301 / 432
301『え(#°д°#)!?』
しおりを挟む
せやさかい
301『え(#°д°#)!?』さくら
殺生やなあ……
朝ごはんの食器を洗てたら、ダイニングのテーブルでテイ兄ちゃんの声。
「なにが殺生やのん?」
残りの食器を取りにリビングへ行くと、新聞見ながら口を尖らせとおる。
「中学の内申書や、75人分も間違うてて、合格するハズやった子が入試落とされてたんや。逆に、ほんまの内申よりも高くなった子もおって、わやくちゃや」
「ええ、どこの間抜けな街?」
「堺市や」
え(#°д°#)!?
思わず持ってた食器を落としてしもた!
「あっと!」
うちの性格をよう知ってる留美ちゃんが、ダッシュして来て受け止めてくれる。
「アハハハハ」
笑ってごまかしたけど、ちょっと足元の地面が無くなってしもた感じ。
入学以来、学校の中が珍しくって留美ちゃんと探検しまくり。探検しすぎてクラスの事には目ぇ向いてへんので、担任のペコちゃん先生に怒られた。
留美ちゃんは、ええ子やさかいに、直ぐに切り替えられたけど、うちはあきません。
むろん教室には居るようにしたんやけど、じっとしてると眠たなってくる。
ほんでもって、どうかすると授業中も寝てしまう。
さすがに、現社の時間、ペコちゃん先生にあてられて「ハヒ!?」って返事して起きたんやけど、寝起きのブチャムクレ。デボチンは赤いし、ヨダレは垂れてるし、クラスのみんなに笑われるし。
他の教科でもウツラウツラすることが多くて、これではあかんなあと思う。
うちは、ほかの子ぉよりもアホなんちゃうやろか……?
そんなことをチラホラ思てたとこ。
そこに『内申書間違い事件』ですやんか、それも、ほんまの内申よりも高くなった子も居るって!
きっとうちのことや!
どないしょ!?
『酒井さん、あなたの入試成績は、本来の合格点に達していないことが判明しました。申し訳ないけど、合格を取り消します』
校長室に呼び出されて校長先生から宣告されてる姿が浮かび上がって来る。
「ちょっと、へんな妄想するんじゃないわよ(^_^;)」
今や姉妹同然の留美ちゃんには、すぐに知れてしもて恥ずかしい。
「アハハ、だいじょぶだいじょぶ(^_^;)」
で、家の手伝いやらしてるうちに忘れてしもたら、なんとペコちゃん先生がやってきた。
「やっぱ、お寺とか神社とかは落ち着くね……」
ご本尊の阿弥陀さんに手を合わせてから、振り返るペコちゃん。
「学校に残してるもの取りにきたついで」
この場合の学校は安泰中学。先生も寛いでしまうと地が出てしまうみたい。
「ところで……」
切り出されて、朝の事が蘇る。
いきなり校長先生に言われたらショックやから、担任のペコちゃん先生が下話に来た!?
ちょ、留美ちゃん、なんでうちの手ぇ握るん!?
「じつはね……」
「はひ(;'∀')」
「月曜からうちのクラスに入って来る子がいるの」
「「え?」」
「わけは言えないんだけど、堺の中学の子でね。うちのクラスで堺から来てるのはさくらと留美ちゃんだけだから、気に掛けてあげてくれると嬉しいの」
「「え、あ……」」
「ハハ、ますます、本当の姉妹みたいになってきたね」
「ハハ、よう言われます」
「えと、その人の名前とかは?」
「……ま、月曜のお楽しみということで。じゃ、これで失礼するわ」
「はい」
山門まで見送りに行くと、ピザ屋のデリバリーみたいな赤い屋根付きバイク。
「中古で買ったの、屋根も付いてるし三輪だしね、荷物もっぱい入るんだよ。嬉しくってワックス掛けたらピッカピカ」
「新車みたいですね!」
「ボディーに不二家って書いたらピッタリ!」
「え、あ、アハハハハ」
ふり残りの雨が、バイクのボディーにもペコちゃん先生の頬っぺたにも小気味よく弾かれて、ええ感じ。
思わずスマホを出して三人で写真を撮りました。山門の葉桜がきれいな緑で、うちらもバイクも瑞々しく栄えて、ちょっと嬉しかったです。
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王位継承者 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー 頼子のガード
301『え(#°д°#)!?』さくら
殺生やなあ……
朝ごはんの食器を洗てたら、ダイニングのテーブルでテイ兄ちゃんの声。
「なにが殺生やのん?」
残りの食器を取りにリビングへ行くと、新聞見ながら口を尖らせとおる。
「中学の内申書や、75人分も間違うてて、合格するハズやった子が入試落とされてたんや。逆に、ほんまの内申よりも高くなった子もおって、わやくちゃや」
「ええ、どこの間抜けな街?」
「堺市や」
え(#°д°#)!?
