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303『メグリン』
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せやさかい
303『メグリン』さくら
集めてるというほどやないけど、テイ兄ちゃんは10個ほどのフィギュアを持ってる。
ときどき「ええやろ~(^▽^)」言うて見せてくれるんやけど、ちょっとキショク悪い。
「この子だけ大きいなあ」と感心したのがある。
スクールアイドルのんやけど、マイク持ってサビの決めポーズみたいな、その子だけが首一つ大きい。
「スケールが違うねん」
「スケール?」
言われんでも、スケール=大きさが違うさかいに、言うてる意味が分かれへん。
「いや、縮尺や。他のは1/7とか1/8やけども、このメグリンは1/6やねん」
「……なんか、圧倒的な存在感やねえ」
「そら、値段もそれなりやったし、スケールが大きい分作り込みもちゃうしなあ(#´ε`# )」
「ああ……そう(^_^;)」
「ほら、これ見てみい」
慣れた手つきでスマホを操作すると、メグリンのイラストがいっぱい。
イラストは普通の背丈で他のメンバーと並んでも違和感はない。
せやけど、テイ兄ちゃんの他のフィギュアと並ぶと、やっぱり圧倒的。
そのメグリンの印象が、ググっと頭に浮かんだ!
留美ちゃんは提出物があるので、今朝は、一人で教室に向かった。
「おはよ……」
と、ドアを開けて声が停まってしもた。
例の席にメグリンが座ってる!
1/7の世界に紛れ込んできた1/6!
窮屈そうに1/7の席に座って頬杖付いて外を見てる。たまたま朝一番やったんで、この瞬間、教室はうちとメグリンの二人。
他の子が居ったらごまかしようもあるんやけど、二人だけやから、対応せんと気まずいやおまへんか!
「~~~ヾ(^∇^)おはよー♪」
メグリンが振り返って笑顔で挨拶してくれる。
「あ、ああ、~~~ヾ(^∇^)おはよー♪」
おんなじテンションで返す。
人間関係は最初が肝心。
なんか気の利いたことを言お思て、一拍遅れてしもた。
「いや、隣の席なんだね、よろしく、古閑(こげん)めぐり。よろしくね」
「はいぃ、うち酒井さくら。よろ~」
「ごめん、座ったままだたね、よいしょっと……」
「うお~~~!」
「アハハ、背丈だけはあるから、もうしわけない(^_^;)」
立ち上がると、メグリンとは、まるまる首一個分違う。
「なんぼあるのん?」
「ひゃくななじゅう……ごせんち……かな?」
「153センチやし……」
「ああ……いいよね、それくらいが……」
「いやいや、そんなことあれへんよ! 背丈なんて、数ある個性の一つやし」
「あはは、そうだよね、酒井さん」
「あ、うちのことは『さくら』でええさかいに!」
「そうか、じゃ、わたしのこともメグリンでいいよ」
「メグリンて呼ばれてたん?」
「ううん、メグとかメグッチとか、進撃の巨人とか」
「ああ……」
「メグミって間違われることが多かったけど、正しくはめぐりだからね、メグリンはいいと思う」
「そうか、メグリやねんねえ、大阪におったわりには訛ないねんねえ、あ、うち安泰中学やったし」
「そうか、先生が言ってた隣の中学ってさくらのことだったんだ!」
「あ、もう一人おるよ。ほら、いま入ってきた子」
ちょうど留美ちゃんが入ってきた。さすがに、うちみたいな無作法な反応はせえへん。
「おはよう」
「あ、おはよう……」
ポーカーフェイスで座ろうとするから、フォローする。
「榊原留美、おんなじ安泰中学、留美ちゃんも標準語っぽいから馴染みやすいと思うわ」
「よろしくね、榊原さん。わたし、親の仕事で日本中渡り歩いてるから、どこの方言にもなじめなくって……まあ、そういうことでよろしくね」
「は、はい、こちらこそよろしく」
メグリンは、わざとらしくかがんだりせんと話してくれる。
背丈なんかは、生まれ持った個性やさかい、お互い変な気の遣い方はせん方がええと思う。
内申書のこともあるしね。
うちが気楽に喋れたこともあって、それから続々と入ってきた同級生とも普通にやれてた。
まあ、一年生やし、真理愛学院は真面目っぽい子多いし。
ペコちゃん先生は特になにも言わんと出席とってショートホームルームやって、おしまい。
一時間目が終わったら、入学式からいっしょに居ったみたいになった。
ただ、廊下とか歩いてたら、他のクラスの子ぉらは、ちょっとビックリしてたけどね。
メグリンがスクールアイドルアニメのキャラやと言うたげると、喜んで検索。
アニメのメグリンは『目黒凛』という名前やいうのが分かった。
「おお、ツンデレ! かわいいねえ!」
本人も気に入って、めでたしめでたしの一日やった。
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王位継承者 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー 頼子のガード
古閑 めぐり さくらと留美のクラスメート メグリン
303『メグリン』さくら
集めてるというほどやないけど、テイ兄ちゃんは10個ほどのフィギュアを持ってる。
ときどき「ええやろ~(^▽^)」言うて見せてくれるんやけど、ちょっとキショク悪い。
「この子だけ大きいなあ」と感心したのがある。
スクールアイドルのんやけど、マイク持ってサビの決めポーズみたいな、その子だけが首一つ大きい。
「スケールが違うねん」
「スケール?」
言われんでも、スケール=大きさが違うさかいに、言うてる意味が分かれへん。
「いや、縮尺や。他のは1/7とか1/8やけども、このメグリンは1/6やねん」
「……なんか、圧倒的な存在感やねえ」
「そら、値段もそれなりやったし、スケールが大きい分作り込みもちゃうしなあ(#´ε`# )」
「ああ……そう(^_^;)」
「ほら、これ見てみい」
慣れた手つきでスマホを操作すると、メグリンのイラストがいっぱい。
イラストは普通の背丈で他のメンバーと並んでも違和感はない。
せやけど、テイ兄ちゃんの他のフィギュアと並ぶと、やっぱり圧倒的。
そのメグリンの印象が、ググっと頭に浮かんだ!
