上 下
136 / 164

136『緊急にHRが中止になった!』 

しおりを挟む
巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記

136『緊急にHRが中止になった!』   




 連絡します連絡します、本日6限のホームルームは中止、本日6限のホームルームは中止、部活等も中止、生徒諸君は5限終了後ただちに下校するように。5限終了後ただちに下校するように。


 お財布を掴んで学食に行こうと階段を下りかけたところで生指部長の若杉先生の放送が入った。

 いつもなら放送部の『宮之森アフタヌーン♪』がのんびり始まる時間なので、みんな――なにかあったな――という気持ちになりながらも、良くも悪くも羊の群れみたく穏やかにランチタイムに移って行った。

 学食でもランチの列に間に合おうという熱気はあったけど、ことさら若杉先生の放送について話題にする声は聞こえなかった。

「ねえねえ、新聞社の車が正門の前に並んでますよ!」

 ロコが目を輝かせてランチのトレーを置く。いつものことだけど『情報屋ロコ』は早耳頭巾だ。

「なにぃ穏やかじゃないわね」

 メンチカツにソースをかけながらのたみ子も、みんなのお茶を淹れている真知子も、やっと席に着いたわたしも、動きは停めないけども聞く態勢になっている。

「それがですねぇ……」

 ロコの話の中身に、四人は動きが停まってしまう。

「ええ、またぁ!?」

 たみ子が声を上げるけど、真知子が――あとでね――という目配せをして、とりあえずAランチやBランチをかっこむ。

 
 南館とグラウンドの間、文化祭で【ウェディングパラダイス】をやった雛壇に腰掛ける。教室では憚られるし、中庭も人が多いからね。

「二年の女子だそうです」

 ここに来るまでに、また自殺した子が出たというところまでは分かった。

 なんせ、学食の窓からでも見えるところにA新聞の車が停まっているのが分かる。学食の噂話からもA新聞の他にもMやYやS新聞がズラッと並んでいて、教頭先生と若杉先生が――生徒が動揺するから学校の周囲に停めないでくれ――と苦情を言いに行ってるのが見えた。

 さすがに新聞社の車は校内からは見えないところに移動したみたいだけど、やっぱり――たいへんなことが起こったんだ――という空気は隠せない。

 入学以来、生徒が亡くなるのは三件目だ。

 一年の時の栗原さん、この六月には三年の金原さん、そして今度の二年生の女子。去年の栗原さんは病気だったけど、今年は自殺が続いている。

「いえ、実はもう一件」

「「「ええ!?」」」

「実は、夏休み中に一年の男子が……これは未遂だったらしいですけど」

「はあぁ、そりゃあ新聞社も来るはずだぁ」

「「「…………」」」

 真知子がため息ついて四人は言葉が無くなってしまう。


 タタタタタ


 グラウンドへのスロープを佳奈子が部室に駆けていく。

 放課後の部活ができなくなったので、調整とかがあるんだ。部室棟の前には見覚えのある運動部の部長たちが集まり始めていた。

 
 けっきょく、この日はマスコミや教育委員会、PTAなんかの対応と職員会議で先生たちは大変みたいだった。

 おそらく、明日は臨時の全校集会で黙祷。

 多少の事情説明はあるかもだけど、あたしたちもMITAKAとかで話し合ってみようということになった。



☆彡 主な登場人物

時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
滝川                志忠屋のマスター
ペコさん              志忠屋のバイト
猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
辻本 たみ子            2年3組 副委員長
高峰 秀夫             2年3組 委員長
吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
藤田 勲              2年学年主任
先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
妖・魔物              アキラ      
その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

私の部屋で兄と不倫相手の女が寝ていた。

ほったげな
恋愛
私が家に帰ってきたら、私の部屋のベッドで兄と不倫相手の女が寝ていた。私は不倫の証拠を見つけ、両親と兄嫁に話すと…?!

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...