せやさかい

武者走走九郎or大橋むつお

文字の大きさ
上 下
277 / 432

277『合格(^▽^)!』

しおりを挟む
せやさかい

277『合格(^▽^)!』     



 バサリ  バタン  ギーー  ハラリ  ガチャリ  ガラリ  カラカラ  ガックン  ブーーン

 どれやと思います?

 人生のページがめくられる音! 幕が開く音! 扉が開く音! ギアが切り替わる音! 一コマ進む音!

「雲が晴れる感じ!」

 留美ちゃんが変化球を投げてくる。

「せやね、なんか生まれかわったような……」

「うん、そうだよ。さくらもわたしも生まれかわったんだよ(^▽^)!」

「せや、女子高生留美とさくらの爆誕記念や!」

「なんか大げさ(^_^;)」

 アハハハハハハハハ

 二人抱き合うようにしてコタツの前で転けまわった。


 そうなんです!

 留美ちゃんと二人、聖真理愛学院に通ったんです!


「そうだ、写真撮っとこうよ!」

「うん、そうだね!」

 スマホを出して、コタツの上で受験結果を映し出してるパソコンの画面を背景に写真を撮る。

 ミャ~

「よしよし、ダミアもお祝いに来てくれたんやな」

 でもってブタネコダミアを抱っこして……重たい(体重11キロもある)のを今日だけは我慢して、パシャリ。

 プルルル!

「「わっ!」」

 構えたスマホが鳴ってビックリ!

「頼子さんだ!」

『もしもし、どうだった!?』

「「はい、受かりましたっ!」」

『おめでとう(^▽^)!』

「わざわざお電話ありがとうございます!」

「頼子さんにも、すぐ電話しよ思てたんですけど、先越されましたね!」

『うん、わたしも、居てもたってもおられなかったからね』

「ありがとうございます、これで、また一年間いっしょに居れますねえ!」

『うん、いっぱい、みんなで遊ぼうね!』

「なんか、無性に会いたいですねえ!」

「コ□ナじゃなきゃ」

『外なら大丈夫だよ』

「「え?」」

『本堂の前に出てごらん』

「「まさか!?」」


 ダダダダ


 部屋を飛び出して、廊下を通って文芸部の部室を抜けて、本堂の内陣、外陣を抜けて、ガラリと本堂の扉を開ける!

 すると、ちょうど山門脇の自動車の出入り口から見慣れた黒のワンボックス!

「「頼子さーん!!」」

『合格おめでとう!』

 あたしらが駆け寄るのと、頼子さんがドアを開けて出てくるのが同時!

