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013『魔法の杖が配られて防御魔法を習う』
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やくもあやかし物語・2
013『魔法の杖が配られて防御魔法を習う』
いつも閻魔帳しか持って来ないソフィー先生がカステラの三本詰めくらいの木箱を持ってやってきた。
「他の先生たちとも話し合ったんだが、諸君にも魔法の杖を持ってもらうことにした」
二種類の「え?」が湧き上がる。
一つは、思っても見なかった「え?」、もう一つは嬉しい「え?」だよ。
ここ(ヤマセンブルグ王立民俗学学校)が魔法学校だったことは入学式でも説明されて、みんな知っている。
いずれは、魔法の「魔」の字くらいはやるもんだとも思っている。
現に、教壇に立っているソフィー先生は先祖代々王室に仕える魔法使いの家系だし。
「ついては、各自、魔法の杖をもってもらう。すでに、自分の杖を持っている者は見せてくれ、呪力・魔力を計測して適当であれば使用を認める。持っていない者は学校の杖を貸与する。持っている者は見せに来い。持っている者は手を挙げろ」
他人の様子を伺いながら、1/3ほどの子たちが手を挙げる。
「ヤクモ、おまえも持っているんだろう」
「え、あ……」
あれって魔法の杖なんだろうか?
「え、じゃあ、とりに戻っていいですか?」
日本に居た時と同じく、あれは机の一番下の引き出しにしまい込んである。
「念じて見ろ、魔法の杖なら、五秒もかからずに手の中に現れる」
「え、そうなんですか!?」
それまで湯せんしなければ食べられないと思っていたレトルトカレーがレンチンでもいけると分かったときみたいに驚いた。
「やってみろ」
「はい」
…………ボン!
ガスが突然点いたみたいな音がして、握った手の中に鬼の手が現れた。
おお( ゚Д゚)!
教室のみんなが驚いた。持ち主のわたしはもっと驚いた。
他の魔法の杖は菜箸くらいの大きさなのに、鬼の手は孫の手ほどの大きさがあるし、先っぽはまさに手の形してるし。
「見せろ」
ちょっと厳しい声で先生が言うので、教壇までの5メートルほどを走ってしまった。
「…………これは……一級呪物だな」
一級呪物?
「並みの杖が自転車だとしたら、これはレオパルドⅡかM1エイブラムスほどの力があるぞ」
ええ!?
わたしも、みんなも驚いた。
戦車なんかにはウトイんだけど、ウクライナ戦争のおかげで憶えてしまった。両方とも世界最高の戦車だよ!
「しゅっげ~(´º﹃º♡)」
ハイジなんか、なにを間違えたかよだれを垂らしてるしぃ。
「ヤクモ、おまえ、これを三輪車程度にしか使ってないな」
三輪車ぁ(^_^;)
アハハハハ(>▽<*)
わたしは驚いて、教室のみんなは笑った。
「本来なら学校で預からねばならないほどのものだが、よく馴れている。注意して使え」
「は、はひ」
それから、先生は五人の杖を鑑定して、ルームメイトのネルに目を向けた。
「コーネリア、おまえも魔法を使うんだろ、見せろ」
「あ、あたしは魔法の杖は使いません。インスピレーションですから」
「ほう……では、魔法を使う時は無詠唱なのか?」
「は、はい」
「……そういえば、コーネリアとヤクモは同室だったなあ」
「「はい」」
(* ´艸`)クスクス
なぜか、みんながクスクス笑う。
残りのみんなに杖を配り終えて、先生は居住まいを正した。
「実は、学校の周囲で不穏な動きがある」
不穏な動き……
「森が騒めき、湖はさざ波だっている。まだまだ精霊のレベルだが用心にこしたことはない。王宮と学校には結界が張られたが、お前たちも用心してもらいたい」
なるほど、そのために魔法の杖なんだ。
「では、初歩的な防御魔法を教える。見本を見せるから、あとに続け」
そう言うと、先生は、年季の入った杖を出すと頭上に構えて詠唱したよ。
「ディフェンシブ!」
先生の頭上にアニメに出てくるような亀甲模様が数十個連結したシールドが現れた。
「やってみろ」
ディフェンシブ!
無詠唱のわたしとネルは即座に、みんなは一二秒遅れてシールドが現れる。
「そのままで居ろ」
先生は机間巡視しながら、みんなのシールドをトンカチで叩いて周る。
トントン タンタン ボコボコ ベシャベシャ カンカン コンコン
いろんな音がする。
カチンカチン
ネルのは鋼鉄を叩いたような音がした。
キィーーーーーン
わたしのは、もっと高い音がした。
先生は、手がしびれて手をフルフルと振ったよ(^_^;)。
「頭上に作った時は前も左右もがら空きだが、慣れれば、同時に前方にもシールドが張れる。もっと慣れれば全身を覆うシールドも可能だ。しかし、結界もシールドも過信は禁物、危ないと思ったら、一目散に逃げろ」
うんうん
ネルとわたしは実感を込めて頷いたよ(^_^;)。
☆彡主な登場人物
やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生
ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン 教頭先生
カーナボン卿 校長先生
酒井 詩 コトハ 聴講生
同級生たち アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ
先生たち マッコイ(言語学)
013『魔法の杖が配られて防御魔法を習う』
いつも閻魔帳しか持って来ないソフィー先生がカステラの三本詰めくらいの木箱を持ってやってきた。
「他の先生たちとも話し合ったんだが、諸君にも魔法の杖を持ってもらうことにした」
二種類の「え?」が湧き上がる。
一つは、思っても見なかった「え?」、もう一つは嬉しい「え?」だよ。
ここ(ヤマセンブルグ王立民俗学学校)が魔法学校だったことは入学式でも説明されて、みんな知っている。
いずれは、魔法の「魔」の字くらいはやるもんだとも思っている。
現に、教壇に立っているソフィー先生は先祖代々王室に仕える魔法使いの家系だし。
「ついては、各自、魔法の杖をもってもらう。すでに、自分の杖を持っている者は見せてくれ、呪力・魔力を計測して適当であれば使用を認める。持っていない者は学校の杖を貸与する。持っている者は見せに来い。持っている者は手を挙げろ」
他人の様子を伺いながら、1/3ほどの子たちが手を挙げる。
「ヤクモ、おまえも持っているんだろう」
「え、あ……」
あれって魔法の杖なんだろうか?
「え、じゃあ、とりに戻っていいですか?」
日本に居た時と同じく、あれは机の一番下の引き出しにしまい込んである。
「念じて見ろ、魔法の杖なら、五秒もかからずに手の中に現れる」
「え、そうなんですか!?」
それまで湯せんしなければ食べられないと思っていたレトルトカレーがレンチンでもいけると分かったときみたいに驚いた。
「やってみろ」
「はい」
…………ボン!
ガスが突然点いたみたいな音がして、握った手の中に鬼の手が現れた。
おお( ゚Д゚)!
教室のみんなが驚いた。持ち主のわたしはもっと驚いた。
他の魔法の杖は菜箸くらいの大きさなのに、鬼の手は孫の手ほどの大きさがあるし、先っぽはまさに手の形してるし。
「見せろ」
ちょっと厳しい声で先生が言うので、教壇までの5メートルほどを走ってしまった。
「…………これは……一級呪物だな」
一級呪物?
「並みの杖が自転車だとしたら、これはレオパルドⅡかM1エイブラムスほどの力があるぞ」
ええ!?
わたしも、みんなも驚いた。
戦車なんかにはウトイんだけど、ウクライナ戦争のおかげで憶えてしまった。両方とも世界最高の戦車だよ!
「しゅっげ~(´º﹃º♡)」
ハイジなんか、なにを間違えたかよだれを垂らしてるしぃ。
「ヤクモ、おまえ、これを三輪車程度にしか使ってないな」
三輪車ぁ(^_^;)
アハハハハ(>▽<*)
わたしは驚いて、教室のみんなは笑った。
「本来なら学校で預からねばならないほどのものだが、よく馴れている。注意して使え」
「は、はひ」
それから、先生は五人の杖を鑑定して、ルームメイトのネルに目を向けた。
「コーネリア、おまえも魔法を使うんだろ、見せろ」
「あ、あたしは魔法の杖は使いません。インスピレーションですから」
「ほう……では、魔法を使う時は無詠唱なのか?」
「は、はい」
「……そういえば、コーネリアとヤクモは同室だったなあ」
「「はい」」
(* ´艸`)クスクス
なぜか、みんながクスクス笑う。
残りのみんなに杖を配り終えて、先生は居住まいを正した。
「実は、学校の周囲で不穏な動きがある」
不穏な動き……
「森が騒めき、湖はさざ波だっている。まだまだ精霊のレベルだが用心にこしたことはない。王宮と学校には結界が張られたが、お前たちも用心してもらいたい」
なるほど、そのために魔法の杖なんだ。
「では、初歩的な防御魔法を教える。見本を見せるから、あとに続け」
そう言うと、先生は、年季の入った杖を出すと頭上に構えて詠唱したよ。
「ディフェンシブ!」
先生の頭上にアニメに出てくるような亀甲模様が数十個連結したシールドが現れた。
「やってみろ」
ディフェンシブ!
無詠唱のわたしとネルは即座に、みんなは一二秒遅れてシールドが現れる。
「そのままで居ろ」
先生は机間巡視しながら、みんなのシールドをトンカチで叩いて周る。
トントン タンタン ボコボコ ベシャベシャ カンカン コンコン
いろんな音がする。
カチンカチン
ネルのは鋼鉄を叩いたような音がした。
キィーーーーーン
わたしのは、もっと高い音がした。
先生は、手がしびれて手をフルフルと振ったよ(^_^;)。
「頭上に作った時は前も左右もがら空きだが、慣れれば、同時に前方にもシールドが張れる。もっと慣れれば全身を覆うシールドも可能だ。しかし、結界もシールドも過信は禁物、危ないと思ったら、一目散に逃げろ」
うんうん
ネルとわたしは実感を込めて頷いたよ(^_^;)。
☆彡主な登場人物
やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生
ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン 教頭先生
カーナボン卿 校長先生
酒井 詩 コトハ 聴講生
同級生たち アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ
先生たち マッコイ(言語学)
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