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082『お祖母ちゃんの水晶占い』
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
082『お祖母ちゃんの水晶占い』
リビングのドアを開けるとお祖母ちゃんの背中が丸い。
いちおうお祖母ちゃんは東京タワーと同じくらいの歳だと言ってるけど、本当のところは分からない。
懐かしそうに話すひいお祖母ちゃんの思い出なんか、ひょっとしたら自分のことを言ってるんじゃないかと思ったりする。だとするとひいお祖母ちゃんは明治の生まれ?
いや、ひょっとしたら、ひい祖母ちゃんもサバ呼んでて、坂本龍馬とかと同い年かもしれない。
キッチンの方に周って気が付いた。
お祖母ちゃんは水晶玉みたいなのをテーブルに置いて、手をかざしながらムニャムニャ言ってる。
もう、魔法少女じゃなくて、まるっきり魔法使いのお婆さんだよ(^_^;)
「お祖母ちゃん、水晶占いでも始める気ぃ?」
「ちょっと静かにして……」
なんか、真剣。
「……やっぱり、確証をもつとこまではいかないかぁ。メグリ、お祖母ちゃんにもお茶ちょうだい」
「え、あ、うん」
それで、ペットボトルの方じゃなくて、急須を出してお茶を淹れる。
「昨日はH3ロケットの打ち上げ成功当たっちゃったからねぇ」
「え、あれも水晶占いで当てたの?」
「あれは、茶柱が立ってさ」
「アハハ、茶柱ぁ……」
「それで、本格的にね、ひい祖母ちゃんが使ってた水晶玉で本格的にね……」
そう言うと、また背中を丸めてムニャムニャやり始める。
じゅうぶんお茶を蒸らして、いい塩梅で急須ごとテーブルに持っていく。
コポコポコポ……
「はい、どうぞ……やだ、お祖母ちゃん鼻に汗かいてるよ」
「……だめだぁ、やっぱ確証もつとこまではいかない」
「いったい、なによぉ……」
湯呑を置くついでに水晶玉を覗いてみる。
え……( ゚Д゚)!?
水晶玉に浮かんでいるのは、ちょっとオネエサンにはなってるけど、わたしの姿だ!
少しだけおしゃれして時計を見てる。今どき、時計はスマホで間に合わせる。
それが、腕時計で、左手首の内側なもんだから、肘と手首をクニっと曲げて見る仕草が、とっても女性的!
すると、手前の方から男の背中が近づいて来て、そいつが「よっ」って感じで手を挙げると、パッとわたしの顔が明るくなって、ハタハタと手を振り返す。
「ね、どう見てもデートの待ち合わせだろぉ?」
「あ……ま、まあね……」
「それでねぇ……男の顔を確かめてるんだけどぉ……」
お祖母ちゃんが手を動かすと、コントローラーのグリグリを回したみたいにアングルが移動して男の顔が見えそうになるんだけど、もう少しのところで、確度が変わったりボケたりする。
「メグリ、この後姿に心当たり……あるって顔だね」
「え、ああ……」
その後ろ姿は……九割九分の確率で○○君だ。
「でもね、こういのもあるんだよ」
「え、他にも!?」
つぎに出てきたのは、どう見ても10円男!
「え、ちょ、こいつは徒(いたる)さんの亭主!」
「いや、他にもね……」
全部で五人の男……って、思い出した!
「これ、ぜんぶ義理チョコ渡した奴らだ!」
「あ、ああ……そうか、昭和の昔でチョコを撒いちゃったわけかぁ……」
「ええ、どうしよう、どうなっちゃうのよ、これぇ(;'∀')!?」
「ちょ、待って……」
お祖母ちゃんが操作すると、♡マークといっしょに数字が現れる。
50 62 75 55 52
「これって……」
「ゴールイン指数、加藤君が62%、後姿君が75%……これは、もうメグリ、あんた次第だね」
「え、だって10円男は徒さんと確定じゃん!」
「ああ……でも、歴史は変わるからねえ」
じょ、冗談じゃないんですけど!
☆彡 主な登場人物
時司 巡(ときつかさ めぐり) 高校一年生
時司 応(こたえ) 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川 志忠屋のマスター
ペコさん 志忠屋のバイト
猫又たち アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子(ロコ) 1年5組 クラスメート
辻本 たみ子 1年5組 副委員長
高峰 秀夫 1年5組 委員長
吉本 佳奈子 1年5組 保健委員 バレー部
横田 真知子 1年5組 リベラル系女子
加藤 高明(10円男) 留年してる同級生
藤田 勲 1年5組の担任
先生たち 花園先生:4組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀 音楽:峰岸 教頭先生 倉田(生徒会顧問)
須之内直美 証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
時司 徒 (いたる) お祖母ちゃんの妹
その他の生徒たち 滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 7組) 上杉(生徒会長)
灯台守の夫婦 平賀勲 平賀恵 二人とも直美の友人
082『お祖母ちゃんの水晶占い』
リビングのドアを開けるとお祖母ちゃんの背中が丸い。
いちおうお祖母ちゃんは東京タワーと同じくらいの歳だと言ってるけど、本当のところは分からない。
懐かしそうに話すひいお祖母ちゃんの思い出なんか、ひょっとしたら自分のことを言ってるんじゃないかと思ったりする。だとするとひいお祖母ちゃんは明治の生まれ?
いや、ひょっとしたら、ひい祖母ちゃんもサバ呼んでて、坂本龍馬とかと同い年かもしれない。
キッチンの方に周って気が付いた。
お祖母ちゃんは水晶玉みたいなのをテーブルに置いて、手をかざしながらムニャムニャ言ってる。
もう、魔法少女じゃなくて、まるっきり魔法使いのお婆さんだよ(^_^;)
「お祖母ちゃん、水晶占いでも始める気ぃ?」
「ちょっと静かにして……」
なんか、真剣。
「……やっぱり、確証をもつとこまではいかないかぁ。メグリ、お祖母ちゃんにもお茶ちょうだい」
「え、あ、うん」
それで、ペットボトルの方じゃなくて、急須を出してお茶を淹れる。
「昨日はH3ロケットの打ち上げ成功当たっちゃったからねぇ」
「え、あれも水晶占いで当てたの?」
「あれは、茶柱が立ってさ」
「アハハ、茶柱ぁ……」
「それで、本格的にね、ひい祖母ちゃんが使ってた水晶玉で本格的にね……」
そう言うと、また背中を丸めてムニャムニャやり始める。
じゅうぶんお茶を蒸らして、いい塩梅で急須ごとテーブルに持っていく。
コポコポコポ……
「はい、どうぞ……やだ、お祖母ちゃん鼻に汗かいてるよ」
「……だめだぁ、やっぱ確証もつとこまではいかない」
「いったい、なによぉ……」
湯呑を置くついでに水晶玉を覗いてみる。
え……( ゚Д゚)!?
水晶玉に浮かんでいるのは、ちょっとオネエサンにはなってるけど、わたしの姿だ!
少しだけおしゃれして時計を見てる。今どき、時計はスマホで間に合わせる。
それが、腕時計で、左手首の内側なもんだから、肘と手首をクニっと曲げて見る仕草が、とっても女性的!
すると、手前の方から男の背中が近づいて来て、そいつが「よっ」って感じで手を挙げると、パッとわたしの顔が明るくなって、ハタハタと手を振り返す。
「ね、どう見てもデートの待ち合わせだろぉ?」
「あ……ま、まあね……」
「それでねぇ……男の顔を確かめてるんだけどぉ……」
お祖母ちゃんが手を動かすと、コントローラーのグリグリを回したみたいにアングルが移動して男の顔が見えそうになるんだけど、もう少しのところで、確度が変わったりボケたりする。
「メグリ、この後姿に心当たり……あるって顔だね」
「え、ああ……」
その後ろ姿は……九割九分の確率で○○君だ。
「でもね、こういのもあるんだよ」
「え、他にも!?」
つぎに出てきたのは、どう見ても10円男!
「え、ちょ、こいつは徒(いたる)さんの亭主!」
「いや、他にもね……」
全部で五人の男……って、思い出した!
「これ、ぜんぶ義理チョコ渡した奴らだ!」
「あ、ああ……そうか、昭和の昔でチョコを撒いちゃったわけかぁ……」
「ええ、どうしよう、どうなっちゃうのよ、これぇ(;'∀')!?」
「ちょ、待って……」
お祖母ちゃんが操作すると、♡マークといっしょに数字が現れる。
50 62 75 55 52
「これって……」
「ゴールイン指数、加藤君が62%、後姿君が75%……これは、もうメグリ、あんた次第だね」
「え、だって10円男は徒さんと確定じゃん!」
「ああ……でも、歴史は変わるからねえ」
じょ、冗談じゃないんですけど!
☆彡 主な登場人物
時司 巡(ときつかさ めぐり) 高校一年生
時司 応(こたえ) 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川 志忠屋のマスター
ペコさん 志忠屋のバイト
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宮田 博子(ロコ) 1年5組 クラスメート
辻本 たみ子 1年5組 副委員長
高峰 秀夫 1年5組 委員長
吉本 佳奈子 1年5組 保健委員 バレー部
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加藤 高明(10円男) 留年してる同級生
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先生たち 花園先生:4組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀 音楽:峰岸 教頭先生 倉田(生徒会顧問)
須之内直美 証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
時司 徒 (いたる) お祖母ちゃんの妹
その他の生徒たち 滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 7組) 上杉(生徒会長)
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