67 / 79
067『ポンプで水を入れる』
しおりを挟む
やくもあやかし物語 2
067『ポンプで水を入れる』
『あっちに水があるーーー(>〇<)!』
デラシネの手袋に入れて放り上げると、校舎の屋上ぐらいの高さで御息所が叫んだよ。
「行ってみましょうか(^▽^)!」
オリビアが元気に前に出て、二人で御息所が指差したところに向かった。
そこは、草むらが少し高くなっていて、丘というほどじゃないんだけど、遊園地の広場なんかで人工的に作られた山ぐらいの感じ。
浅間山のカルデラを1/100ぐらいにしたら、こんな具合という感じで、カルデラの中にはきれいな水が漲っている。
「火山みたいだから濁っているかと思ったら」
「けっこうきれいですねぇ」
『ほれ、これを使って水を汲め』
御息所が、キャンパス地の布バケツを放って寄こす。
「ありがたいけど、これだと何十回も往復して、お風呂入る前にくたびれてしまう」
『わたしも手伝うぞ!』
えらそうに差し出したのは、デパ地下でジュースの試飲に使うような小さな紙コップ。
「お気持ちは嬉しいのですが(^_^;)」
オリビアも笑顔のまま困ってるし。
『う~ん……じゃあ、あれはどうだ!』
御息所の後をついていくと、カルデラの縁の草むらにポンプとホースが置いてある。
「看板になにか書いてありますわよ」
オリビアが倒れた看板を起こすと――水を使う時は、これを使用してください――と書いてある。
「なかなか行き届いているわね。でも使い方は……」
「ええと……」
オリビアが操作するとパイロットランプが数回点滅して、その横の赤ランプが緑に変わった。
ブィーン
ポンプが動き始めた!
『オリビア、慣れてるみたいだな』
「ええ、プリンスエドワード島に住んでいたころに、使ったことがあるの」
プリンスエドワード島、どこかで聞いたことがある。
『あ、ダメだ、ホースに穴が開いていて水がダダモレだぞよ!』
「あらあら」
「ちょっと見てみる!」
ホースを伸ばして、先の方からチョロチョロ出てくる水を確かめてみる。
『どうだぁ?』「どうかしらぁ?」
「うん、勢いは無いけど、いけるみたい。水もきれいなままだし」
「じゃあ、ちょっと時間はかかるけど、このままお風呂に入れてみましょうか」
「うん、そうだね。バケツで汲むよりはウンとましみたい」
カルデラからホースを伸ばして風呂桶に先っぽを入れる。水の勢いでホースが暴れてはいけないので、しっかりと押さえたよ。
「ヤクモさんも、慣れてらっしゃるみたいですねぇ」
「あ、実家で庭掃除とお風呂掃除は、わたしの仕事だったし。オリビアは?」
「わたしもお風呂を沸かすのはやりましたけど、掃除や片づけは通いのメイドさんがしてくれましたので」
「あ、やっぱりオリビアはお嬢さまなんだぁ」
「いえいえ、父や母が心配性なだけで(^_^;)」
いや、ぜったいお嬢さまだよ。でも、こういうことを深入りして聞くのは下品だからね。
わたしも、中学を卒業して、今の学校に入って、ずいぶん賢くなったと思うよ。
『じゃあ、もっかい水を流すぞよぉ』
御息所がスイッチを入れて、ホースが生き物のようにピクピクして水が流れ始める。
プシューー
数秒して水がやってきたけど、あちこち何十か所も水漏れ。
でも、漏れた水は盛大なミストみたいになってクッキリと虹を映した。
ウワァ!
少しの間、三人で見とれてしまったよ。
☆彡主な登場人物
やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン 教頭先生
カーナボン卿 校長先生
酒井 詩 コトハ 聴講生
同級生たち アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ
先生たち マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
あやかしたち デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名 朝飯前のラビリンス くわせもの ブラウニー(家事妖精) プロセス(プロセスティック=義手・義足の妖) 額田王 織姫 間人皇女
067『ポンプで水を入れる』
『あっちに水があるーーー(>〇<)!』
デラシネの手袋に入れて放り上げると、校舎の屋上ぐらいの高さで御息所が叫んだよ。
「行ってみましょうか(^▽^)!」
オリビアが元気に前に出て、二人で御息所が指差したところに向かった。
そこは、草むらが少し高くなっていて、丘というほどじゃないんだけど、遊園地の広場なんかで人工的に作られた山ぐらいの感じ。
浅間山のカルデラを1/100ぐらいにしたら、こんな具合という感じで、カルデラの中にはきれいな水が漲っている。
「火山みたいだから濁っているかと思ったら」
「けっこうきれいですねぇ」
『ほれ、これを使って水を汲め』
御息所が、キャンパス地の布バケツを放って寄こす。
「ありがたいけど、これだと何十回も往復して、お風呂入る前にくたびれてしまう」
『わたしも手伝うぞ!』
えらそうに差し出したのは、デパ地下でジュースの試飲に使うような小さな紙コップ。
「お気持ちは嬉しいのですが(^_^;)」
オリビアも笑顔のまま困ってるし。
『う~ん……じゃあ、あれはどうだ!』
御息所の後をついていくと、カルデラの縁の草むらにポンプとホースが置いてある。
「看板になにか書いてありますわよ」
オリビアが倒れた看板を起こすと――水を使う時は、これを使用してください――と書いてある。
「なかなか行き届いているわね。でも使い方は……」
「ええと……」
オリビアが操作するとパイロットランプが数回点滅して、その横の赤ランプが緑に変わった。
ブィーン
ポンプが動き始めた!
『オリビア、慣れてるみたいだな』
「ええ、プリンスエドワード島に住んでいたころに、使ったことがあるの」
プリンスエドワード島、どこかで聞いたことがある。
『あ、ダメだ、ホースに穴が開いていて水がダダモレだぞよ!』
「あらあら」
「ちょっと見てみる!」
ホースを伸ばして、先の方からチョロチョロ出てくる水を確かめてみる。
『どうだぁ?』「どうかしらぁ?」
「うん、勢いは無いけど、いけるみたい。水もきれいなままだし」
「じゃあ、ちょっと時間はかかるけど、このままお風呂に入れてみましょうか」
「うん、そうだね。バケツで汲むよりはウンとましみたい」
カルデラからホースを伸ばして風呂桶に先っぽを入れる。水の勢いでホースが暴れてはいけないので、しっかりと押さえたよ。
「ヤクモさんも、慣れてらっしゃるみたいですねぇ」
「あ、実家で庭掃除とお風呂掃除は、わたしの仕事だったし。オリビアは?」
「わたしもお風呂を沸かすのはやりましたけど、掃除や片づけは通いのメイドさんがしてくれましたので」
「あ、やっぱりオリビアはお嬢さまなんだぁ」
「いえいえ、父や母が心配性なだけで(^_^;)」
いや、ぜったいお嬢さまだよ。でも、こういうことを深入りして聞くのは下品だからね。
わたしも、中学を卒業して、今の学校に入って、ずいぶん賢くなったと思うよ。
『じゃあ、もっかい水を流すぞよぉ』
御息所がスイッチを入れて、ホースが生き物のようにピクピクして水が流れ始める。
プシューー
数秒して水がやってきたけど、あちこち何十か所も水漏れ。
でも、漏れた水は盛大なミストみたいになってクッキリと虹を映した。
ウワァ!
少しの間、三人で見とれてしまったよ。
☆彡主な登場人物
やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン 教頭先生
カーナボン卿 校長先生
酒井 詩 コトハ 聴講生
同級生たち アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ
先生たち マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
あやかしたち デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名 朝飯前のラビリンス くわせもの ブラウニー(家事妖精) プロセス(プロセスティック=義手・義足の妖) 額田王 織姫 間人皇女
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる