401 / 432
401『早川のお婆ちゃん 一年の宿泊学習』
しおりを挟む
せやさかい
401『早川のお婆ちゃん 一年の宿泊学習』さくら
ヘルメットを被って一週間。
初日は自転車を降りて戸惑った。
「どないしょ?」
自転車を降りると、とたんにヘルメットは邪魔。
ヘルメット被って電車に乗るわけにもいかへん。
「持って行こうか?」
持っていけんこともないけど、満員電車では気が引けるし、きっと迷惑。校門入るとこで生指の先生に呼び止められそうやし。
さくらちゃ~ん! 留美ちゃ~ん!
お店の方から声がかかったんでビックリ!
瑞穂さんが亡くなってからずっと閉めてたはずのハンゼイが開いてる。
で、開けたドアから、檀家の早川のお婆ちゃんがオイデオイデしてる。
「あ、おはようございます!」
「お婆ちゃん、そのかっこう!?」
早川のお婆ちゃんは、瑞穂さんが着てたんと同じコスで、あっぱれ喫茶店の超ベテランフロア係り!
「若いころ、ミナミの喫茶店で働いてたさかいなあ」
あとは言わんと、ニッコリ笑って手を出す。反射的にヘルメットを渡す。
「入り口入ったとこに掛けとくさかい」
「ありがとう!」「ありがとうございます!」
檀家さんとはありがたいもんです。
それにしても、檀家のお婆ちゃんらは元気です(^_^;)。
「早川のお婆ちゃん、10歳くらい若く見えたね」
「アッカンベ48やし!」
「あはは、そうだね」
「ま、気ぃつけていっといでや」
「「いってきまーす」」
早川のお婆ちゃんはAKBは知らんかったけど『会いたかった』とかは知ってた。BGM的に耳に入ってたんやろね。
そんで、ハンゼイのマスターの苦境を知って、昔取った杵柄で話つけてんわ。
それから一週間。
新学年も半月たって、すっかり日常モードで校門の見える角を曲がった。
「「え?」」
二人そろって驚いた。
校門からバスが次々に出ていく。
「一年生の子たちだよ」
「遠足?」
「いや、宿泊学習だ」
気が付くと、横をソニーが歩いてる。
「おはよう、ソニー」
「ああ、おはよう。さくらたちは無かったんだろ宿泊学習?」
「行きたかったあ!」
「あはは、コ▢ナだったからね」
「宿泊学習て、どこに行きやるんやろ?」
「神鍋という話だぞ」
「え、神鍋言うたらスキー場やんか!」
「いまは四月だぞ」
「あ、せやった(^_^;)」
「留美ちゃん、クラスには慣れたか?」
「え、あ……うん」
「園田先生は気は効かないが面倒見のいい先生だ。日ごろからコミニケーションを忘れないことだな」
あいかわらずの軍人口調やけど、人のことよう見てる。
「じゃあ、今日は日直だから先に行く」
「「うん」」
スタスタと先に行くソニーを見てると、なにかせんとあかんような気になってきた。
「よし、散策部でどっかいこか!」
「そうだね、四月になって、まだどこにも行ってないもんね」
校門を潜ると、ちょうど最後のクラスのバスが出ていくとこ。
窓から見える一年生たちは楽しそうな子やら不安そうな子、早くも寝てる子。
元気そうな中にも緊張感があって、一年前の自分らの姿と重なった。
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
ソニー ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか 中二~高一までさくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
百武真鈴(田中真央) 高校生声優の生徒会長
女王陛下 頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首
江戸川アニメの関係者 宗武真(監督) 江原(作監) 武者走(脚本) 宮田(制作進行) 花園あやめ(声優)
さくらをとりまく人たち ハンゼイのマスター(昴・あきら) 瑞穂(マスターの奥さん) 小鳥遊先生(2年3組の担任) 田中米子(米屋のお婆ちゃん)
401『早川のお婆ちゃん 一年の宿泊学習』さくら
ヘルメットを被って一週間。
初日は自転車を降りて戸惑った。
「どないしょ?」
自転車を降りると、とたんにヘルメットは邪魔。
ヘルメット被って電車に乗るわけにもいかへん。
「持って行こうか?」
持っていけんこともないけど、満員電車では気が引けるし、きっと迷惑。校門入るとこで生指の先生に呼び止められそうやし。
さくらちゃ~ん! 留美ちゃ~ん!
お店の方から声がかかったんでビックリ!
瑞穂さんが亡くなってからずっと閉めてたはずのハンゼイが開いてる。
で、開けたドアから、檀家の早川のお婆ちゃんがオイデオイデしてる。
「あ、おはようございます!」
「お婆ちゃん、そのかっこう!?」
早川のお婆ちゃんは、瑞穂さんが着てたんと同じコスで、あっぱれ喫茶店の超ベテランフロア係り!
「若いころ、ミナミの喫茶店で働いてたさかいなあ」
あとは言わんと、ニッコリ笑って手を出す。反射的にヘルメットを渡す。
「入り口入ったとこに掛けとくさかい」
「ありがとう!」「ありがとうございます!」
檀家さんとはありがたいもんです。
それにしても、檀家のお婆ちゃんらは元気です(^_^;)。
「早川のお婆ちゃん、10歳くらい若く見えたね」
「アッカンベ48やし!」
「あはは、そうだね」
「ま、気ぃつけていっといでや」
「「いってきまーす」」
早川のお婆ちゃんはAKBは知らんかったけど『会いたかった』とかは知ってた。BGM的に耳に入ってたんやろね。
そんで、ハンゼイのマスターの苦境を知って、昔取った杵柄で話つけてんわ。
それから一週間。
新学年も半月たって、すっかり日常モードで校門の見える角を曲がった。
「「え?」」
二人そろって驚いた。
校門からバスが次々に出ていく。
「一年生の子たちだよ」
「遠足?」
「いや、宿泊学習だ」
気が付くと、横をソニーが歩いてる。
「おはよう、ソニー」
「ああ、おはよう。さくらたちは無かったんだろ宿泊学習?」
「行きたかったあ!」
「あはは、コ▢ナだったからね」
「宿泊学習て、どこに行きやるんやろ?」
「神鍋という話だぞ」
「え、神鍋言うたらスキー場やんか!」
「いまは四月だぞ」
「あ、せやった(^_^;)」
「留美ちゃん、クラスには慣れたか?」
「え、あ……うん」
「園田先生は気は効かないが面倒見のいい先生だ。日ごろからコミニケーションを忘れないことだな」
あいかわらずの軍人口調やけど、人のことよう見てる。
「じゃあ、今日は日直だから先に行く」
「「うん」」
スタスタと先に行くソニーを見てると、なにかせんとあかんような気になってきた。
「よし、散策部でどっかいこか!」
「そうだね、四月になって、まだどこにも行ってないもんね」
校門を潜ると、ちょうど最後のクラスのバスが出ていくとこ。
窓から見える一年生たちは楽しそうな子やら不安そうな子、早くも寝てる子。
元気そうな中にも緊張感があって、一年前の自分らの姿と重なった。
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
ソニー ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか 中二~高一までさくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
百武真鈴(田中真央) 高校生声優の生徒会長
女王陛下 頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首
江戸川アニメの関係者 宗武真(監督) 江原(作監) 武者走(脚本) 宮田(制作進行) 花園あやめ(声優)
さくらをとりまく人たち ハンゼイのマスター(昴・あきら) 瑞穂(マスターの奥さん) 小鳥遊先生(2年3組の担任) 田中米子(米屋のお婆ちゃん)
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ポテチ ポリポリ ダイエット それでも痩せちゃった
ma-no
エッセイ・ノンフィクション
この話は、筆者が毎夜、寝る前にボテチを食べながらもダイエットを成功させた話である。
まだ目標体重には届いていませんが、予想より早く体重が減っていっているので調子に乗って、その方法を書き記しています。
お腹ぽっこり大賞……もとい!
「第2回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしています。
是非ともあなたの一票を、お願い致します。
怪物街道
ちゃぴ
ライト文芸
ある人間が、様々な妖怪達と出会うお話です。
ひょんなことから迷い込み、そこで出会う妖怪達と一悶着と仲直り。
色々な事に直面しても、彼らはなんだかんだで笑い合う。
一人一人の想いが繋がり、そして物語になっていく…。
さて、本編は、難しい言葉も出てきますし、誤った情報が出てくる可能性もございます。
そこはあの、この物語はフィクションですという魔法の言葉に助けてもらおうかと。
拙い御伽噺を楽しんでいただければと思います。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
春の記憶
宮永レン
ライト文芸
結婚式を目前に控えている星野美和には、一つだけ心残りがあった。
それは、遠距離恋愛の果てに別れてしまった元恋人――宝井悠樹の存在だ。
十年ぶりに彼と会うことになった彼女の決断の行方は……
ロボ彼がしたい10のこと
猫屋ちゃき
ライト文芸
恋人の死に沈んでいる星奈のもとに、ある日、怪しげな二人組が現れる。
その二人組はある人工知能およびロボット制御の研究員を名乗り、星奈に人型ロボットのモニターになってくれないかと言い出す。
人間の様々な感情や経験のサンプルを採らせるのがモニターの仕事で、謝礼は弾むという。
高額の謝礼と、その精巧な人形に見える人型ロボットが亡くなった恋人にどことなく似ていることに心惹かれ、星奈はモニターを引き受けることに。
モニターの期間は三ヶ月から半年。
買い物に行ったり、映画を見たり、バイトをしたり……
星奈とロボットの彼・エイジの、【したいことリスト】をひとつひとつ叶えていく日々が始まった。
しのぶ想いは夏夜にさざめく
叶けい
BL
看護師の片倉瑠維は、心臓外科医の世良貴之に片想い中。
玉砕覚悟で告白し、見事に振られてから一ヶ月。約束したつもりだった花火大会をすっぽかされ内心へこんでいた瑠維の元に、驚きの噂が聞こえてきた。
世良先生が、アメリカ研修に行ってしまう?
その後、ショックを受ける瑠維にまで異動の辞令が。
『……一回しか言わないから、よく聞けよ』
世良先生の哀しい過去と、瑠維への本当の想い。
昼と夜の間の女
たみやえる
ライト文芸
林 颯人は、整った甘い顔立ちのイケメン。モテる割に浮いた話もないので女性社員から〈白馬の王子様〉と目されているが、本人はいわゆる熟女しか好きになれない自分の嗜好に悩んでいる。親友の結婚話に落ち込んだその日、密かに交際していた歳上の恋人からも別れを告げられて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる