せやさかい

武者走走九郎or大橋むつお

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352『今日から試験……の朝』

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せやさかい

352『今日から試験……の朝』さくら    




 忘れてたわけやないねんけど、今日からテスト、中間考査。


 そのせいか、昨日はあれだけ晴れてた空が、どんよりと曇り空。

 うちから自転車に乗って堺東のスナック『れいぜい』の駐車場。

「「お早うございます!」」

 今日から試験でも、ドンヨリ曇り空でも、留美ちゃんと二人、明るく挨拶は欠かしません。

「「おはよう!」」

 え、挨拶が二つ返ってきた?

 最初の頃は、お店のドア開けて挨拶したんやけど、お店は朝の営業中。「まあ、顔合わせた時だけでええで」とマスターの親友でもあるテイ兄ちゃんが言うので、駐車場で顔合わせた時だけにしてます。

 朝は、食パンやら牛乳やらのデリバリー、スタッフの(言うてもマスターとアルバイトさん)の制服クリーニングの受け取り、ゴミの運び出しなんかで、50%くらいの確率で会います。

 で、もう一回言います。挨拶が二つ返ってきた。

 マスターが同じスタッフの制服着たきれいな女の人と荷物運んでるやおまへんか!

 うちらも、十六年生きてきた人生の経験で分かるんです。

 この二人は夫婦、あるいは夫婦に近い関係、それも成たてのホヤホヤ!

 とうぜん、十六歳のJKとしては、瞬間で頬染めてニヘラ~と笑てしまうんです!

「あ、まだ式は挙げてへんねんけど、奥さんの亜里沙( #´o`#)。この子らは話してた友だちの身内で、さくらと留美ちゃんや、アハハハ(n*´ω`*n)」

「家内の亜里沙です、よろしく( #´o`#)」

「「はい、こちらこそ!!」」

 元気よくお辞儀して駐車場を出る。

「あ、せや!」

「え、どうしたの?」

「ちょ、待ってて!」

 うちは、取って返して、裏口から店に入ろうとしてたマスターを掴まえる!

「え、なに?」

「このこと、うちのテイ兄ちゃんは知ってるんですか?」

「え、あ……まだ知らんと思う」

「了解!」

 もう信号のとこまで行ってる留美ちゃんに簡単に説明。

「え、そうなの!?」

「なんか訳ありみたいやけど、これは面白いと思わへん?」

「え、お目出度いことでしょ」

「これ、テイ兄ちゃんに言うたったら、どんな顔しよるやろなあ( ´艸`)」

「ちょっと、ひとが悪いよ(^_^;)」

「さて、どんな風に話したろかなあ……クククク」

「さくら、今日から試験だって忘れてるでしょ?」

「え、あ、せやった!」

「今日は英語と公民だよ、分かってるよね、一学期、英語は欠点だったんだからね」

「憶えてますぅ」

「だったら、集中集中! 電車来るまで単語の復習するよ!」

「へいへい……」

「なに、ブツブツ言ってんの」

「いえ、ただのお念仏です」

「阿弥陀様は、極楽往生しか保証はしてくれません。勉強ばかりは自力作善です」

 ああ、留美ちゃんも、すっかりお寺の子になってしまいました。




☆・・主な登場人物・・☆

酒井 さくら    この物語の主人公  聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌      さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観     さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念     さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一     さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保     さくらの義理の伯母 諦一 詩の母 
榊原 留美     さくらと同居 中一からの同級生 
夕陽丘頼子     さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー      ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
ソニー       ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか     さくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
女王陛下      頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首 

 

 
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