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011『みんなで温泉』
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やくもあやかし物語・2
011『みんなで温泉』
ヨロレイヒーーーーー!
高らかにヨーデルを吠えると(ヨーデルって、動詞でどう表現するんだろ、歌う? 奏でる? つま弾く? どれも合わない。でも、ハイジのヨーデルは、まさに『吠える』だよ(^_^;))勢いよく露天風呂の浴槽に飛び込んできた。
ドップーーーン!
オリビア:「キャ!」
ネル:「ハイジも女なんだからさぁ、マッパで飛び込んだりするなよ!」
ハイジ:「だって、温泉てば日本だろ、日本てば風呂はマッパだろ、アニメでやってたぞ(^▽^)」
ヤクモ:「日本でも前ぐらいは隠すよぉ(#^_^#)」
ハイジ:「え? アニメだったら湯気とか水しぶきで隠れてんじゃん、そうなってっだろ?」
ヤクモ:「あれはアニメだから」
ハイジ:「ええ、じゃあ、丸見えだったのかぁ(๑º口º๑; ; )!?」
ロージー:「かわいいお皿だったな」
ハイジ:「お皿いうなあ(;>∀<)」
オリビア:「オサラってなんですの?」
ハイジ:「あーもー、なしなし!」
アハハハハハ((´∀`*))
開校してからも、学校のあちこち、内側も外側も工事が続いてる。
なんせ、八十年前に閉鎖した建物に手を入れただけの校舎や寄宿舎。じっさいに人が入って活動が始まると、あちこち不具合や手直しするところが出てくる。
その一つがお風呂。
古いお風呂は各部屋に付いているんだけど、五部屋以上が同時に使うと水圧が下がるし、お湯の温度は上がらないし。
とうぜん修理に入ったんだけど、王女さまの発案で日本風の大浴場を作る工事に入っていたんだよ。
一から大浴場を作るのは大変なので、廃業した日本の銭湯をまるまる移築している。
移築と言っても大きな銭湯なので完成は、もうちょっとあと。
その移築工事の横に塀で囲ってあるところがあって、てっきり資材置き場だと思っていた。
なんと、塀の内側では、ずっとボーリングをやっていたんだよ。
ボーリングと言っても、玉を転がすスポーツじゃなくて、穴を掘って地質とか調査するやつね(^_^;)。
その甲斐あって、温泉が湧いてきて、でも、みんなをビックリさせてやろうという王女さまの指示で完成までは秘密にされていた。
そして、お昼休みに発表されたんで、お仲間で入り初めをさせてもらっているというわけなのよ。
入り初めには条件がある。
水着とかは着用してはいけない。浴槽に浸かる前に体を洗うこと。タオルを浴槽につけてはいけない。浴槽で泳いだり遊んだりしてはいけない。
つまり、日本のルールなんだよ。
なにも日本趣味を押し付けようというんじゃない。お風呂を清潔に保ち、みんなで楽しむのは、このルールがいちばんいいんだよ。
ヤクモ:「だから、飛び込むのは禁止だよ」
ハイジ:「うん、わかった(#*´ω`*#)!」
ロ-ジー:「ネル、耳にお湯が入ったりしないのかぁ?」
ネル:「え、あたし?」
たしかに、エルフの耳は水とか入りやすそう。
ネル:「こうやるんだよ」
プルプルプル
なんと、耳だけが別の生き物みたく、プルプルして水滴を弾き飛ばした。
ネル:「真剣に潜る時は、こうだ……えい!」
みんな:「「「「おお!」」」」
なんと、耳たぶを器用に丸めて耳の穴を塞いだよ!
ネル:「でも、こんなに気持ちいいと、森の妖精たちが面白がって入って来るかもな」
みんな:「「「「ああ……」」」」
学校が始まって三カ月、みんな、不思議なことの一つや二つに出くわしている。
先生たちも注意してるんで、害を及ぼされるようなことはないんだけど、ちょっとマジにはなるよ。
ガラ
脱衣所の戸が開く音がして、みんなビックリ!
「ごいっしょしますねぇ……」
振り向いて、ビックリした。
なんと、王女さまがタオルで前を隠しただけのお姿でお立ちになっておられるのですよ!
王女:「一番乗りを狙ったんですけど、先を越されましたね」
ハイジ:「ウキ!」
みんな:「「「「し、失礼しましたぁ!」」」」
王女:「かしこまらないでください(^_^;)」
みんな:「「「「イエス、マム!」」」」
王女:「さっさと洗っちゃいますから、入るまで居てくださいね」
みんな:「「「「はい」」」」
王女さまは五分もかからずに、髪と体を洗うと、わたしたちの真ん中に入ってきた。
オリビア:「殿下、慣れていらっしゃいますわねえ」
王女:「中学や高校では合宿とかで、みんなでお風呂入ってましたし、子どもの頃、家のお風呂が工事中の時は銭湯にも行ってましたよ」
ハイジ:「王女さま、えらい!」
王女:「そうそう、えらいんです。それで、お風呂も学校施設の一つなんで、教室同様に、みなさんで掃除していただきたいんですけど、みなさん、こういう大きいお風呂って掃除の経験ないでしょ」
ハイジ:「お湯を抜いて乾かしときゃいいんじゃね?」
王女:「だめですよ、汚れとか水垢とか取らなきゃダメなんですよ」
ハイジ:「そ、そうなのか?」
ネル:「エルフは泉の沐浴ですましてたしぃ」
オリビア:「うちはメイドたちがやってましたし」
ロージー:「うちは手下……従業員がやってたしぃ」
王女:「そうですか……」
ヤクモ:「あの……お風呂掃除なら毎日やってたんで、あ、大きくても要領は変わらないと思うんで……」
王女:「まあ! じゃあ、小泉さん、みんなに指導してあげてくれます!?」
ヤクモ:「あ、はい」
パチパチパチパチパチパチ(^▽^)
みんなが拍手して、風呂掃除委員長になってしまった(^_^;)
☆彡主な登場人物
やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生
ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン 教頭先生
カーナボン卿 校長先生
酒井 詩 コトハ 聴講生
同級生たち アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ
011『みんなで温泉』
ヨロレイヒーーーーー!
高らかにヨーデルを吠えると(ヨーデルって、動詞でどう表現するんだろ、歌う? 奏でる? つま弾く? どれも合わない。でも、ハイジのヨーデルは、まさに『吠える』だよ(^_^;))勢いよく露天風呂の浴槽に飛び込んできた。
ドップーーーン!
オリビア:「キャ!」
ネル:「ハイジも女なんだからさぁ、マッパで飛び込んだりするなよ!」
ハイジ:「だって、温泉てば日本だろ、日本てば風呂はマッパだろ、アニメでやってたぞ(^▽^)」
ヤクモ:「日本でも前ぐらいは隠すよぉ(#^_^#)」
ハイジ:「え? アニメだったら湯気とか水しぶきで隠れてんじゃん、そうなってっだろ?」
ヤクモ:「あれはアニメだから」
ハイジ:「ええ、じゃあ、丸見えだったのかぁ(๑º口º๑; ; )!?」
ロージー:「かわいいお皿だったな」
ハイジ:「お皿いうなあ(;>∀<)」
オリビア:「オサラってなんですの?」
ハイジ:「あーもー、なしなし!」
アハハハハハ((´∀`*))
開校してからも、学校のあちこち、内側も外側も工事が続いてる。
なんせ、八十年前に閉鎖した建物に手を入れただけの校舎や寄宿舎。じっさいに人が入って活動が始まると、あちこち不具合や手直しするところが出てくる。
その一つがお風呂。
古いお風呂は各部屋に付いているんだけど、五部屋以上が同時に使うと水圧が下がるし、お湯の温度は上がらないし。
とうぜん修理に入ったんだけど、王女さまの発案で日本風の大浴場を作る工事に入っていたんだよ。
一から大浴場を作るのは大変なので、廃業した日本の銭湯をまるまる移築している。
移築と言っても大きな銭湯なので完成は、もうちょっとあと。
その移築工事の横に塀で囲ってあるところがあって、てっきり資材置き場だと思っていた。
なんと、塀の内側では、ずっとボーリングをやっていたんだよ。
ボーリングと言っても、玉を転がすスポーツじゃなくて、穴を掘って地質とか調査するやつね(^_^;)。
その甲斐あって、温泉が湧いてきて、でも、みんなをビックリさせてやろうという王女さまの指示で完成までは秘密にされていた。
そして、お昼休みに発表されたんで、お仲間で入り初めをさせてもらっているというわけなのよ。
入り初めには条件がある。
水着とかは着用してはいけない。浴槽に浸かる前に体を洗うこと。タオルを浴槽につけてはいけない。浴槽で泳いだり遊んだりしてはいけない。
つまり、日本のルールなんだよ。
なにも日本趣味を押し付けようというんじゃない。お風呂を清潔に保ち、みんなで楽しむのは、このルールがいちばんいいんだよ。
ヤクモ:「だから、飛び込むのは禁止だよ」
ハイジ:「うん、わかった(#*´ω`*#)!」
ロ-ジー:「ネル、耳にお湯が入ったりしないのかぁ?」
ネル:「え、あたし?」
たしかに、エルフの耳は水とか入りやすそう。
ネル:「こうやるんだよ」
プルプルプル
なんと、耳だけが別の生き物みたく、プルプルして水滴を弾き飛ばした。
ネル:「真剣に潜る時は、こうだ……えい!」
みんな:「「「「おお!」」」」
なんと、耳たぶを器用に丸めて耳の穴を塞いだよ!
ネル:「でも、こんなに気持ちいいと、森の妖精たちが面白がって入って来るかもな」
みんな:「「「「ああ……」」」」
学校が始まって三カ月、みんな、不思議なことの一つや二つに出くわしている。
先生たちも注意してるんで、害を及ぼされるようなことはないんだけど、ちょっとマジにはなるよ。
ガラ
脱衣所の戸が開く音がして、みんなビックリ!
「ごいっしょしますねぇ……」
振り向いて、ビックリした。
なんと、王女さまがタオルで前を隠しただけのお姿でお立ちになっておられるのですよ!
王女:「一番乗りを狙ったんですけど、先を越されましたね」
ハイジ:「ウキ!」
みんな:「「「「し、失礼しましたぁ!」」」」
王女:「かしこまらないでください(^_^;)」
みんな:「「「「イエス、マム!」」」」
王女:「さっさと洗っちゃいますから、入るまで居てくださいね」
みんな:「「「「はい」」」」
王女さまは五分もかからずに、髪と体を洗うと、わたしたちの真ん中に入ってきた。
オリビア:「殿下、慣れていらっしゃいますわねえ」
王女:「中学や高校では合宿とかで、みんなでお風呂入ってましたし、子どもの頃、家のお風呂が工事中の時は銭湯にも行ってましたよ」
ハイジ:「王女さま、えらい!」
王女:「そうそう、えらいんです。それで、お風呂も学校施設の一つなんで、教室同様に、みなさんで掃除していただきたいんですけど、みなさん、こういう大きいお風呂って掃除の経験ないでしょ」
ハイジ:「お湯を抜いて乾かしときゃいいんじゃね?」
王女:「だめですよ、汚れとか水垢とか取らなきゃダメなんですよ」
ハイジ:「そ、そうなのか?」
ネル:「エルフは泉の沐浴ですましてたしぃ」
オリビア:「うちはメイドたちがやってましたし」
ロージー:「うちは手下……従業員がやってたしぃ」
王女:「そうですか……」
ヤクモ:「あの……お風呂掃除なら毎日やってたんで、あ、大きくても要領は変わらないと思うんで……」
王女:「まあ! じゃあ、小泉さん、みんなに指導してあげてくれます!?」
ヤクモ:「あ、はい」
パチパチパチパチパチパチ(^▽^)
みんなが拍手して、風呂掃除委員長になってしまった(^_^;)
☆彡主な登場人物
やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生
ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン 教頭先生
カーナボン卿 校長先生
酒井 詩 コトハ 聴講生
同級生たち アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ
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