55 / 432
055『ヤマセンブルグ・1』
しおりを挟む
せやさかい
055『ヤマセンブルグ・1』
エディンバラを離れる飛行機の中に居てる。
と言っても、夏休みが終わって日本へ帰るわけではない。第二の訪問地ヤマセンブルグに向かっているところ。
じつは、こっちが本命なんや。
おとついの晩御飯で頼子さんが口を開いたのは、イザベラさんがデザートを運んできた時。
いつもは通訳見習いにしてエクソシストにしてお世話係のソフィアさんがやってくれてる。それがイザベラさんなんで、あたしらもアレって感じはした。
イザベラさんが英語でも日本語でもない言葉で頼子さんに言うと、頼子さんも同じ言葉で返事した。
「あさって、エディンバラを離れてヤマセンブルグに移動します。ちょっと窮屈な旅になるかもしれないけど、新鮮な旅になることは確かだから、期待してちょうだい」
「「は、はあ……」」
留美ちゃんと二人でたよんない返事になる。
「ヤマセンブルグというのは、どんな国なんですか?」
留美ちゃんが素朴な質問をする。
「ヨーロッパには公国と言って、王国に準ずる国がいくつかあるの。モナコ公国とか知ってるでしょ? その一つよ。わたしにはね三つの国籍があるの、日本とイギリスと、ヤマセンブルグ。お父さんがイギリスとヤマセンブルグの国籍を持ってる関係でね。で、夏休みに間にどうしても立ち寄らなくちゃならなくて、ごめんなさい、ちょっと付き合ってくださいね(o^―^o)」
頼子さんの笑顔(o^―^o)には有無を言わせない力がある。阿弥陀さんがお迎えに来たら、きっとこんな笑顔やろなあと思う。
空港で待ってた飛行機はプライベートジェットとは違ごた。ふたまわりは大きいクリーム色のジェット機で、胴体にはドラクエに出てきそうな紋章が貼り付いてて、パイロットもジョン・スミスとは違う人。
「この機体の操縦免許は持ってないんでね」
そう言いながら、ソフィアさんやイザベラさんといっしょに飛行機に乗り込んだ。他にもヒルウッドのお屋敷のスタッフも何人か乗り込んで賑やかになるかなあ……と思ったら、機内はいくつかのキャビンに分かれていて、わたしと留美ちゃんは頼子さんといっしょに○○○○キャビンに。○○○○と伏字になってるのは「キャビンの位置が分かる書き方はしてはいけません」と言われたから。
「なんでですか?」
「ミサイルは、このジョン・スミスにも防げないからね」
これはただ事やないなあ……。
そう思てると、イザベラさんの耳打ちで頼子さんが目を剥いた。
「え、ドレスコードがあるの!?」
ドレスコード? どんなコードや?
055『ヤマセンブルグ・1』
エディンバラを離れる飛行機の中に居てる。
と言っても、夏休みが終わって日本へ帰るわけではない。第二の訪問地ヤマセンブルグに向かっているところ。
じつは、こっちが本命なんや。
おとついの晩御飯で頼子さんが口を開いたのは、イザベラさんがデザートを運んできた時。
いつもは通訳見習いにしてエクソシストにしてお世話係のソフィアさんがやってくれてる。それがイザベラさんなんで、あたしらもアレって感じはした。
イザベラさんが英語でも日本語でもない言葉で頼子さんに言うと、頼子さんも同じ言葉で返事した。
「あさって、エディンバラを離れてヤマセンブルグに移動します。ちょっと窮屈な旅になるかもしれないけど、新鮮な旅になることは確かだから、期待してちょうだい」
「「は、はあ……」」
留美ちゃんと二人でたよんない返事になる。
「ヤマセンブルグというのは、どんな国なんですか?」
留美ちゃんが素朴な質問をする。
「ヨーロッパには公国と言って、王国に準ずる国がいくつかあるの。モナコ公国とか知ってるでしょ? その一つよ。わたしにはね三つの国籍があるの、日本とイギリスと、ヤマセンブルグ。お父さんがイギリスとヤマセンブルグの国籍を持ってる関係でね。で、夏休みに間にどうしても立ち寄らなくちゃならなくて、ごめんなさい、ちょっと付き合ってくださいね(o^―^o)」
頼子さんの笑顔(o^―^o)には有無を言わせない力がある。阿弥陀さんがお迎えに来たら、きっとこんな笑顔やろなあと思う。
空港で待ってた飛行機はプライベートジェットとは違ごた。ふたまわりは大きいクリーム色のジェット機で、胴体にはドラクエに出てきそうな紋章が貼り付いてて、パイロットもジョン・スミスとは違う人。
「この機体の操縦免許は持ってないんでね」
そう言いながら、ソフィアさんやイザベラさんといっしょに飛行機に乗り込んだ。他にもヒルウッドのお屋敷のスタッフも何人か乗り込んで賑やかになるかなあ……と思ったら、機内はいくつかのキャビンに分かれていて、わたしと留美ちゃんは頼子さんといっしょに○○○○キャビンに。○○○○と伏字になってるのは「キャビンの位置が分かる書き方はしてはいけません」と言われたから。
「なんでですか?」
「ミサイルは、このジョン・スミスにも防げないからね」
これはただ事やないなあ……。
そう思てると、イザベラさんの耳打ちで頼子さんが目を剥いた。
「え、ドレスコードがあるの!?」
ドレスコード? どんなコードや?
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
PMに恋したら
秋葉なな
恋愛
高校生だった私を助けてくれた憧れの警察官に再会した。
「君みたいな子、一度会ったら忘れないのに思い出せないや」
そう言って強引に触れてくる彼は記憶の彼とは正反対。
「キスをしたら思い出すかもしれないよ」
こんなにも意地悪く囁くような人だとは思わなかった……。
人生迷子OL × PM(警察官)
「君の前ではヒーローでいたい。そうあり続けるよ」
本当のあなたはどんな男なのですか?
※実在の人物、事件、事故、公的機関とは一切関係ありません
表紙:Picrewの「JPメーカー」で作成しました。
https://picrew.me/share?cd=z4Dudtx6JJ

【完結】王太子殿下が幼馴染を溺愛するので、あえて応援することにしました。
かとるり
恋愛
王太子のオースティンが愛するのは婚約者のティファニーではなく、幼馴染のリアンだった。
ティファニーは何度も傷つき、一つの結論に達する。
二人が結ばれるよう、あえて応援する、と。

立花家へようこそ!
由奈(YUNA)
ライト文芸
私が出会ったのは立花家の7人家族でした・・・――――
これは、内気な私が成長していく物語。
親の仕事の都合でお世話になる事になった立花家は、楽しくて、暖かくて、とっても優しい人達が暮らす家でした。
流れ着いた先は異世界でした。~誰がなんと言おうと、必ず元の世界へ帰りますから!
あみにあ
ファンタジー
彼と出会って私は変わった。
不思議な彼と幸せに毎日を過ごしていたんだ。
「ずっと一緒にいよう」そう約束もした。
でもある日の夕暮れに、彼が海に行こうと誘ってきたんだ。
地平線に沈んでいく夕日はとても綺麗で……。
手を繋いでその光景を眺めていると、突然に目の前に大きな波が現れた。
*********************
書 Ami
絵 玉子(Twitterアカウント @tamagokikaku)
こちらは絵師様とのコラボ作品となります。
宜しくお願いいたします。
※45話で完結致します。(2019.3.31完結予定)
※後日談等につきましては、ゆっくり更新出来たらと考えております。
虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。
Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。
最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!?
ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。
はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切)
1話約1000文字です
01章――バトル無し・下準備回
02章――冒険の始まり・死に続ける
03章――『超越者』・騎士の国へ
04章――森の守護獣・イベント参加
05章――ダンジョン・未知との遭遇
06章──仙人の街・帝国の進撃
07章──強さを求めて・錬金の王
08章──魔族の侵略・魔王との邂逅
09章──匠天の証明・眠る機械龍
10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女
11章──アンヤク・封じられし人形
12章──獣人の都・蔓延る闘争
13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者
14章──天の集い・北の果て
15章──刀の王様・眠れる妖精
16章──腕輪祭り・悪鬼騒動
17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕
18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王
19章──剋服の試練・ギルド問題
20章──五州騒動・迷宮イベント
21章──VS戦乙女・就職活動
22章──休日開放・家族冒険
23章──千■万■・■■の主(予定)
タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。
貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~
みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。
何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。
第一部(領地でスローライフ)
5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。
お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。
しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。
貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。
第二部(学園無双)
貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。
貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。
だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。
そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。
ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・
学園無双の痛快コメディ
カクヨムで240万PV頂いています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる