上 下
294 / 432

294『対面式とオリエンテーション』

しおりを挟む
せやさかい

294『対面式とオリエンテーション』さくら   




 今日は朝から対面式。

 
 だれと対面するのかと思たら、二三年生のお姉さま方全員と!

 ペコちゃん先生に先導されて、向かったのは入学式をやった体育館。

 すでに、二三年生は体育館に入ってて始業式の真っ最中。

 A組の先生が、入り口で、なにやら中の先生に告げると、ザワザワと大勢が移動する気配。

 続いて、静かで荘厳なミサ曲みたいなんが流れる中、A組から入って行く。

 入った時は、まだ移動の真っ最中。

 うちら一年生が入って行くにしたがって、上級生の移動は進んでいき、フロアの真ん中が空いて、両脇に二年と三年、真ん中に一年が収まる。

 パチパチパチパチパチパチパチパチ(*´꒳`*ノノ゛

 その間、お姉さま方や先生方が笑顔で拍手してくれて、めっちゃ感激!

 中学の時みたいに男子は居らへんし、オチャラケたやつも居らへん。

 なんや、にこやかな中にも粛々とした秩序があって、宝塚みたい(#^_^#)。


 この対面式のスタイルは、明治時代に学校ができて以来の伝統らしい。


「去年は、コ□ナのために、開校以来続いた対面式ができませんでしたが、今年はマスクをしながらでも行うことができました。二年生は、この形で迎えることができませんでしたが、その分、卒業式にはがんばります。がんばりましょう。それでは……」

 壇上の校長先生が指揮者のように両手を挙げる。

 入学おめでとう!!

 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!

 なんちゅうこと、二三年生のお姉さま方が、一斉にお祝いの言葉と、前にも増して、割れんばかりの拍手!

 あ、あかん、涙腺崩壊(৹˃ᗝ˂৹)やあ!

 式そのものは、あっという間に終わって、続いてオリエンテーション。

 連れていかれたんは、チャペルやおまへんか!

 15年の人生でチャペルなんちゅうもんに入るのは初めて!

 入り口はマホガニーとかの観音開きでホールになってて、ホールにもう一つの観音開き。

 
 おお(⁽⁽ ⁰ ⁾⁾ Д ⁽⁽ ⁰ ⁾⁾)!


 荘厳なパイプオルガンが奏でられ、赤じゅうたんのバージンロードがあったら、そのまんま、ごっつい結婚式ができるんちゃうかいうくらいの雰囲気! ドラゴンクェストやったら、ここで旅の記録=セーブしたくなる(^_^;)とこ。

 通路は真ん中の大きいやつの他に、左右に、もう一本づつの通路。

 手際よく、八つのクラスが、それぞれの通路から指定された席に着く。

 照明が凝ってるなあと思たら、正面と両側がステンドグラス!

 配色がええせいか、お日さんの光が、めちゃ凝った照明みたいになって、めちゃめちゃ雰囲気!

 席に着いて十秒ほどすると、ちょうどパイプオルガンの演奏が終わって、プレーヤーのシスターが立ち上がった……と思たら、そのシスターは学院長やおまへんか!

「本来なら、ここで入学式を行うところでしたが、コ□ナのために使えませんでした……」

 校長先生と似たようなお話から入らはる。

 なんや、為になるようなことを言うてくれはったようやねんけど、一つも覚えてません。


 帰り道、留美ちゃんと今日の感動をピーチクパーチク。


「対面式、感動だったよねえ!」

「うんうん!」

「入ってくと、上級生が潮が引くみたいに一年生の場所を空けてくれて、あれって、出エジプト記だよね!」

「え、出エ……?」

「モーゼがさ、ユダヤの民を引き連れて、紅海まで出てくると海の水がザザザーーって左右に開いて、みんなで逃げられるんだよね。文芸部の時『ベンハー』って映画のダイジェスト観たでしょ!?」

「え……あ、せやったせやった(^_^;)」

 いいえ、ぜんぜん覚えてません。たぶん、ダミアを抱っこしてモフモフ遊んでました。

 言わへんけど……。


☆・・主な登場人物・・☆

酒井 さくら   この物語の主人公  聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌     さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観    さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦一    さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩     さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保    さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美    さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子    さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王位継承者 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー      頼子のガード 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

いきなりマイシスターズ!~突然、訪ねてきた姉妹が父親の隠し子だと言いだしたんですが~

桐条京介
ライト文芸
社会人で独身の男、立花透は帰宅したとある日の夜、自宅前に座る二人の少女と出会う。 少女は姉妹で姉を里奈、妹を奈流といった。 姉妹は透をお兄ちゃんと呼び、事情を聞くと透の亡き父の娘だという。 母親が亡くなって行くところがないので住まわせてくれと懇願され、本当に異母兄妹なのか疑問に思いつつも透は承諾して、同居生活を始めるのだった。 ※他サイトとの重複投稿作品です。

パパLOVE

卯月青澄
ライト文芸
高校1年生の西島香澄。 小学2年生の時に両親が突然離婚し、父は姿を消してしまった。 香澄は母を少しでも楽をさせてあげたくて部活はせずにバイトをして家計を助けていた。 香澄はパパが大好きでずっと会いたかった。 パパがいなくなってからずっとパパを探していた。 9年間ずっとパパを探していた。 そんな香澄の前に、突然現れる父親。 そして香澄の生活は一変する。 全ての謎が解けた時…きっとあなたは涙する。 ☆わたしの作品に目を留めてくださり、誠にありがとうございます。 この作品は登場人物それぞれがみんな主役で全てが繋がることにより話が完成すると思っています。 最後まで読んで頂けたなら、この言葉の意味をわかってもらえるんじゃないかと感じております。 1ページ目から読んで頂く楽しみ方があるのはもちろんですが、私的には「三枝快斗」篇から読んでもらえると、また違った楽しみ方が出来ると思います。 よろしければ最後までお付き合い頂けたら幸いです。

回転木馬が止まるとき

関谷俊博
ライト文芸
ぼくは寂しかった。栞も寂しかった。だけど、寂しさを持ち寄ると、ほんの少しだけ心が温かくなるみたいだ。

桜の花びら舞う夜に(毎週火・木・土20時頃更新予定)

夕凪ゆな@コミカライズ連載中
ライト文芸
※逆ハーものではありません ※当作品の沖田総司はSっ気強めです。溺愛系沖田がお好きな方はご注意ください ▼あらすじ  ――私、ずっと知らなかった。  大切な人を失う苦しみも、悲しみも。信じていた人に裏切られたときの、絶望も、孤独も。  自分のいた世界がどれほどかけがえのないもので、どんなに価値のあるものだったのか、自分の居場所がなくなって、何を信じたらいいのかわからなくて、望むものは何一つ手に入らない世界に来て初めて、ようやくその価値に気付いた。  ――幕末。  それは私の知らない世界。現代にはあるものが無く、無いものがまだ存在している時代。  人の命は今よりずっと儚く脆く、簡単に消えてしまうのに、その価値は今よりずっと重い。  私は、そんな世界で貴方と二人、いったい何を得るのだろう。どんな世界を見るのだろう。  そして世界は、この先私と貴方が二人、共に歩くことを許してくれるのだろうか。  運命は、私たちがもとの世界に帰ることを、許してくれるのだろうか。  ――いいえ……例え運命が許さなくても、世界の全てが敵になっても、私たちは決して諦めない。  二人一緒なら乗り越えられる。私はそう信じてる。  例え誰がなんと言おうと、私たちはもといた場所へ帰るのだ……そう、絶対に――。 ◆検索ワード◆ 新撰組/幕末/タイムスリップ/沖田総司/土方歳三/近藤勇/斎藤一/山南敬助/藤堂平助/原田左之助/永倉新八/山崎烝/長州/吉田稔麿/オリキャラ/純愛/推理/シリアス/ファンタジー/W主人公/恋愛

【完結】全てを滅するのは、どうかしら

楽歩
恋愛
「どんなものでも消せるとしたら、…私は、この世から何を消したいのだろう」エミリア・ヴァルデン侯爵令嬢の魔法は、強く願ったものを消し去る闇魔法。 幼い頃、両親が亡くなったエミリアは、婚約者であるクロード・コルホネン伯爵令息の家で暮らしていた。いずれ家族になるのだからと。大好きな義兄と離れるのは嫌だったが、優しい婚約者とその父親に囲まれ、幸せに過ごしていた…しかし… クロードの継母とその連れ子であるフルールが来てから、そして、クロードには見えない、あの黒い靄が濃くなってきた頃、何もかもが悪い方向へと変わっていった。 ※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o)) 55話+番外編で、完結しました。

病弱な悪役令息兄様のバッドエンドは僕が全力で回避します!

松原硝子
BL
三枝貴人は総合病院で働くゲーム大好きの医者。 ある日貴人は乙女ゲームの制作会社で働いている同居中の妹から依頼されて開発中のBLゲーム『シークレット・ラバー』をプレイする。 ゲームは「レイ・ヴァイオレット」という公爵令息をさまざまなキャラクターが攻略するというもので、攻略対象が1人だけという斬新なゲームだった。 プレイヤーは複数のキャラクターから気に入った主人公を選んでプレイし、レイを攻略する。 一緒に渡された設定資料には、主人公のライバル役として登場し、最後には断罪されるレイの婚約者「アシュリー・クロフォード」についての裏設定も書かれていた。 ゲームでは主人公をいじめ倒すアシュリー。だが実は体が弱く、さらに顔と手足を除く体のあちこちに謎の湿疹ができており、常に体調が悪かった。 両親やごく親しい周囲の人間以外には病弱であることを隠していたため、レイの目にはいつも不機嫌でわがままな婚約者としてしか映っていなかったのだ。 設定資料を読んだ三枝は「アシュリーが可哀想すぎる!」とアシュリー推しになる。 「もしも俺がアシュリーの兄弟や親友だったらこんな結末にさせないのに!」 そんな中、通勤途中の事故で死んだ三枝は名前しか出てこないアシュリーの義弟、「ルイス・クロフォードに転生する。前世の記憶を取り戻したルイスは推しであり兄のアシュリーを幸せにする為、全力でバッドエンド回避計画を実行するのだが――!?

乙女先生とゆかいな人たち女神たち

武者走走九郎or大橋むつお
ライト文芸
岸和田生まれの乙女先生は希望ヶ丘青春高等学校に転勤を命ぜられた。 校名だけは爽やかだが、内実は……言うも憚られることが多かった。 しかし、持ち前のバイタリティーと歳より若く見えるルックスで乗り切っていくのだ。

聖夜のアンティフォナ~君の声は、夜を照らすあかりになる~

雨愁軒経
ライト文芸
ある年の冬。かつて少年ピアニストとして世界を飛び回っていた高校生・天野冬彦は、缶コーヒーを落としたことがきっかけで、聾者の少女・星川あかりと出会う。 冬彦のピアノの音を『聴こえる』と笑ってくれる彼女との、聖夜のささやかな恋物語。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・地名とは一切関係ありません。 ※また、この作品には一般に差別用語とされる言葉が登場しますが、作品の性質によるもので、特定の個人や団体を誹謗中傷する目的は一切ございません。ご了承ください。

処理中です...