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033『アルバイトすることになる』
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
033『アルバイトすることになる』
また点けっぱなし。
寝っ転がってスマホを見ようと思ったら、ソファーの左側にインタフェイスが浮いている。
魔法少女用の端末で――出てこい――と思ったらどこにでも現れる。
VRやMRで似た機能がある。
ゴーグル被って、出てきたメニューにタッチしたら仮想空間上にインタフェイスが出てくる。あの機能がゴーグルを被らなくってもできるのが魔法少女用インタフェイス。
普通の人間には見えないけど、魔法少女なら持ち主でなくても見えてしまう。
五歳の頃に初めて見えて、画面にオデコにコブを作った自分が映ってビックリ。後で分かったんだけど、それはアラーム機能が作動して、わたしが何かにぶつかってタンコブをつくるアラームで、その通り、あくる日には友だちとぶつかってタンコブができてしまった。
むろん、持ち主はお祖母ちゃん。
とっくに現役は引退してるんだけど、時どきは首を突っ込んでいるみたい。「便利だよ、メグリも使えばいいのに」って言う。まあ、普通の人間にはスマホにあたるものだからね。
それに、これを使ったら、プロ魔法少女一直線だからね。その手にはのりません。
片づけてやろうとしたら、ダーーーーーーって感じで、1970年に起こる事件が流れる。
ダメだダメだ!
こいつはプロ魔法少女用なんだ、ウィキペディアどころではない情報まで出てくる。1970年の高校に通っている身としては知らない方がいい情報が教科書に蛍光ペンしたところみたいに出てくる。
エイ!
勢いをつけて消す。
消える寸前に見えてしまった――長期アルバイト募集 須之内写真館――の張り紙。
で、学校の帰り道、リアルの募集ポスターを見ている。
撮影助手(不定期) 時給:200円 業務により食費交通費支給 高校生以上
ムムム……令和の感覚だと時給200円は話にならないんだけど、100円で学食のランチが食べられる時代なんだ。
学校と家の往復だけの生活だし……部活はやってないし、やるつもりもないし……お馴染みの須之内写真館だし。
バイトやったら世界が広がる!
カバン抱えて募集ポスターと睨めっこ。
フッと目の焦点距離が変わったかと思うと、ポスター張ったガラスの向こう、笑顔のオネエサンと目が合ってしまう。
ペコリと頭を下げるとニッコリ笑顔が帰ってきて、アルバイトが決まってしまった(^_^;)
「ええ! すごい勇気ですねぇ!」
ロコが目を丸くする。
「須之内写真館のオネエサンて、あちこちの写真雑誌に載ってたりして、けっこう有名な人なんですよ!」
そう言うと、お箸で挟んだコロッケをお皿に戻して五時間目の地理のセットの中からスクラップブックを取り出した。
「あ、また授業中に内職する気だ」
「地理の退屈さは犯罪的ですからねえ、欠点取ってないですしぃ……これこれ!」
開いたページには商店街の真上を飛ぶジャンボジェットの写真が貼ってあった。
「あ、ジャンボの初飛行の時の!」
「オネエサンが撮ったんです。堂々の月刊賞ですよ、家に帰ったら、別の写真もありますよ。Aカメラ賞とかで優勝もしてますし」
「すごい人なんだ」
――出張撮影と取材撮影の両方、月の始めにはスケジュール出すから、月五六回やってもらえると助かる――という話だった。
出張撮影は、短いものだと3時間ぐらいだけど、取材の時は泊りというのもあって、行って帰ってくるまで拘束時間なんで、二日だと1万近くになる。
ロコにフルーツ牛乳を奢って乾杯した。
☆彡 主な登場人物
時司 巡(ときつかさ めぐり) 高校一年生
時司 応(こたえ) 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川 志忠屋のマスター
ペコさん 志忠屋のバイト
猫又たち アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子(ロコ) 1年5組 クラスメート
辻本 たみ子 1年5組 副委員長
高峰 秀夫 1年5組 委員長
吉本 佳奈子 1年5組 保健委員 バレー部
横田 真知子 1年5組 リベラル系女子
加藤 高明(10円男) 留年してる同級生
藤田 勲 1年5組の担任
先生たち 花園先生:4組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長
須之内直美 証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
033『アルバイトすることになる』
また点けっぱなし。
寝っ転がってスマホを見ようと思ったら、ソファーの左側にインタフェイスが浮いている。
魔法少女用の端末で――出てこい――と思ったらどこにでも現れる。
VRやMRで似た機能がある。
ゴーグル被って、出てきたメニューにタッチしたら仮想空間上にインタフェイスが出てくる。あの機能がゴーグルを被らなくってもできるのが魔法少女用インタフェイス。
普通の人間には見えないけど、魔法少女なら持ち主でなくても見えてしまう。
五歳の頃に初めて見えて、画面にオデコにコブを作った自分が映ってビックリ。後で分かったんだけど、それはアラーム機能が作動して、わたしが何かにぶつかってタンコブをつくるアラームで、その通り、あくる日には友だちとぶつかってタンコブができてしまった。
むろん、持ち主はお祖母ちゃん。
とっくに現役は引退してるんだけど、時どきは首を突っ込んでいるみたい。「便利だよ、メグリも使えばいいのに」って言う。まあ、普通の人間にはスマホにあたるものだからね。
それに、これを使ったら、プロ魔法少女一直線だからね。その手にはのりません。
片づけてやろうとしたら、ダーーーーーーって感じで、1970年に起こる事件が流れる。
ダメだダメだ!
こいつはプロ魔法少女用なんだ、ウィキペディアどころではない情報まで出てくる。1970年の高校に通っている身としては知らない方がいい情報が教科書に蛍光ペンしたところみたいに出てくる。
エイ!
勢いをつけて消す。
消える寸前に見えてしまった――長期アルバイト募集 須之内写真館――の張り紙。
で、学校の帰り道、リアルの募集ポスターを見ている。
撮影助手(不定期) 時給:200円 業務により食費交通費支給 高校生以上
ムムム……令和の感覚だと時給200円は話にならないんだけど、100円で学食のランチが食べられる時代なんだ。
学校と家の往復だけの生活だし……部活はやってないし、やるつもりもないし……お馴染みの須之内写真館だし。
バイトやったら世界が広がる!
カバン抱えて募集ポスターと睨めっこ。
フッと目の焦点距離が変わったかと思うと、ポスター張ったガラスの向こう、笑顔のオネエサンと目が合ってしまう。
ペコリと頭を下げるとニッコリ笑顔が帰ってきて、アルバイトが決まってしまった(^_^;)
「ええ! すごい勇気ですねぇ!」
ロコが目を丸くする。
「須之内写真館のオネエサンて、あちこちの写真雑誌に載ってたりして、けっこう有名な人なんですよ!」
そう言うと、お箸で挟んだコロッケをお皿に戻して五時間目の地理のセットの中からスクラップブックを取り出した。
「あ、また授業中に内職する気だ」
「地理の退屈さは犯罪的ですからねえ、欠点取ってないですしぃ……これこれ!」
開いたページには商店街の真上を飛ぶジャンボジェットの写真が貼ってあった。
「あ、ジャンボの初飛行の時の!」
「オネエサンが撮ったんです。堂々の月刊賞ですよ、家に帰ったら、別の写真もありますよ。Aカメラ賞とかで優勝もしてますし」
「すごい人なんだ」
――出張撮影と取材撮影の両方、月の始めにはスケジュール出すから、月五六回やってもらえると助かる――という話だった。
出張撮影は、短いものだと3時間ぐらいだけど、取材の時は泊りというのもあって、行って帰ってくるまで拘束時間なんで、二日だと1万近くになる。
ロコにフルーツ牛乳を奢って乾杯した。
☆彡 主な登場人物
時司 巡(ときつかさ めぐり) 高校一年生
時司 応(こたえ) 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川 志忠屋のマスター
ペコさん 志忠屋のバイト
猫又たち アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子(ロコ) 1年5組 クラスメート
辻本 たみ子 1年5組 副委員長
高峰 秀夫 1年5組 委員長
吉本 佳奈子 1年5組 保健委員 バレー部
横田 真知子 1年5組 リベラル系女子
加藤 高明(10円男) 留年してる同級生
藤田 勲 1年5組の担任
先生たち 花園先生:4組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長
須之内直美 証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
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