243 / 432
243『敬老の日には間があるけど』
しおりを挟む
せやさかい
243『敬老の日には間があるけど』さくら
懐かしいなあ……
テレビを観てたお祖父ちゃんが呟いた。
お祖父ちゃんは、半分引退した坊主なんで、昼間はリビングに居てることが多い。
「人が来はったら出やすいからなあ」
というのが理由(言い訳)
たしかに、おばちゃんは二つ奥の台所とか、家のあちこちで用事してることが多いから、場合によってはお客さんがあっても気ぃつけへんことがある。
「再配達になったら悪いしなあ」
これも頷ける。
郵便屋さんとか宅配が来ても、ピンポ~ンが聞こえへんかったら留守と間違われて再配達になることがあるからね。
せやけど、お祖父ちゃんがリビングに居てるわけは……人恋しいからやと思う( ^ิ艸^ิ゜)。
リビングと、その前の廊下は、うちでいちばん人通りが多い。
家のみんなも、用事が無かったらリビングに来る傾向があるしね。
リビングには80インチのテレビとかがあって、ぼんやり座ってるのにうってつけ。
部屋にテレビがあったら、取りあえずテレビに向かって座ってみる。そんなことてあれへんやろか?
「それはね、ソファーとか、テレビを観やすいように配置してあるからよ」
留美ちゃんの指摘は鋭い。
「まあ、お祖父ちゃんにしたら、取りあえずテレビの前に座ってたらかっこつくからだろうね」
詩(ことは)ちゃんは分析する。
「真っ黒なままの画面見てたら認知症の兆候やぞ」
テイ兄ちゃんは、面白がってる。
そんなん当たり前やんか……と思たら、おっちゃんもおばちゃんも、時々お祖父ちゃんが見てるテレビの画面をチラ見して、真っ黒になってないことをチェック。
で、お祖父ちゃんの観てるのは、おおかたユーチューブ。
「おじいさん若いわねえ」
留美ちゃんは感心する。
「なんでぇ?」
「だって、普通のお年寄りは、漫然とワイドショーとか観てるっていうわよ」
「そうそう、だから日本の年よりは情弱っていうね」
あたしは、テイ兄ちゃんがユーチューブを観易い設定にしてるからやと思う。
ちなみに、お祖父ちゃんの部屋のテレビではユーチューブは見られへん。
「でも、あれって、お好み焼きじゃないの?」
画面に映っているものをチラ見して、留美ちゃんが指摘。
確かにフライパンの中でジュージュー焼けてるのはお好み焼きっぽい。
「だよね……ボールの中にキャベツと小麦粉を溶いたものが入ってて、かき混ぜて、ジュワッと焼いて……あれ、トッピングが無いよ」
「ブタタマの豚抜き?」
「いや、卵も入ってないみたいやし」
「ブタタマの豚卵抜き?」
「ただの『焼き』や」
ウプ(〃艸〃)!
留美ちゃんと詩ちゃんが吹き出す。
「キャベツ焼き作ろか(ˊωˋ*)!」
お祖父ちゃんが振り返る。どうやら、聞こえてたらしい。
うちらは、リビングの隣の茶の間で進路希望調査票を前に、あれこれ相談してたとこ。
そのうち、お祖父ちゃん観てる方が面白なってきて、手がお留守になってたわけです。
で、お祖父ちゃんは娘三人を引き連れてスーパーへ。
通り過がりのオッサンらが、なんや羨ましそうな目つきで見ていきよる。
まあ、敬老の日には間があるけど、お祖父ちゃん孝行の土曜日です(^▽^)。
お好み焼きとキャベツ焼きの違いは、次回に回します。
243『敬老の日には間があるけど』さくら
懐かしいなあ……
テレビを観てたお祖父ちゃんが呟いた。
お祖父ちゃんは、半分引退した坊主なんで、昼間はリビングに居てることが多い。
「人が来はったら出やすいからなあ」
というのが理由(言い訳)
たしかに、おばちゃんは二つ奥の台所とか、家のあちこちで用事してることが多いから、場合によってはお客さんがあっても気ぃつけへんことがある。
「再配達になったら悪いしなあ」
これも頷ける。
郵便屋さんとか宅配が来ても、ピンポ~ンが聞こえへんかったら留守と間違われて再配達になることがあるからね。
せやけど、お祖父ちゃんがリビングに居てるわけは……人恋しいからやと思う( ^ิ艸^ิ゜)。
リビングと、その前の廊下は、うちでいちばん人通りが多い。
家のみんなも、用事が無かったらリビングに来る傾向があるしね。
リビングには80インチのテレビとかがあって、ぼんやり座ってるのにうってつけ。
部屋にテレビがあったら、取りあえずテレビに向かって座ってみる。そんなことてあれへんやろか?
「それはね、ソファーとか、テレビを観やすいように配置してあるからよ」
留美ちゃんの指摘は鋭い。
「まあ、お祖父ちゃんにしたら、取りあえずテレビの前に座ってたらかっこつくからだろうね」
詩(ことは)ちゃんは分析する。
「真っ黒なままの画面見てたら認知症の兆候やぞ」
テイ兄ちゃんは、面白がってる。
そんなん当たり前やんか……と思たら、おっちゃんもおばちゃんも、時々お祖父ちゃんが見てるテレビの画面をチラ見して、真っ黒になってないことをチェック。
で、お祖父ちゃんの観てるのは、おおかたユーチューブ。
「おじいさん若いわねえ」
留美ちゃんは感心する。
「なんでぇ?」
「だって、普通のお年寄りは、漫然とワイドショーとか観てるっていうわよ」
「そうそう、だから日本の年よりは情弱っていうね」
あたしは、テイ兄ちゃんがユーチューブを観易い設定にしてるからやと思う。
ちなみに、お祖父ちゃんの部屋のテレビではユーチューブは見られへん。
「でも、あれって、お好み焼きじゃないの?」
画面に映っているものをチラ見して、留美ちゃんが指摘。
確かにフライパンの中でジュージュー焼けてるのはお好み焼きっぽい。
「だよね……ボールの中にキャベツと小麦粉を溶いたものが入ってて、かき混ぜて、ジュワッと焼いて……あれ、トッピングが無いよ」
「ブタタマの豚抜き?」
「いや、卵も入ってないみたいやし」
「ブタタマの豚卵抜き?」
「ただの『焼き』や」
ウプ(〃艸〃)!
留美ちゃんと詩ちゃんが吹き出す。
「キャベツ焼き作ろか(ˊωˋ*)!」
お祖父ちゃんが振り返る。どうやら、聞こえてたらしい。
うちらは、リビングの隣の茶の間で進路希望調査票を前に、あれこれ相談してたとこ。
そのうち、お祖父ちゃん観てる方が面白なってきて、手がお留守になってたわけです。
で、お祖父ちゃんは娘三人を引き連れてスーパーへ。
通り過がりのオッサンらが、なんや羨ましそうな目つきで見ていきよる。
まあ、敬老の日には間があるけど、お祖父ちゃん孝行の土曜日です(^▽^)。
お好み焼きとキャベツ焼きの違いは、次回に回します。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

妹に婚約者を奪われたので妹の服を全部売りさばくことに決めました
常野夏子
恋愛
婚約者フレデリックを妹ジェシカに奪われたクラリッサ。
裏切りに打ちひしがれるも、やがて復讐を決意する。
ジェシカが莫大な資金を投じて集めた高級服の数々――それを全て売りさばき、彼女の誇りを粉々に砕くのだ。
無敵のイエスマン
春海
青春
主人公の赤崎智也は、イエスマンを貫いて人間関係を完璧に築き上げ、他生徒の誰からも敵視されることなく高校生活を送っていた。敵がいない、敵無し、つまり無敵のイエスマンだ。赤崎は小学生の頃に、いじめられていた初恋の女の子をかばったことで、代わりに自分がいじめられ、二度とあんな目に遭いたくないと思い、無敵のイエスマンという人格を作り上げた。しかし、赤崎は自分がかばった女の子と再会し、彼女は赤崎の人格を変えようとする。そして、赤崎と彼女の勝負が始まる。赤崎が無敵のイエスマンを続けられるか、彼女が無敵のイエスマンである赤崎を変えられるか。これは、無敵のイエスマンの悲哀と恋と救いの物語。
冥界区役所事務官の理不尽研修は回避不可能 〜甘んじて受けたら五つの傷を負わされた〜
田古みゆう
ライト文芸
不慮の事故に巻き込まれた僕。
目覚めた場所は、黄泉の国への入り口だった。
このままでは、地獄行き決定!!
目の前にいる小鬼と事務官は楽しそうにそう言い放つ。
あんまりだ!
何も悪いことなんてしていないのに、そんなのってないだろう〜!!

異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!
マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です
病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。
ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。
「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」
異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。
「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」
―――異世界と健康への不安が募りつつ
憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか?
魔法に魔物、お貴族様。
夢と現実の狭間のような日々の中で、
転生者サラが自身の夢を叶えるために
新ニコルとして我が道をつきすすむ!
『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』
※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。
※非現実色強めな内容です。
※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる