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385『ちょっと寂しい日曜の夜』
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せやさかい
385『ちょっと寂しい日曜の夜』さくら
お風呂入りに部屋を出たばっかりの留美ちゃんが戻ってきた。
またパンツ間違えた?
同じ部屋で寝起きしてるうちらやけど、衣類は別々に仕舞ってる。
制服とかは同じ真理愛学院のやし、別々の収納。
それ以外は、一つのタンスを引き出しに『さくら』『留美』と書いて共用。
入れる引き出しが別々やから、出し入れで間違うことはあれへん。
せやけどね、取り込んだ洗濯物を分ける時に、時どき間違う。
下着なんかには『S』と『R』とのイニシャル入れたあるねんけど、時どき間違う(^_^;)。
うちは間違うてもかめへんねんけど、じっさい二度ほど間違うて「アハハ、留美ちゃんの穿いてたあ( ´艸`)」で済むねんけど、留美ちゃんは気にする。詩(ことは)ちゃんに言うと「留美ちゃんの方が普通だよ」とか「いつまでも小学生の感覚でいちゃダメだよ」とか意見される。
せやさかい、お風呂場まで行って念のために確認したら間違ってた……で、戻ってきたんかと思た。
「少しいいかなあ」
背中にかけられた声は詩ちゃんやった。
「アハハ、留美ちゃんかと思た(^_^;)、なに?」
「えと……」
コタツに入って、ミカンの皮を剥こうとして、けっきょく止めてから切り出した。
「あたし、家を出る」
「え…………?」
「正確に言うと、日本を出る。二年間、とりあえずね」
「え、高跳びすんの!?」
「高跳び? なんで?」
「警察に追われて的な? みたいな? ぽい?」
「ぽくないわよ」
「流行ってるやん、フィリピンとかに」
「わたしはルフィーか!」
「イテ」
空手チョップを食らわせられる。
「じつは、留学するんだ」
「落第!?」
「それは留年じゃ!」
「あはは( ´艸`)」
「コ▢ナで延び延びになってたけど、やっとね」
「どこに留学するのん?」
「……ヤマセンブルグ」
「え、ヤマセンブルグ!?」
「去年、行ったでしょ、エディンバラとヤマセンブルグ……」
「うん、二キロ太って帰った」
「さくらは食べてばっかりだったよねえ」
「そんな、尊敬せんといて(^_^;)」
「してないから」
「さよか」
「妖精とか古代ゲルマン人とか、おとぎ話が、まだ現役で生きてるのよ」
「ああ、あったあった! 妖精の飛び出し注意の標識とか、笑ってしまっちゃいました!」
「旅行中に、三回ほど女王陛下と個人的にお話したの」
「ええ、せやったん?」
「資料や本には無いおとぎ話とか古代神話とか、妖精のお話とか」
「せや、最初に行った時は、ソフィーがリアル悪魔祓いしてた!(053『エディンバラ・9』)」
「『そんなに、フォークロアが好きなら、いっそ留学に来ない?』て勧めてくださって」
「な、なるへそ……よかったやんか!」
「あ、ありがとう」
「ほんなら、歓送会せならあかんやんか! 伯母ちゃんに言うてこなら……」
「さくらぁ」
え……詩ちゃんが袖を掴む。
「明日には出るんだよ、日本を……」
「え……ええ!?」
「ごめん、つい言いそびれて」
「う、ううん、そんなん気にせんとって!」
「ありがとう」
「そや! ということは、向こうで二年間は頼子さんといっしょなんや!」
「え、ああ、まあね」
「ああ、ちょっとウラヤマやなあ……」
「あ、荷物とかは整理して片づけておいたから、使ってくれていいから、わたしの部屋」
「う、うん……」
ちょっと寂しい日曜の夜になってしもた……。
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
ソニー ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか さくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
百武真鈴(田中真央) 高校生声優の生徒会長
女王陛下 頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首
江戸川アニメの関係者 宗武真(監督) 江原(作監) 武者走(脚本) 宮田(制作進行) 花園あやめ(声優)
さくらをとりまく人たち ハンゼイのマスター(昴・あきら) 瑞穂(マスターの奥さん)
385『ちょっと寂しい日曜の夜』さくら
お風呂入りに部屋を出たばっかりの留美ちゃんが戻ってきた。
またパンツ間違えた?
同じ部屋で寝起きしてるうちらやけど、衣類は別々に仕舞ってる。
制服とかは同じ真理愛学院のやし、別々の収納。
それ以外は、一つのタンスを引き出しに『さくら』『留美』と書いて共用。
入れる引き出しが別々やから、出し入れで間違うことはあれへん。
せやけどね、取り込んだ洗濯物を分ける時に、時どき間違う。
下着なんかには『S』と『R』とのイニシャル入れたあるねんけど、時どき間違う(^_^;)。
うちは間違うてもかめへんねんけど、じっさい二度ほど間違うて「アハハ、留美ちゃんの穿いてたあ( ´艸`)」で済むねんけど、留美ちゃんは気にする。詩(ことは)ちゃんに言うと「留美ちゃんの方が普通だよ」とか「いつまでも小学生の感覚でいちゃダメだよ」とか意見される。
せやさかい、お風呂場まで行って念のために確認したら間違ってた……で、戻ってきたんかと思た。
「少しいいかなあ」
背中にかけられた声は詩ちゃんやった。
「アハハ、留美ちゃんかと思た(^_^;)、なに?」
「えと……」
コタツに入って、ミカンの皮を剥こうとして、けっきょく止めてから切り出した。
「あたし、家を出る」
「え…………?」
「正確に言うと、日本を出る。二年間、とりあえずね」
「え、高跳びすんの!?」
「高跳び? なんで?」
「警察に追われて的な? みたいな? ぽい?」
「ぽくないわよ」
「流行ってるやん、フィリピンとかに」
「わたしはルフィーか!」
「イテ」
空手チョップを食らわせられる。
「じつは、留学するんだ」
「落第!?」
「それは留年じゃ!」
「あはは( ´艸`)」
「コ▢ナで延び延びになってたけど、やっとね」
「どこに留学するのん?」
「……ヤマセンブルグ」
「え、ヤマセンブルグ!?」
「去年、行ったでしょ、エディンバラとヤマセンブルグ……」
「うん、二キロ太って帰った」
「さくらは食べてばっかりだったよねえ」
「そんな、尊敬せんといて(^_^;)」
「してないから」
「さよか」
「妖精とか古代ゲルマン人とか、おとぎ話が、まだ現役で生きてるのよ」
「ああ、あったあった! 妖精の飛び出し注意の標識とか、笑ってしまっちゃいました!」
「旅行中に、三回ほど女王陛下と個人的にお話したの」
「ええ、せやったん?」
「資料や本には無いおとぎ話とか古代神話とか、妖精のお話とか」
「せや、最初に行った時は、ソフィーがリアル悪魔祓いしてた!(053『エディンバラ・9』)」
「『そんなに、フォークロアが好きなら、いっそ留学に来ない?』て勧めてくださって」
「な、なるへそ……よかったやんか!」
「あ、ありがとう」
「ほんなら、歓送会せならあかんやんか! 伯母ちゃんに言うてこなら……」
「さくらぁ」
え……詩ちゃんが袖を掴む。
「明日には出るんだよ、日本を……」
「え……ええ!?」
「ごめん、つい言いそびれて」
「う、ううん、そんなん気にせんとって!」
「ありがとう」
「そや! ということは、向こうで二年間は頼子さんといっしょなんや!」
「え、ああ、まあね」
「ああ、ちょっとウラヤマやなあ……」
「あ、荷物とかは整理して片づけておいたから、使ってくれていいから、わたしの部屋」
「う、うん……」
ちょっと寂しい日曜の夜になってしもた……。
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 聖真理愛女学院高校三年生
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