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027『中間テスト前日 思わず喋り込んでしまう』
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
027『中間テスト前日 思わず喋り込んでしまう』
明日から中間テスト。
中学でも定期考査はあったから、とくに新鮮というわけじゃないんだけど、日に二時間しかないというのは嬉しい。
それに、高校の教科は細かく分かれてる。
あ、こんな感じ。
現国 漢文 古文 数Ⅰ一A 数Ⅰ一B リーダ グラマー 地理 地学 生物
他にも、保健体育 家庭科 芸術 なんてのがあるけど、とりあえず中間考査をやるのは上の教科から漢文を除いた9教科。
日に二時間しかやらないから、五日間ずっと中間考査。
中学じゃ三日間で、日に三教科とかあったからちょっと余裕。
「というのが落とし穴なのよ」
と、指を立てるのは真知子さん。
「一学期の中間テストってむつかしいわよね」
マナジリを上げるたみ子さん。
「うん、最初はカマシテくるわよ、どの教科も」
「ええ、そうなんですか?」
ロコは早くもビビってる。
「先週、二年生の追認テストやってたでしょ」
「ああ、見た見た! 数学と英語なんて、教室二つ使ってたよ!」
「たみ子も見たんだ」
「うん、帰ろうと思ったら二年のフロアーが賑やかなんで、見に行ったら『追認考査中につき静粛に』って張り紙がしてあった」
「笑っちゃうわよね、静粛にって貼ってあるけど、受けてる二年生の方が騒がしいんだもんね」
「真面目に受けてないんですかぁ!?」
「いや、さすがにテスト始まったら静かになったけどね」
「あはは、分かるなあ……赤信号みんなで渡れば怖くないって、あたしも、その口だもんね(^_^;)」
ピシャピシャとオデコを叩く佳奈子。
「え、なにそれ、面白~い」
「あ、駅前の交差点、ギリの時間だったら赤信号でも渡っちゃうし」
「ああ、またギリギリで来てるんだ佳奈子」
「なんか、二三年はゆっくり来てるしぃ」
「佳奈子、やっぱり部活に入った方がいいわよ。あんた堕落したのはバレー引退してからだったし」
「あ、いや、それはね(^△^;)」
「ふたり、同じ中学だったの?」
「はい、お二人は同じ谷口(やとぐち)中学です」
「ロコは情報早いねえ!」
「あはは、学級日誌持っていったら先生の机に住所録のゲラが置いてあって」
「え、そんなの見ちゃったの!?」
ちょっとぶったまげた! 個人情報を盗み見るなんてヤバすぎ!
見る方も見る方だけど、生徒の目に留まるとこに置いておく先生も常識ない!
え?
わたしの剣幕に、他の四人は、ちょっと意外な反応。
「メグリ、事情があるんだったら言いに行った方がいいわよ。たぶん、テスト明けには配られるから」
「配るって?」
「住所録、中学でも配られなかった?」
え、個人情報配っちゃうの!?
「え、あ……ああ、そうだった、かな?」
「でも、隠しちゃうと余計目立つと思う」
「いやいや、ド忘れしてただけだし(^_^;)」
「ですよね、緊急連絡するのに必要ですもんねえ」
ロコが指を立て、みんなが頷く。
そうか、スマホが無いから、一斉連絡とかできないんだ。
恐るべし、昭和の常識(;'∀')。
「あ、そろそろ帰らなくっちゃ! もう一時間も喋ってるよ、わたしたち!」
真知子さんが気づいて、やっと学校をあとにした。
定期考査前日は午前中授業でおしまい。で、思わず五人で喋り込んでしまった。真知子さんが言ってくれなかったら、夕方まで喋っていたかもしれない。
帰り道、スマホで検索。
『赤信号みんなで渡れば怖くない』は80年代にツービートで漫才やってた頃にビートたけしさんが流行らせたギャグらしい。佳奈子は生活実感から思わず出てしまったんだろうけど、案外、漫才師に成ったら大成するかもと思った。
1970年5月と打ち込む。
1日、米軍がカンボジアに侵攻。
そうか、この時代ってベトナム戦争の真っ最中、それが拡大の様子なんだ。令和の現代ではウクライナで戦争の真っ最中。五十年たっても世界はあんまり変わっていない。
スクロールすると、先月の24日には中国が初の人工衛星の打ち上げに成功していた。
ふと見たガスタンクは目いっぱい高くなって、奥宮駅に着くまでにレット・イット・ビーをワンコーラス聞けた。
☆彡 主な登場人物
時司 巡(ときつかさ めぐり) 高校一年生
時司 応(こたえ) 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川 志忠屋のマスター
ペコさん 志忠屋のバイト
猫又たち アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子 1年5組 クラスメート
辻本 たみ子 1年5組 副委員長
高峰 秀夫 1年5組 委員長
吉本 佳奈子 1年5組 保健委員
横田 真知子 1年5組 リベラル系女子
加藤 高明 留年してる同級生
藤田 勲 1年5組の担任
先生たち 花園先生:4組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野
須之内写真館 証明写真を撮ってもらった、優しいおねえさんのいる写真館
027『中間テスト前日 思わず喋り込んでしまう』
明日から中間テスト。
中学でも定期考査はあったから、とくに新鮮というわけじゃないんだけど、日に二時間しかないというのは嬉しい。
それに、高校の教科は細かく分かれてる。
あ、こんな感じ。
現国 漢文 古文 数Ⅰ一A 数Ⅰ一B リーダ グラマー 地理 地学 生物
他にも、保健体育 家庭科 芸術 なんてのがあるけど、とりあえず中間考査をやるのは上の教科から漢文を除いた9教科。
日に二時間しかやらないから、五日間ずっと中間考査。
中学じゃ三日間で、日に三教科とかあったからちょっと余裕。
「というのが落とし穴なのよ」
と、指を立てるのは真知子さん。
「一学期の中間テストってむつかしいわよね」
マナジリを上げるたみ子さん。
「うん、最初はカマシテくるわよ、どの教科も」
「ええ、そうなんですか?」
ロコは早くもビビってる。
「先週、二年生の追認テストやってたでしょ」
「ああ、見た見た! 数学と英語なんて、教室二つ使ってたよ!」
「たみ子も見たんだ」
「うん、帰ろうと思ったら二年のフロアーが賑やかなんで、見に行ったら『追認考査中につき静粛に』って張り紙がしてあった」
「笑っちゃうわよね、静粛にって貼ってあるけど、受けてる二年生の方が騒がしいんだもんね」
「真面目に受けてないんですかぁ!?」
「いや、さすがにテスト始まったら静かになったけどね」
「あはは、分かるなあ……赤信号みんなで渡れば怖くないって、あたしも、その口だもんね(^_^;)」
ピシャピシャとオデコを叩く佳奈子。
「え、なにそれ、面白~い」
「あ、駅前の交差点、ギリの時間だったら赤信号でも渡っちゃうし」
「ああ、またギリギリで来てるんだ佳奈子」
「なんか、二三年はゆっくり来てるしぃ」
「佳奈子、やっぱり部活に入った方がいいわよ。あんた堕落したのはバレー引退してからだったし」
「あ、いや、それはね(^△^;)」
「ふたり、同じ中学だったの?」
「はい、お二人は同じ谷口(やとぐち)中学です」
「ロコは情報早いねえ!」
「あはは、学級日誌持っていったら先生の机に住所録のゲラが置いてあって」
「え、そんなの見ちゃったの!?」
ちょっとぶったまげた! 個人情報を盗み見るなんてヤバすぎ!
見る方も見る方だけど、生徒の目に留まるとこに置いておく先生も常識ない!
え?
わたしの剣幕に、他の四人は、ちょっと意外な反応。
「メグリ、事情があるんだったら言いに行った方がいいわよ。たぶん、テスト明けには配られるから」
「配るって?」
「住所録、中学でも配られなかった?」
え、個人情報配っちゃうの!?
「え、あ……ああ、そうだった、かな?」
「でも、隠しちゃうと余計目立つと思う」
「いやいや、ド忘れしてただけだし(^_^;)」
「ですよね、緊急連絡するのに必要ですもんねえ」
ロコが指を立て、みんなが頷く。
そうか、スマホが無いから、一斉連絡とかできないんだ。
恐るべし、昭和の常識(;'∀')。
「あ、そろそろ帰らなくっちゃ! もう一時間も喋ってるよ、わたしたち!」
真知子さんが気づいて、やっと学校をあとにした。
定期考査前日は午前中授業でおしまい。で、思わず五人で喋り込んでしまった。真知子さんが言ってくれなかったら、夕方まで喋っていたかもしれない。
帰り道、スマホで検索。
『赤信号みんなで渡れば怖くない』は80年代にツービートで漫才やってた頃にビートたけしさんが流行らせたギャグらしい。佳奈子は生活実感から思わず出てしまったんだろうけど、案外、漫才師に成ったら大成するかもと思った。
1970年5月と打ち込む。
1日、米軍がカンボジアに侵攻。
そうか、この時代ってベトナム戦争の真っ最中、それが拡大の様子なんだ。令和の現代ではウクライナで戦争の真っ最中。五十年たっても世界はあんまり変わっていない。
スクロールすると、先月の24日には中国が初の人工衛星の打ち上げに成功していた。
ふと見たガスタンクは目いっぱい高くなって、奥宮駅に着くまでにレット・イット・ビーをワンコーラス聞けた。
☆彡 主な登場人物
時司 巡(ときつかさ めぐり) 高校一年生
時司 応(こたえ) 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川 志忠屋のマスター
ペコさん 志忠屋のバイト
猫又たち アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子 1年5組 クラスメート
辻本 たみ子 1年5組 副委員長
高峰 秀夫 1年5組 委員長
吉本 佳奈子 1年5組 保健委員
横田 真知子 1年5組 リベラル系女子
加藤 高明 留年してる同級生
藤田 勲 1年5組の担任
先生たち 花園先生:4組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野
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