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301『え(#°д°#)!?』

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せやさかい

301『え(#°д°#)!?』さくら 



 殺生やなあ……


 朝ごはんの食器を洗てたら、ダイニングのテーブルでテイ兄ちゃんの声。

「なにが殺生やのん?」

 残りの食器を取りにリビングへ行くと、新聞見ながら口を尖らせとおる。

「中学の内申書や、75人分も間違うてて、合格するハズやった子が入試落とされてたんや。逆に、ほんまの内申よりも高くなった子もおって、わやくちゃや」

「ええ、どこの間抜けな街?」

「堺市や」


 え(#°д°#)!?


 思わず持ってた食器を落としてしもた!

「あっと!」

 うちの性格をよう知ってる留美ちゃんが、ダッシュして来て受け止めてくれる。

「アハハハハ」

 笑ってごまかしたけど、ちょっと足元の地面が無くなってしもた感じ。

 入学以来、学校の中が珍しくって留美ちゃんと探検しまくり。探検しすぎてクラスの事には目ぇ向いてへんので、担任のペコちゃん先生に怒られた。

 留美ちゃんは、ええ子やさかいに、直ぐに切り替えられたけど、うちはあきません。

 むろん教室には居るようにしたんやけど、じっとしてると眠たなってくる。

 ほんでもって、どうかすると授業中も寝てしまう。

 さすがに、現社の時間、ペコちゃん先生にあてられて「ハヒ!?」って返事して起きたんやけど、寝起きのブチャムクレ。デボチンは赤いし、ヨダレは垂れてるし、クラスのみんなに笑われるし。

 他の教科でもウツラウツラすることが多くて、これではあかんなあと思う。


 うちは、ほかの子ぉよりもアホなんちゃうやろか……?


 そんなことをチラホラ思てたとこ。

 そこに『内申書間違い事件』ですやんか、それも、ほんまの内申よりも高くなった子も居るって!

 きっとうちのことや!

 どないしょ!?

『酒井さん、あなたの入試成績は、本来の合格点に達していないことが判明しました。申し訳ないけど、合格を取り消します』

 校長室に呼び出されて校長先生から宣告されてる姿が浮かび上がって来る。

「ちょっと、へんな妄想するんじゃないわよ(^_^;)」

 今や姉妹同然の留美ちゃんには、すぐに知れてしもて恥ずかしい。

「アハハ、だいじょぶだいじょぶ(^_^;)」


 で、家の手伝いやらしてるうちに忘れてしもたら、なんとペコちゃん先生がやってきた。


「やっぱ、お寺とか神社とかは落ち着くね……」

 ご本尊の阿弥陀さんに手を合わせてから、振り返るペコちゃん。

「学校に残してるもの取りにきたついで」

 この場合の学校は安泰中学。先生も寛いでしまうと地が出てしまうみたい。

「ところで……」

 切り出されて、朝の事が蘇る。

 いきなり校長先生に言われたらショックやから、担任のペコちゃん先生が下話に来た!?

 ちょ、留美ちゃん、なんでうちの手ぇ握るん!?

「じつはね……」

「はひ(;'∀')」

「月曜からうちのクラスに入って来る子がいるの」

「「え?」」

「わけは言えないんだけど、堺の中学の子でね。うちのクラスで堺から来てるのはさくらと留美ちゃんだけだから、気に掛けてあげてくれると嬉しいの」

「「え、あ……」」

「ハハ、ますます、本当の姉妹みたいになってきたね」

「ハハ、よう言われます」

「えと、その人の名前とかは?」

「……ま、月曜のお楽しみということで。じゃ、これで失礼するわ」

「はい」


 山門まで見送りに行くと、ピザ屋のデリバリーみたいな赤い屋根付きバイク。

「中古で買ったの、屋根も付いてるし三輪だしね、荷物もっぱい入るんだよ。嬉しくってワックス掛けたらピッカピカ」

「新車みたいですね!」

「ボディーに不二家って書いたらピッタリ!」

「え、あ、アハハハハ」

 ふり残りの雨が、バイクのボディーにもペコちゃん先生の頬っぺたにも小気味よく弾かれて、ええ感じ。

 思わずスマホを出して三人で写真を撮りました。山門の葉桜がきれいな緑で、うちらもバイクも瑞々しく栄えて、ちょっと嬉しかったです。



☆・・主な登場人物・・☆

酒井 さくら    この物語の主人公  聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌      さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観     さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念     さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一     さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保     さくらの義理の伯母 諦一 詩の母 
榊原 留美     さくらと同居 中一からの同級生 
夕陽丘頼子     さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王位継承者 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー      頼子のガード

 
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