思わず持ってた食器を落としてしもた!
「あっと!」
うちの性格をよう知ってる留美ちゃんが、ダッシュして来て受け止めてくれる。
「アハハハハ」
笑ってごまかしたけど、ちょっと足元の地面が無くなってしもた感じ。
入学以来、学校の中が珍しくって留美ちゃんと探検しまくり。探検しすぎてクラスの事には目ぇ向いてへんので、担任のペコちゃん先生に怒られた。
留美ちゃんは、ええ子やさかいに、直ぐに切り替えられたけど、うちはあきません。
むろん教室には居るようにしたんやけど、じっとしてると眠たなってくる。
ほんでもって、どうかすると授業中も寝てしまう。
さすがに、現社の時間、ペコちゃん先生にあてられて「ハヒ!?」って返事して起きたんやけど、寝起きのブチャムクレ。デボチンは赤いし、ヨダレは垂れてるし、クラスのみんなに笑われるし。
他の教科でもウツラウツラすることが多くて、これではあかんなあと思う。
うちは、ほかの子ぉよりもアホなんちゃうやろか……?
そんなことをチラホラ思てたとこ。
そこに『内申書間違い事件』ですやんか、それも、ほんまの内申よりも高くなった子も居るって!
きっとうちのことや!
どないしょ!?
『酒井さん、あなたの入試成績は、本来の合格点に達していないことが判明しました。申し訳ないけど、合格を取り消します』
校長室に呼び出されて校長先生から宣告されてる姿が浮かび上がって来る。
「ちょっと、へんな妄想するんじゃないわよ(^_^;)」
今や姉妹同然の留美ちゃんには、すぐに知れてしもて恥ずかしい。
「アハハ、だいじょぶだいじょぶ(^_^;)」
で、家の手伝いやらしてるうちに忘れてしもたら、なんとペコちゃん先生がやってきた。
「やっぱ、お寺とか神社とかは落ち着くね……」
ご本尊の阿弥陀さんに手を合わせてから、振り返るペコちゃん。
「学校に残してるもの取りにきたついで」
この場合の学校は安泰中学。先生も寛いでしまうと地が出てしまうみたい。
「ところで……」
切り出されて、朝の事が蘇る。
いきなり校長先生に言われたらショックやから、担任のペコちゃん先生が下話に来た!?
ちょ、留美ちゃん、なんでうちの手ぇ握るん!?
「じつはね……」
「はひ(;'∀')」
「月曜からうちのクラスに入って来る子がいるの」
「「え?」」
「わけは言えないんだけど、堺の中学の子でね。うちのクラスで堺から来てるのはさくらと留美ちゃんだけだから、気に掛けてあげてくれると嬉しいの」
「「え、あ……」」
「ハハ、ますます、本当の姉妹みたいになってきたね」
「ハハ、よう言われます」
「えと、その人の名前とかは?」
「……ま、月曜のお楽しみということで。じゃ、これで失礼するわ」
「はい」
山門まで見送りに行くと、ピザ屋のデリバリーみたいな赤い屋根付きバイク。
「中古で買ったの、屋根も付いてるし三輪だしね、荷物もっぱい入るんだよ。嬉しくってワックス掛けたらピッカピカ」
「新車みたいですね!」
「ボディーに不二家って書いたらピッタリ!」
「え、あ、アハハハハ」
ふり残りの雨が、バイクのボディーにもペコちゃん先生の頬っぺたにも小気味よく弾かれて、ええ感じ。
思わずスマホを出して三人で写真を撮りました。山門の葉桜がきれいな緑で、うちらもバイクも瑞々しく栄えて、ちょっと嬉しかったです。
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王位継承者 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー 頼子のガード
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ニート生活5年、俺の人生、あと半年。
桜庭 葉菜
ライト文芸
27歳、男、大卒、なのに無職、そして独身、挙句に童貞。
家賃4万、1Rのボロアパート。
コンビニでバイトか家で過ごすだけの毎日。
「俺の人生、どこで狂ったんだろう……」
そんな俺がある日医者に告げられた。
「余命半年」
だから俺は決めたんだ。
「どうせ死ぬなら好き勝手生きてみよう」
その決断が俺の残り少ない人生を大きく変えた。
死を代償に得た、たった半年の本当の人生。
「生きるのってこんなに楽しくて、案外簡単だったんだな……」
藤堂正道と伊藤ほのかのおしゃべり
Keitetsu003
ライト文芸
このお話は「風紀委員 藤堂正道 -最愛の選択-」の番外編です。
藤堂正道と伊藤ほのか、その他風紀委員のちょっと役に立つかもしれないトレビア、雑談が展開されます。(ときには恋愛もあり)
*小説内に書かれている内容は作者の個人的意見です。諸説あるもの、勘違いしているものがあっても、ご容赦ください。
一よさく華 -嵐の予兆-
八幡トカゲ
ライト文芸
暮れ六つ過ぎ。
十日ごとに遊郭に現れる青年がいる。
柚月一華(ゆづき いちげ)。
元人斬り。
今は、かつて敵であった宰相、雪原麟太郎(ゆきはら りんたろう)の小姓だ。
人々の好奇の目も気に留めず、柚月は「白玉屋」の花魁、白峯(しらみね)の元を訪れる。
遊ぶためではない。
主の雪原から申し渡された任務のためだ。
隣国「蘆(あし)」の謀反の気配。
それを探る報告書を受け取るのが、柚月の今回の任務だ。
そんな中、柚月にじわりじわりと迫ってくる、人斬りだったことへの罪の意識。
「自分を大事にしないのは、自分のことを大事にしてくれている人を、大事にしていない」
謎の言葉が、柚月の中に引っかかって離れない。
「自分を大事にって、どういうことですか?」
柚月の真直ぐな問いに、雪原は答える。
「考えなさい。その答えは、自分で見つけなさい」
そう言って、父のように優しく柚月の頭を撫でた。
一つよに咲く華となれ。
紡ぐ言の葉
千里
ライト文芸
あるところにひとりぼっちの少女が二人いました。
一人の少女は幼い頃に親を悲惨な事故に遭い、搬送先の病院からの裏切り、引き取られた先での酷い扱い。様々なことがあって、彼女からは心因性のもので表情と感情が消えてしまった。しかし、一人のヒーローのような人に会ってから生きていく上で必要最低限必要な感情と、ほんの少しだけ、表情が戻った。それでも又、失うのが怖くてどこか心を閉ざしていた。
そんな中無理矢理にでも扉をこじ開けて心の中にすとんと入ってきた2人の人がいた。少女はそんな2人のことを好きになった。
一人は幼い頃からの産みの家族からの酷い扱い、そんな事情があって暖かく迎えてくれた、新しい家族の母親の早すぎる死。心が壊れるには十分すぎたのだった。人に固執せず、浅い付き合いでなるべく自分か消えても何も残らないように生きていようとしていた。
そんな中、何度も何度も手を伸ばして救い出してくれたのは一人の少年の存在で、死のうとしているといつも怒る一人の少女の姿があった。
これはそんな2人が紡いでいく一つの波乱万丈な人生のお話────。
三年で人ができること
桃青
ライト文芸
もし三年後に死ぬとしたら。占いで自分にもう三年しか生きられないと告げられた男は、死を感じながら、平凡な日常を行き尽くそうとする。壮大でもなく、特別でもなく、ささやかに生きることを、残された時間で模索する、ささやかな話です。
ベスティエン ――強面巨漢×美少女の〝美女と野獣〟な青春恋愛物語
花閂
ライト文芸
人間の女に恋をしたモンスターのお話がハッピーエンドだったことはない。
鬼と怖れられモンスターだと自覚しながらも、恋して焦がれて愛さずにはいられない。
恋するオトメと武人のプライドの狭間で葛藤するちょっと天然の少女・禮と、モンスターと恐れられるほどの力を持つ強面との、たまにシリアスたまにコメディな学園生活。
名門お嬢様学校に通う少女が、彼氏を追いかけて最悪の不良校に入学。女子生徒数はわずか1%という特異な環境のなか、入学早々にクラスの不良に目をつけられたり暴走族にさらわれたり、学園生活は前途多難。
周囲に鬼や暴君やと恐れられる強面の彼氏は禮を溺愛して守ろうとするが、心配が絶えない。
異世界でゆるゆる生活を満喫す
葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。
もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。
家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。
ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる