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420『ヤマセンブルグの七夕祭』
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せやさかい
420『ヤマセンブルグの七夕祭』詩(ことは)
なんだかクリスマスツリーの感覚(^_^;)
宮殿の前に建てられた笹……という触れ込みの孟宗竹は12メートルを超える高さで、ちょっと怯んでしまう。
「一万人分も短冊が集まったんじゃしかたないわねぇ……」
わたしの車いすを押しながら、呆れたように、それでも楽しそうに頼子さんが動画を撮る。
「ごめんなさい、こんな時にバッテリー切れちゃって」
「いいのよ、この方がゆっくりできるし」
「ふふ、まあ、そうね」
女王陛下の発案で、七夕の短冊を募集した。
陛下が思いつかれたのは、ほんの一週間前。
もともとは、七夕に備えて、わたしの部屋で笹を立ててささやかにやるつもりだった。
「いいわねえ! どうせなら、みんなに呼びかけて元気にやりましょう!」
そうおっしゃって、陛下は王室のホームページで『7月7日に七夕をやります』と提案された。
日本の七夕の紹介と、デジタル短冊を載せられ、希望者は6日までにネットで応募してくださいと書かれた。
その結果、七万以上のデジタル短冊が集まって、それをプリントアウトして付けるのは笹では不十分で、急きょ日本の京都から孟宗竹が軍の輸送機で送られてきた。
朝から宮殿の人たちが総出で取り付け、大型のドローンを使って、ついさっき立ち上げたところ。
『世界が平和になりますように』『女王陛下が長生きされますように』『戦争のない世の中にしてください』というのが多く、『背が高くなりますよう』『彼女と結ばれますように』『給料が上がりますように』とかの個人的なお願いまで、穏やかなものが多かった。
中には特定の国や人物を中傷するようなものもあったけど、それは、あらかじめ注意してあったのでそんなには無かった。
陛下の説明には――日本の伝統行事の一つで宗教的なものではありません――とあったので、抑制がきいたんだと思う。
「アニメの影響もあるんです」
ソフィーが指を立てる。
「「アニメ?」」
「ええ、日常系アニメを中心にして、七夕をモチーフにしたのがけっこうあるんです。ほら……」
タブレットを覗いてみると、この笹飾りのコメントにアニメの資料が、いっぱい添付されていた。
「そうだ、サザエさんとか、毎年出てたし……へえ、ロボットアニメにも出てるんだ、あ、このアニメにも……」
「ゴルゴ13にも七夕出てるかなあ?」
「え、あ、さっそく調べて観ます!」
頼子さんの質問にソフィーは、すぐにググる。
「ムムム……ちょっと、作品にあたってみます!」
「あ、ちょ……行っちゃった」
「ソフィーはゴルゴ13には目が無いからね」
「ねえ、リッチ」
「なに、コットン?」
「今夜、浴衣着て花火しない?」
「あ、いいわねえ!」
提案したんだけど、考えたら肝心の花火が無い(^_^;)
ドッカーーーン! ドッカーーーン!
で、ジョン・スミスが調達してきたヤマセンブルグの花火を上げたんだけど。
「いやあ、これしかなかったから」
打ち上げに使ったのは、陸軍の迫撃砲(;'∀')。
いやはや。
でも、頼子さん、ソフィーと三人、浴衣を着てスイカを食べながら花火を見られて、よきかなよきかな(⌒∇⌒)。
『ねえ、織姫と彦星って、どうして年に一度しか会えないのよ?』
『こんな悲劇がお目出度いわけ?』
『『ありえなーーい!!』』
『あたしなら死ぬ!』
『あたしなら殺す!』
部屋に戻ったら、バンとナンシーがプリントアウトしてあげた『織姫と彦星』を読んでご立腹。
いや、二人とも愛情にかかわる妖精だから手厳しい。
寝る前にメールをチェック。
さくらから、一つ入っていた。
―― ビッグニュース! 留美ちゃんがモデルデビューした! ――
添付資料を開けると、大阪府警の『自転車ヘルメット』のポスターに三種類の留美ちゃんの写真が載っていた!
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校二年生
酒井 歌 さくらの母 現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学三年生 ヤマセンブルグに留学中 妖精のバンシー、リャナンシーが友だち 愛称コットン
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 愛称リッチ
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
ソニー ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか 中二~高一までさくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
百武真鈴(田中真央) 高校生声優の生徒会長
女王陛下 頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首
江戸川アニメの関係者 宗武真(監督) 江原(作監) 武者走(脚本) 宮田(制作進行)
声優の人たち 花園あやめ 吉永百合子 小早川凜太郎
さくらの周辺の人たち ハンゼイのマスター(昴・あきら) 瑞穂(マスターの奥さん) 小鳥遊先生(2年3組の担任) 田中米子(米屋のお婆ちゃん)
420『ヤマセンブルグの七夕祭』詩(ことは)
なんだかクリスマスツリーの感覚(^_^;)
宮殿の前に建てられた笹……という触れ込みの孟宗竹は12メートルを超える高さで、ちょっと怯んでしまう。
「一万人分も短冊が集まったんじゃしかたないわねぇ……」
わたしの車いすを押しながら、呆れたように、それでも楽しそうに頼子さんが動画を撮る。
「ごめんなさい、こんな時にバッテリー切れちゃって」
「いいのよ、この方がゆっくりできるし」
「ふふ、まあ、そうね」
女王陛下の発案で、七夕の短冊を募集した。
陛下が思いつかれたのは、ほんの一週間前。
もともとは、七夕に備えて、わたしの部屋で笹を立ててささやかにやるつもりだった。
「いいわねえ! どうせなら、みんなに呼びかけて元気にやりましょう!」
そうおっしゃって、陛下は王室のホームページで『7月7日に七夕をやります』と提案された。
日本の七夕の紹介と、デジタル短冊を載せられ、希望者は6日までにネットで応募してくださいと書かれた。
その結果、七万以上のデジタル短冊が集まって、それをプリントアウトして付けるのは笹では不十分で、急きょ日本の京都から孟宗竹が軍の輸送機で送られてきた。
朝から宮殿の人たちが総出で取り付け、大型のドローンを使って、ついさっき立ち上げたところ。
『世界が平和になりますように』『女王陛下が長生きされますように』『戦争のない世の中にしてください』というのが多く、『背が高くなりますよう』『彼女と結ばれますように』『給料が上がりますように』とかの個人的なお願いまで、穏やかなものが多かった。
中には特定の国や人物を中傷するようなものもあったけど、それは、あらかじめ注意してあったのでそんなには無かった。
陛下の説明には――日本の伝統行事の一つで宗教的なものではありません――とあったので、抑制がきいたんだと思う。
「アニメの影響もあるんです」
ソフィーが指を立てる。
「「アニメ?」」
「ええ、日常系アニメを中心にして、七夕をモチーフにしたのがけっこうあるんです。ほら……」
タブレットを覗いてみると、この笹飾りのコメントにアニメの資料が、いっぱい添付されていた。
「そうだ、サザエさんとか、毎年出てたし……へえ、ロボットアニメにも出てるんだ、あ、このアニメにも……」
「ゴルゴ13にも七夕出てるかなあ?」
「え、あ、さっそく調べて観ます!」
頼子さんの質問にソフィーは、すぐにググる。
「ムムム……ちょっと、作品にあたってみます!」
「あ、ちょ……行っちゃった」
「ソフィーはゴルゴ13には目が無いからね」
「ねえ、リッチ」
「なに、コットン?」
「今夜、浴衣着て花火しない?」
「あ、いいわねえ!」
提案したんだけど、考えたら肝心の花火が無い(^_^;)
ドッカーーーン! ドッカーーーン!
で、ジョン・スミスが調達してきたヤマセンブルグの花火を上げたんだけど。
「いやあ、これしかなかったから」
打ち上げに使ったのは、陸軍の迫撃砲(;'∀')。
いやはや。
でも、頼子さん、ソフィーと三人、浴衣を着てスイカを食べながら花火を見られて、よきかなよきかな(⌒∇⌒)。
『ねえ、織姫と彦星って、どうして年に一度しか会えないのよ?』
『こんな悲劇がお目出度いわけ?』
『『ありえなーーい!!』』
『あたしなら死ぬ!』
『あたしなら殺す!』
部屋に戻ったら、バンとナンシーがプリントアウトしてあげた『織姫と彦星』を読んでご立腹。
いや、二人とも愛情にかかわる妖精だから手厳しい。
寝る前にメールをチェック。
さくらから、一つ入っていた。
―― ビッグニュース! 留美ちゃんがモデルデビューした! ――
添付資料を開けると、大阪府警の『自転車ヘルメット』のポスターに三種類の留美ちゃんの写真が載っていた!
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校二年生
酒井 歌 さくらの母 現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学三年生 ヤマセンブルグに留学中 妖精のバンシー、リャナンシーが友だち 愛称コットン
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 愛称リッチ
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
ソニー ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか 中二~高一までさくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
百武真鈴(田中真央) 高校生声優の生徒会長
女王陛下 頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首
江戸川アニメの関係者 宗武真(監督) 江原(作監) 武者走(脚本) 宮田(制作進行)
声優の人たち 花園あやめ 吉永百合子 小早川凜太郎
さくらの周辺の人たち ハンゼイのマスター(昴・あきら) 瑞穂(マスターの奥さん) 小鳥遊先生(2年3組の担任) 田中米子(米屋のお婆ちゃん)
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