がいっしゅんで水をお湯にした。日本に居たころから好きな時にお風呂に入るため、自然に覚えた魔法らしい。

 で、お風呂が沸くと、三人でいっせいにお風呂に入る。

 女同士だけど、すっ裸は恥ずかしがるかと思ったんだけど、オリビアはこだわりはないようで、わたしより先にスッポンポンになる。

「ああ、木の香りがとてもいいですね。なんだか、森林浴とお風呂を同時にやってるみたいですぅ」

「プリンスエドワード島は木のお風呂だったの?」

「ううん、FRPというのかしら、プラスチックの一種だと思うわ。学校の『福の湯』もいいけれど、こういうお風呂も素敵よ。日本はいろんなお風呂があって羨ましいわ。ね、御息所さん……あら?」

 御息所は、わたしの肩に乗っかり首に寄りかかって居眠っている。

「まあ、かわいい。恋人たちの小道で出くわすリスみたい」

 恋人たちの小道で思い出した!

「プリンスエドワード島って『赤毛のアン』の島じゃない?」

「え、ええそうよ。そうか、やくもは『赤毛のアン』を知ってる人なんだ!」

「うん、愛読書だったからね(^_^;)」

 他に『怪談奇談』とか『ゲゲゲの鬼太郎』とかあるんだけど、それは言わない。

「ということは孤児院から……」

 言いかけて失礼だと思って口をつぐんでしまう。

「アハハ、アン・シャーリーじゃないわ。でも……ちょっと似てるかなあ」

「どういうこと?」

 不躾だとは思いながら、つい身を乗り出してしまう。

「元々はトロント。でも、賑やかでごちゃごちゃしてるんで、お父さまが『大学に行くまでは静かで環境のいいところに住むべきだ』とおっしゃって、12歳の秋からプリンスエドワード島で暮らしているの」

「ひとりで?」

「ううん、家庭教師を兼ねたメイドさんがいっしょに、他にも交代で、島には、わたしの家の他にも会社の保養所があって。あ、もともと保養所があるんで、こっちの方がついでなのかもしれないわ」

「オリビアのお家って、会社を経営してるの?」

「あ、うん……」

 あんまり家の事には触れない方がいいみたい。

「あ、そんなことない」

「え?」

「あ……」

「オリビアって、人の心が読めたり……?」

「え、あ、いや、そ、それはね(#'∀'#)」

 あ、地雷を踏んでしまった?



☆彡主な登場人物 

やくも        斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
ネル         コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女      ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー       ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン  教頭先生
カーナボン卿     校長先生
酒井 詩       コトハ 聴講生
同級生たち      アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ
先生たち       マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
あやかしたち     デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名 朝飯前のラビリンス くわせもの  ブラウニー(家事妖精) プロセス(プロセスティック=義手・義足の妖) 額田王 織姫 間人皇女
 
 
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