「距離をとってください!」

 助手席を出ながら叫ぶのはソフィー。

 運転席で、どこやらに連絡入れてるのがジョン・スミス。

 うちらも、ヤマセンブルグのセキュリティーには慣れてるんで、ちゃんと、ソーシャルディスタンスを空けてる。

「これを間に挟みます」

 ソフィーが車内から持ち出したのは、折り畳みのテーブルとアクリル板。

 デーーン

 据えられたテーブルには、お祝いの花束が据えられ、騒ぎに気が付いた、うちの家族も嬉しそうに出てくる。

「いやあ、頼子さ~ん(^▽^)!」

 テイ兄ちゃんがいちばん喜んだのは言うまでもありません。

「お祖母ちゃんも、スカイプでお祝いを言いたかったらしんだけどね、急な公務で時間が取れなくて」

「いいえ、そんな、畏れ多い……(;'∀')」

「本当に、合格おめでとう! 落ち着いたら改めてお祝いしようね」

「え、今日やったんか、合格発表!?」

 お祖父ちゃんがボケてる。

「この雰囲気見たら分かるでしょ(^▽^)」

「あ、ついさっき発表されたところだから」

「合格は確信してたけど、やっぱり二人の顔を見て喜びたかったからね」

 頼子さんは、ほんの五分ほどで名残惜しそうに帰って行った。

 屋外やし、もうちょっと居ってもとは思たんやけど、やっぱり立場を考えると、これが限界やねんやろね。

「戦争が近づいてるのかもしれへんなあ……」

 テイ兄ちゃんがぶっそうなことを言う。

「え、なんで?」

「頼子さんのお婆さん、スカイプにも出られんくらい忙しい言うてたやろ」

「うん、公務やからちゃうん?」

「ヤマセンブルグもNATOのやさかいなあ」

「え、納豆?」

「ねえ、人は呼べないけど、今日はうちでお祝いするわよ!」

「え、ほんま!?」

 おばちゃんの呼びかけに、NATOも納豆も吹っ飛んでしまううちらでした。

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

PMに恋したら

秋葉なな
恋愛
高校生だった私を助けてくれた憧れの警察官に再会した。 「君みたいな子、一度会ったら忘れないのに思い出せないや」 そう言って強引に触れてくる彼は記憶の彼とは正反対。 「キスをしたら思い出すかもしれないよ」 こんなにも意地悪く囁くような人だとは思わなかった……。 人生迷子OL × PM(警察官) 「君の前ではヒーローでいたい。そうあり続けるよ」 本当のあなたはどんな男なのですか? ※実在の人物、事件、事故、公的機関とは一切関係ありません 表紙:Picrewの「JPメーカー」で作成しました。 https://picrew.me/share?cd=z4Dudtx6JJ

【 暗黒剣士の聖十字 】 ~属性適正がまさかの闇で騎士団追放。でも魔王と呼ばれるようになった俺の力がないと騎士団が崩壊するって?~

岸本 雪兎
ファンタジー
 闇に飲まれていく世界で彼は気付く。 闇を統べる自分こそが最強だと────  1000年前に闇の属性を統べる邪神を封じ、その封印を維持するために建設された聖堂都市。 そこを守護する誉れ高き聖騎士団。  憧れからその聖騎士団へと入団した1人の少年がいた。 その少年の名はリヒト。 だがリヒトは見習いから騎士へと昇格する際に行われる属性適正の鑑定の儀で、その適正を見出だされたのは『闇』の属性。 基本となる火、水、風、土の4属性とも、上位属性である光の属性とも異なる前代未聞の属性だった。  生まれも平民の出だったリヒトはその忌むべき属性のために1度は団を追われようとしたが、当時の聖騎士団総団長ヴィルヘルムによって救われる。  それからは聖騎士としての力を示すために己の属性である闇を纏って戦場を奔走。 リヒトは数々の戦果をあげる。  だが総団長の辞任と共に新たに総団長となったのはリーンハルトという選民意識の強い貴族の当主。 この男によってリヒトは団を追われ、街を追われる事になった。 その時に敬愛し憧れていた前総団長ヴィルヘルムもリーンハルトの策略によって失脚した事を知る。 だがリヒトの災難はこれで終わらない。 失意のうちに故郷へと戻ったリヒトの目の前には無惨に変わり果てた町並みが広がっていた。 リーンハルトによって平民の村や町は切り捨てられ、魔物の脅威に曝されて。 リヒトの両親もそれによって命を落としていた。  聖騎士団をリーンハルトの手から救うべく、リヒトは聖騎士団と同等の力を持つ王国騎士を目指す。 そのためにまずはギルドで活躍し、名を挙げる事に。 だが聖堂都市を離れたリヒトは気付いた。 闇に侵されていくこの世界で、闇の属性を操る自分が最強である事に。 魔物の軍勢の最強の一角であったフェンリルも討ち、その亡骸から従魔としてスコルとハティの2体の人語を介する魔物を生み出したリヒト。  昼は王国騎士となるべくギルドで成果を。 夜は闇の仮面で素顔を隠し、自身の生んだ魔物の軍勢によって魔物の統治を進めていった。  いつしかその夜の姿を人々は魔王と謳い恐れる。  そしてリヒトが聖堂都市を離れ、邪神の封印に異変が起こりつつあった。 リヒトの退団によって聖堂都市と聖騎士団の滅亡が静かに。 だが確実に始まっていた────

シャングリラ

桃青
ライト文芸
 高校三年生のこずえは、卒業後、大学へ行かず、フリーターになることを決意。だが、好きな人が現れたり、親友が鬱病だったりと、色々問題のある毎日。そんな高校生活ラストイヤーの青春、いや青い心を、できるだけ爽やかに描いた小説です。

オタク女子と優等生男子の帰り道

世万江生紬
ライト文芸
アニメや漫画をこよなく愛す(腐)女子とそんな彼女に振り回される優等生(?)男子のゆるコメディ。

神送りの夜

千石杏香
ホラー
由緒正しい神社のある港町。そこでは、海から来た神が祀られていた。神は、春分の夜に呼び寄せられ、冬至の夜に送り返された。しかしこの二つの夜、町民は決して外へ出なかった。もし外へ出たら、祟りがあるからだ。 父が亡くなったため、彼女はその町へ帰ってきた。幼い頃に、三年間だけ住んでいた町だった。記憶の中では、町には古くて大きな神社があった。しかし誰に訊いても、そんな神社などないという。 町で暮らしてゆくうち、彼女は不可解な事件に巻き込まれてゆく。

処理中です...