留美ちゃんは提出物があるので、今朝は、一人で教室に向かった。
「おはよ……」
と、ドアを開けて声が停まってしもた。
例の席にメグリンが座ってる!
1/7の世界に紛れ込んできた1/6!
窮屈そうに1/7の席に座って頬杖付いて外を見てる。たまたま朝一番やったんで、この瞬間、教室はうちとメグリンの二人。
他の子が居ったらごまかしようもあるんやけど、二人だけやから、対応せんと気まずいやおまへんか!
「~~~ヾ(^∇^)おはよー♪」
メグリンが振り返って笑顔で挨拶してくれる。
「あ、ああ、~~~ヾ(^∇^)おはよー♪」
おんなじテンションで返す。
人間関係は最初が肝心。
なんか気の利いたことを言お思て、一拍遅れてしもた。
「いや、隣の席なんだね、よろしく、古閑(こげん)めぐり。よろしくね」
「はいぃ、うち酒井さくら。よろ~」
「ごめん、座ったままだたね、よいしょっと……」
「うお~~~!」
「アハハ、背丈だけはあるから、もうしわけない(^_^;)」
立ち上がると、メグリンとは、まるまる首一個分違う。
「なんぼあるのん?」
「ひゃくななじゅう……ごせんち……かな?」
「153センチやし……」
「ああ……いいよね、それくらいが……」
「いやいや、そんなことあれへんよ! 背丈なんて、数ある個性の一つやし」
「あはは、そうだよね、酒井さん」
「あ、うちのことは『さくら』でええさかいに!」
「そうか、じゃ、わたしのこともメグリンでいいよ」
「メグリンて呼ばれてたん?」
「ううん、メグとかメグッチとか、進撃の巨人とか」
「ああ……」
「メグミって間違われることが多かったけど、正しくはめぐりだからね、メグリンはいいと思う」
「そうか、メグリやねんねえ、大阪におったわりには訛ないねんねえ、あ、うち安泰中学やったし」
「そうか、先生が言ってた隣の中学ってさくらのことだったんだ!」
「あ、もう一人おるよ。ほら、いま入ってきた子」
ちょうど留美ちゃんが入ってきた。さすがに、うちみたいな無作法な反応はせえへん。
「おはよう」
「あ、おはよう……」
ポーカーフェイスで座ろうとするから、フォローする。
「榊原留美、おんなじ安泰中学、留美ちゃんも標準語っぽいから馴染みやすいと思うわ」
「よろしくね、榊原さん。わたし、親の仕事で日本中渡り歩いてるから、どこの方言にもなじめなくって……まあ、そういうことでよろしくね」
「は、はい、こちらこそよろしく」
メグリンは、わざとらしくかがんだりせんと話してくれる。
背丈なんかは、生まれ持った個性やさかい、お互い変な気の遣い方はせん方がええと思う。
内申書のこともあるしね。
うちが気楽に喋れたこともあって、それから続々と入ってきた同級生とも普通にやれてた。
まあ、一年生やし、真理愛学院は真面目っぽい子多いし。
ペコちゃん先生は特になにも言わんと出席とってショートホームルームやって、おしまい。
一時間目が終わったら、入学式からいっしょに居ったみたいになった。
ただ、廊下とか歩いてたら、他のクラスの子ぉらは、ちょっとビックリしてたけどね。
メグリンがスクールアイドルアニメのキャラやと言うたげると、喜んで検索。
アニメのメグリンは『目黒凛』という名前やいうのが分かった。
「おお、ツンデレ! かわいいねえ!」
本人も気に入って、めでたしめでたしの一日やった。
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王位継承者 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー 頼子のガード
古閑 めぐり さくらと留美のクラスメート メグリン
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