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113『堺幕府⇒ヘンリー王子⇒焼き芋』

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せやさかい

113『堺幕府⇒ヘンリー王子⇒焼き芋』 

 

 
 堺に幕府があったらしい!

 
 中一の知識でも、幕府というものは鎌倉と室町と江戸の三つやいうことぐらいは知ってる。

 鎌倉は湘南の観光地、大仏さんがあるとこ。オバマ前大統領が子どものころ大仏見ながら抹茶アイスを食べたなんちゅうことも知ってる。

 江戸は、今の東京。

 ひょっとして室町は堺やった?

 堺には一条通とか三乗通りとか五条通とか京都みたいな地名がある。せやさかい、室町は堺やったのかも?

「あはは、室町は京都にあったんだよ」

 詩(ことは)ちゃんに笑われる。

 笑いながらも、詩ちゃんはお祖父ちゃんが広げてる新聞を覗き込んでる。

「足利義維(あしかがよしつな)いう将軍の息子が堺で力持ってたらしいな……」

 お祖父ちゃんが二人の孫にも分かるように話してくれる。

 足利義維さんは、十二代将軍の息子で十四代将軍の父親やったらしい。本人は将軍になったことはないけど、一時期将軍と同じくらいの力持って、堺で政治をしていたらしい。

 で、その堺幕府の跡がJR堺と南海の堺東の間で見つかったということらしい。

 
 へ~そうなんだ!

 
 文芸部の部活で言うと、頼子さんも留美ちゃんも感心してくれた。

 ちょっと堺を見直すようなトピックスやったんやけど、仁徳天皇陵が世界遺産になったほどのインパクトはない。仁徳天皇陵の時は三人で自転車で見に行った。

「あれは、中央図書館に本を借りに行ったんだよ」

 留美ちゃんが訂正。

「あ、そうやった。でも、仁徳天皇陵のインパクトはおっきいさかいに、そない思たんやねえへへ(〃´∪`〃)」

 図書館はあのとき行っただけ。仁徳天皇陵にかこつけて、記憶の曖昧さを誤魔化す。

「ヘンリー王子は辞めちゃうんですかねえ」

 留美ちゃんが話題を変える。

「かもね、お母さんのダイアナ妃が、あんな亡くなり方してるから……奥さんとか家族を守りたいんでしょうね」

 ちょっと頼子さんがしみじみ。

 頼子さん自身ヤマセンブルグ公国の王位継承者でもあるので、あたしらとは違う思いがあるんやろねえ。

「女王陛下も悩みの種がつきないわよね……」

 エリザベス女王のことか自分のお婆さまのことか分からん呟きをもらした。

「ブレグジットといい今度のことと言い、ひょっとしたらイギリスは分裂しちゃうかもっていう時事問題ですね」

 留美ちゃんはイギリスの事に限定して話を締めくくった。

 進路を控えて気苦労の多い頼子さんを労わる気持ちが、よう分かる。

 フニャーー

「ねえ、ちょっとダミア太ったんじゃない?」

 モフモフしようとダミアを抱き上げて指導的感想を述べる頼子さん。

「お正月は、ダミアも食っちゃ寝でしたからね」

「よし、運動させよう!」

 フニャ?

 
 ダミアの首に犬みたいにリードを付けて散歩に行く。

 
 三人替わりばんこに前に出てダミアの気をひきながら町内を散歩。

 で、米田のお婆ちゃんとこで焼き芋を買ってしまう。

「あんたらの年頃はモリモリ食べなら、はい、オマケ!」

「「「オーー!」」」

 お婆ちゃんがサービスしてくれるもんで、今度はうちらがダイエットかもね……。

 

 
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