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312『これでカシコなる!』

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せやさかい

312『これでカシコなる!』さくら   




 オシ! これでカシコなる!


 頼子さん手づからお御守りを渡されてガッツポーズ!

 頼子さんの右にはソフィー! 左側には留美ちゃんとメグリン!

 頼子さんは言うまでも無くヤマセンブルグの王女さま! ソフィーは文字通りのガード! 見た目も実質も優等生の留美ちゃん! 身の丈178センチの守護神みたいなメグリン! そんで後ろの授与所(神社の売店)にはニコニコと福の神みたいな神主さん(ペコちゃん先生のお父さん)。これで酒井さくらは、もう欠点二個挽回どころか、優等生の仲間入り間違いなし!

「あ、ありがとうございます!」

 パチパチパチパチ!

 みんな拍手してくれて、みんなで拝殿の前に立ってトドメのお参り!

「さくらが、目出度く欠点を回復して賢くなりますように!」

 頼子さんが声に出してお願いしてくれて、全員で一礼。

 そんでもって、鳥居を出る時に納めの一礼。

 ゴン

 鈍い音がしたかと思うと、守護神が頭押さえてる。

「どないしたん?」

「お辞儀したら、鳥居に頭……」

「だいじょうぶ?」

「だいじょうぶ、ちょっと打っただけ……」

 よう見ると、鳥居の幅は女子五人が横並びになるには、ちょっと狭い。

 それで、頭を下げた拍子に守護神メグリンは鳥居の柱に擦るようにして頭を打ったんや。

 よう見ると、鳥居は上に行くほど微妙に内側に傾いてる。というか、末広になってて、目出度さを表してるんやと思うんやけど。それで、メグリンは目測を誤って、頭を打ってしもたんや。

 よう見ると、神社の規模の割に鳥居が小さい。

 ペコちゃん先生も、神社の仕事するために近場の聖真理愛に就職した言うてたし、神社、ちょっと苦しいんちゃうやろか。

「よし、あたしがカシコなって、将来お金持ちになったら鳥居を寄進しよ!」

 ちょっと気が大きなってしもた。

「この鳥居は二の鳥居ですねんわ」

 お父さんの神主さんが寄ってきて説明してくれはる。

「え、ということは、別に一の鳥居があるんですか!?」

 一同を代表するように頼子さんが質問。

「はい、あっちの方に」

 お父さんが指差したのは、鳥居前の道をはるか東の方。

「え、あれは別の神社のじゃ?」

 鳥居の向こうには、こんもりと緑が茂ってる。

「あれは、昔からの庄屋さんのお屋敷です」

「ということは、この道全部が参道なんですか!?」

 道は、どう見ても500メートル以上はあって、途中を四車線の大きな幹線道路が横切ってる。

「参道を兼ねた馬場なんですわ。昔は、一の鳥居から二の鳥居まで馬を走らせて、奉納競馬をやってたんです」

「そ、それは知らなかったデス!」

 ソフィーが代表するように感動の声を上げた!

「うん、あの四車線からあっちは散策部でも行ったことがないからね」

「それやったら、いっかい観に行ったらよろしい、大阪市の参考文化財にも指定されてるさかいにね」

「うう……行ってみたい」

「殿下、きょうは、総領事と会食の日です。五時半までに領事館に戻らなければなりません」

 ソフィーがガードモードの小声で呟いて、頼子さんは唸った。

「よし、そろそろ散策部の活動も本格化するからね。みんなもそのつもりで!

 おお!

 みんなも調子を合わせて、うちの成績不振が、みんなのテンションをあげる結果になった(^_^;)

 めでたしめでたし。




☆・・主な登場人物・・☆

酒井 さくら    この物語の主人公  聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌      さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観     さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念     さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一     さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保     さくらの義理の伯母 諦一 詩の母 
榊原 留美     さくらと同居 中一からの同級生 
夕陽丘頼子     さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王位継承者 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー      頼子のガード
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
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