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049『宮之森城花火大会』

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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記

049『宮之森城花火大会』   




 ドーーン パチパチ  ドーン ドーン パチパチパチパチパチパチ

 待ってましたッ!

 た~まや!  か~ぎや!



 花火に声援を送る人って初めて見た。



 1970年でも、さすがに珍しいらしく、子どもたちはケタケタ笑い、浴衣姿の女の子たちが笑いをこらえ、屋台のオッチャンたちはニコニコしている。

真知子:「ロコもやってみたらぁ」

ロコ:「アハハ、さすがに(^_^;)」

佳奈子:「たみ子も来られたらよかったのにねぇ」

真知子:「たみ子がいたら、ぜったい迷子にならないよね」

ロコ:「そうですよね『なにかあったらたみ子さんのところに集合!』にできますからね(^▽^)」

 たみ子は身長178センチ、そのうえ姿勢がいいもんだから、人ごみの中に居ても首一つ分高くて目立つ。

 だから、ちょっとはぐれても、たみ子を見つければ迷子にならなくて済む。

 たみ子はお母さんに付いて行って里帰り。万博に行くので無理を言っていたので行かざるを得なかったんだ。

 

 宮之森城花火大会



 令和では廃止になっている。

 宮之森上は規模の割に堀が大きいので、本丸から打ち上げて、堀の上で炸裂するように工夫されている。

 つまり、城山の分だけ高く打ち上げられるので、よりきれいに見えるので大正時代から行われて、宮之森の風物詩になっていた。

 でも、平成のはじめごろ、花火の燃えカスが堀に落ちないで三の丸の林に落ちて山火事になりかけた。

 それ以来、隣の大浜市の花火大会に吸収合併されてしまった。

ロコ:「ウフフ、浴衣にもあいますね」

わたし:「え、あ、そう? ちょっと勇気いったんだけどね(n*´ω`*n)」

真知子:「あ、気が付かなかった!」

佳奈子:「わあ、すてき!」

わたし:「え、あ、やだあ!」

佳奈子:「隠さないで見せてよぉ」

真知子:「どれどれ……」

わたし:「ちょ、しゃがんで見ることないでしょ(^_^;)」

 ロコの発案でガガーリンバッチを帯締め代わりに付けてきたんだ。――ええ!?――って最初は思ったんだけど、じっさい付けて見ると違和感が無くて、花火を見ているうちに忘れてしまっていた。



 ドドドーーーン パチパチ



わたし:「そろそろクライマックスかもよぉ」

 はんぶん照れ隠しだけど、花火大会は佳境に入っている。

ロコ:「じゃ、穴場に行きましょう!」

みんな:「「「穴場ぁ?」」」



 ロコに先導されて堀を渡ってつづら折れの小道を10分余り、ちょっと汗はかいたけど、絶好の特等席。



ロコ:「月見曲輪の跡なんです」

真知子:「月見?」

ロコ:「はい、むかし、お殿様が家来の人たちとお月見とかするのに作られた曲輪らしいです」

 ドドドーーーン パチパチ

みんな:「「「「おお!」」」」

 目の高さというほどでは無いけど、堀端で見ているよりは間近で花火が炸裂。確かに穴場だ。



 ドーーーン パチパチ  ドドドーーーン パチパチパチパチ



 た~まや!  か~ぎや!



真知子:「フフ、ご贔屓さんもやって来るみたい」

 花火を声援する声が、少しずつ近づいてくる。



 ドーーーン パチパチ  ドドドーーーン パチパチパチパチ

 もろに炸裂の瞬間を見てしまい、お日様を見てしまったみたいに鼻がむずがゆくなる。



わたし:「ハァ……クション!」

 
 ピシュ!


 え?



 耳もとを超高速でなにかがよぎった。



☆彡 主な登場人物

時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校一年生
時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川                志忠屋のマスター
ペコさん              志忠屋のバイト
猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子(ロコ)         1年5組 クラスメート
辻本 たみ子            1年5組 副委員長
高峰 秀夫             1年5組 委員長
吉本 佳奈子            1年5組 保健委員 バレー部
横田 真知子            1年5組 リベラル系女子
加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
藤田 勲              1年5組の担任
先生たち              花園先生:4組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀
須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。

 
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