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109『笹の葉さ~らさら』 

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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記

109『笹の葉さ~らさら』   




 どうしよう……


 一つだけ、取り扱いに困る短冊があった。

―― みなさんも天の川で恋人と出会えますように ――

「え、どうして困るんですか?」

 ロコが正直に質問する。

「だって……」

「そうだねぇ……」

 真知子とたみ子は分かっているようで言葉を濁す。

「よーく見てみ」

「ええ、どれどれ……え……あ!」

 ロコも間近に見て分かったようだ。

「鉛筆の下書きが残ってますね、そのう……」

 ロコも言い淀んでしまう。

 べつにヴォルデモート卿の名前が書いてあったわけじゃない。

 消されてはいるけど、ごくうっすらと読めるのは『美奈』という名前だった。

 短冊に署名するかどうかは規定していない。じっさい書かれていないものがほとんどで、中には『ケメコ』とか『二年女子』とか『I.H』とかイニシャルだけのとかも多かったし。

 その短冊には『みなさんの友だち』と書いてある。

 どうしたものか……

「これ、MITAKAに来てくれた同級生の人だよね……」

 佳奈子が敵の癖玉をレシーブするように言う。


「いいんじゃないか、それくらい」


 レシーブされたボールを敵コートに打ち込んだのはいつの間にか来ていた倉田先生だ。

「いいんですか?」

「ああ、文面にも思いやりがあるし、きみらもちゃんと考えてる。これでいいんじゃないか」

 よし!

 みんな小さくガッツポーズして、めでたく七夕の飾りつけを終えた。

「でも、明日から期末テストなんだから、早く帰って勉強しろよ」

「「「「「ハーーーイ(''◇'')ゞ!」」」」」

 返事だけはいいわたしたちだったよ(^_^;)


 もうちょっといいか……みんなで三本の笹を眺めていると、誰ともなく口ずさむ。

 笹の葉さ~らさら 軒端に揺れ~る お星さ~まキ~ラキラ~(^^♪

 歌っていると、他の生徒も集まって来て、フォークソング同好会の子がギターをもっていたもんで、期せずして『フォークの集い』になってしまう。

 四時を過ぎたころに今度は担任の花園先生に怒られて、ようやく解散した。


 
☆彡 主な登場人物

時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川                志忠屋のマスター
ペコさん              志忠屋のバイト
猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
辻本 たみ子            2年3組 副委員長
高峰 秀夫             2年3組 委員長
吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
藤田 勲              2年学年主任
先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫
早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹        
その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
 
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