237 / 432
237『修学旅行中止のプリントと保険証』
しおりを挟む
せやさかい
237『修学旅行中止のプリントと保険証』さくら
昨日は虹が出て感動した。
グズグズ続いた雨が、ようやっと明けて晴れ間がのぞいて、朝顔もいっぱい咲いて。
なんか、ワンクール続いた高視聴率ドラマの最終回いう感じやった。
そして、今日も、昼のちょっとの間ぁを除いて晴れ!
ウキウキしてもええはず……やねんけど暑い(;'皿')。
せやさかい、外に出るのはやんぺ。
朝顔に水やりにいったら、境内の地べたから、モワ~~っちゅう感じで湿気が湧き上がってくる。
新聞とりに山門の郵便受けまで行ったら、表の道は、境内以上にモワ~~。
詩(ことは)ちゃんは、大学の用事で朝から出かけるし、留美ちゃんは、ちょっと体調が悪い。
せやさかい、朝の散歩も、今朝は無し。
あ、昨日も行ってへんし、もう、夏休み中の散歩は無しになるかもしれへん。
「病院、付いていこか?」
留美ちゃんは、朝ごはんも喉に通らへんので、大人たちの強い勧めでお医者さんに行くことになった。
「いいよ、たぶん夏バテだし、お医者さんとかも、よく分かってるから」
というので、留美ちゃんは一人でお医者さんとこへ。
まさかコ□ナ……思てても、言いません。
シャレにならへんもんね。
「さくらは、保険証とかは、ちゃんと置いてんねんやろな?」
テイ兄ちゃんがジト目。
留美ちゃんが、さっさと保険証とか診察券とか用意したんで、うちの顔を見る。
これは―― さくらはドンクサイからなあ ――という疑念が色濃く出てる。
「大丈夫やよ! あたしを誰や思てんのんよ!」
ドン!(と、胸を叩く)
で、心配になって、部屋に戻って健康保険証を探す(^_^;)。
元々はおばちゃんに預けたったんやけどね、うちにいっしょに住むと決まった時に、留美ちゃんが「自分のものは自分で管理します」と、大人の宣言をした。
「ほんなら、うちも!」
というわけですわ。
さくらのこっちゃから、きっと、どこに直したか忘れてしもて大慌て!
と、思てるでしょ!? 疑ってるでしょ!? バカにしてるでしょ!?
ガハハハハハハハハ(ò 口 ó)!
ちゃんと出てきましたのですよ、きみぃ~!
で、気が付いた。ブツは出て来たけど、いらんもんが一杯あるのにも気が付いてしもたんや。
昔やってたカードゲーム、小学校の成績表、ポケティッシュいろいろ、クチャクチャのテスト、ジョーカーの無くなったトランプ、 アメチャンの包み紙、 一回だけ使ったテレホンカード、 文庫の帯、 線香花火、 牛丼の割引券、 ピザ屋のチラシ……等々
で、ちょっと整理することにする。
これは?
学校のプリントが出て来たんで、読み返す。
プリントは、四月に配られた『修学旅行延期のお知らせ』ちゅうA4のプリントや。
どこでも、そうやと思うねんけど、うちの学校は五月に予定してた修学旅行を延期した。
理由は、むろんコ□ナ。
プリント配られる前から噂はあったし、よその中学校もせやさかい『ああ、やっぱりなあ』という感じやった。
おばちゃんに言うたら「そらそやろねえ」という返事で、ろくにプリントも見せてなかったんや。
いまさら見せても……ねえ、シワクチャになってしもてるし。
丸めてゴミ箱に……投げたら入れへんかった。
ノソノソ四つん這いで拾いにいって、改めて捨てる。
ほんま、うちらの修学旅行はどないなんねんやろ……。
せや、保険証出てきたん言いにいかなら!
「出てきたでえ、保険証!」
テイ兄ちゃんの鼻先に付きつける。
「そんなドヤ顔で言うことかあ」
「せやかて、ちゃんと持ってたもん!」
「ああ、えらいえらい」
「ちょ、子どもやないねんさかい、頭なでんといてくれる!」
「ああ、すまんすまん」
「ほな、返して」
「ああ……ちょっと待て」
「なんやのん?」
「さくら、これ、去年の保険証やで……」
「うそ!?」
ガーーーーン
もっかい、部屋に戻って、今年の保険証を探すアホのさくらでした(^_^;)。
237『修学旅行中止のプリントと保険証』さくら
昨日は虹が出て感動した。
グズグズ続いた雨が、ようやっと明けて晴れ間がのぞいて、朝顔もいっぱい咲いて。
なんか、ワンクール続いた高視聴率ドラマの最終回いう感じやった。
そして、今日も、昼のちょっとの間ぁを除いて晴れ!
ウキウキしてもええはず……やねんけど暑い(;'皿')。
せやさかい、外に出るのはやんぺ。
朝顔に水やりにいったら、境内の地べたから、モワ~~っちゅう感じで湿気が湧き上がってくる。
新聞とりに山門の郵便受けまで行ったら、表の道は、境内以上にモワ~~。
詩(ことは)ちゃんは、大学の用事で朝から出かけるし、留美ちゃんは、ちょっと体調が悪い。
せやさかい、朝の散歩も、今朝は無し。
あ、昨日も行ってへんし、もう、夏休み中の散歩は無しになるかもしれへん。
「病院、付いていこか?」
留美ちゃんは、朝ごはんも喉に通らへんので、大人たちの強い勧めでお医者さんに行くことになった。
「いいよ、たぶん夏バテだし、お医者さんとかも、よく分かってるから」
というので、留美ちゃんは一人でお医者さんとこへ。
まさかコ□ナ……思てても、言いません。
シャレにならへんもんね。
「さくらは、保険証とかは、ちゃんと置いてんねんやろな?」
テイ兄ちゃんがジト目。
留美ちゃんが、さっさと保険証とか診察券とか用意したんで、うちの顔を見る。
これは―― さくらはドンクサイからなあ ――という疑念が色濃く出てる。
「大丈夫やよ! あたしを誰や思てんのんよ!」
ドン!(と、胸を叩く)
で、心配になって、部屋に戻って健康保険証を探す(^_^;)。
元々はおばちゃんに預けたったんやけどね、うちにいっしょに住むと決まった時に、留美ちゃんが「自分のものは自分で管理します」と、大人の宣言をした。
「ほんなら、うちも!」
というわけですわ。
さくらのこっちゃから、きっと、どこに直したか忘れてしもて大慌て!
と、思てるでしょ!? 疑ってるでしょ!? バカにしてるでしょ!?
ガハハハハハハハハ(ò 口 ó)!
ちゃんと出てきましたのですよ、きみぃ~!
で、気が付いた。ブツは出て来たけど、いらんもんが一杯あるのにも気が付いてしもたんや。
昔やってたカードゲーム、小学校の成績表、ポケティッシュいろいろ、クチャクチャのテスト、ジョーカーの無くなったトランプ、 アメチャンの包み紙、 一回だけ使ったテレホンカード、 文庫の帯、 線香花火、 牛丼の割引券、 ピザ屋のチラシ……等々
で、ちょっと整理することにする。
これは?
学校のプリントが出て来たんで、読み返す。
プリントは、四月に配られた『修学旅行延期のお知らせ』ちゅうA4のプリントや。
どこでも、そうやと思うねんけど、うちの学校は五月に予定してた修学旅行を延期した。
理由は、むろんコ□ナ。
プリント配られる前から噂はあったし、よその中学校もせやさかい『ああ、やっぱりなあ』という感じやった。
おばちゃんに言うたら「そらそやろねえ」という返事で、ろくにプリントも見せてなかったんや。
いまさら見せても……ねえ、シワクチャになってしもてるし。
丸めてゴミ箱に……投げたら入れへんかった。
ノソノソ四つん這いで拾いにいって、改めて捨てる。
ほんま、うちらの修学旅行はどないなんねんやろ……。
せや、保険証出てきたん言いにいかなら!
「出てきたでえ、保険証!」
テイ兄ちゃんの鼻先に付きつける。
「そんなドヤ顔で言うことかあ」
「せやかて、ちゃんと持ってたもん!」
「ああ、えらいえらい」
「ちょ、子どもやないねんさかい、頭なでんといてくれる!」
「ああ、すまんすまん」
「ほな、返して」
「ああ……ちょっと待て」
「なんやのん?」
「さくら、これ、去年の保険証やで……」
「うそ!?」
ガーーーーン
もっかい、部屋に戻って、今年の保険証を探すアホのさくらでした(^_^;)。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
親愛なる記者の備忘録
駄犬
ライト文芸
これは他者の目を介して情報の伝達を図るような、客観性や公正なる事実の列挙とは異なり、あくまでも個人的な主観に基づいた後腐れや後悔、やり残した事への精査である。
▼Twitterとなります。更新情報など諸々呟いております。
https://twitter.com/@pZhmAcmachODbbO
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
イシャータの受難
ペイザンヌ
ライト文芸
猫を愛する全ての方に捧げる猫目線からの物語です──1話が平均2500文字、5~6分で読了できるくらいの長さとなっております。
【あらすじ】人間と同じように猫にだって派閥がある。それは“野良猫”と“飼い猫”だ。【 シャム猫のイシャータ(♀)】は突然飼い主から捨てられ、何の不自由もない“飼い猫”生活から今まで蔑視していた“野良猫”の世界へと転落してしまう。ろくに自分の身さえ守れないイシャータだったが今度は捨て猫だった【 子猫の“佐藤 ”】の面倒までみることになってしまい、共に飢えや偏見、孤独を乗り越えていく。そんなある日、以前淡い恋心を抱いていた【風来坊の野良猫、 ヴァン=ブラン 】が町に帰ってきた。それを皮切りにイシャータとその仲間たちは【隣町のボス猫、ザンパノ 】との大きな縄張り争いにまで巻き込まれていくのだったが…………
3部構成、全41話。それぞれ1話1話にテーマを置いて書いております。シリアス、コメディ、せつなさ、成長、孤独、仲間、バトル、恋愛、ハードボイルド、歌、ヒーロー、陰謀、救済、推理、死、ナンセンス、転生、じれじれからもふもふ、まで、私的に出来うる限りのものを詰め込んだつもりです。個人、集団、つらい時やどうしようもない時、そんな時に生きる希望や勇気の沸く、そして読み終わった後にできうる限り元気になれる、そんな物語にしようという指針のもとに書きました。よろしくお願いいたします。(小説家になろうさん、カクヨムさんとの重複投稿です)
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
異世界日帰りごはん【料理で王国の胃袋を掴みます!】
ちっき
ファンタジー
【書籍化決定しました!】
異世界に行った所で政治改革やら出来るわけでもなくチートも俺TUEEEE!も無く異世界での日常を全力で楽しむ女子高生の物語。
暇な時に異世界ぷらぷら遊びに行く日常にちょっとだけ楽しみが増える程度のスパイスを振りかけて。そんな気分でおでかけしてるのに王国でドタパタと、スパイスってそれ何万スコヴィルですか!


戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる