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156『魔法石』

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RE・かの世界この世界

156『魔法石』ポチ 





 ドドドドドドドドドーーーーーーーン!!!!


 小石一つ放り込んだだけとは思えない音がした(;゜Д゜)。

「なんか、とんでもない音がしたよ……」

「穴が崩壊した……」

「あんなチッコイ物で?」

「九つの世界は、好き放題に国境を固めたからね……ユグドラシルって、本来は樹木だろ。樹木と言うのはしなやかなものだけど、固めてしまうと柔軟性を失って、ちょっとした刺激で崩壊してしまうことがある……」

「そ、それにしても、凄すぎない?」

「きみが籠めた想いって、どんなの?」

「『スヴァルトアルムヘイムに来てしまったけど、すぐに戻ります』的な?」

「ごく普通だよね……ごめん、もう一度籠めてくれる?」

「う、うん……」


 さっきと同じように魔法石に「すぐ帰る」的な想いを籠めた。それを渡すと、フェンリル二世は目の前に仮想タブレットを出して分析し始めた。


「す、すごい……破壊値が五十キロ爆弾クラスだ!」

 五十キロ爆弾クラスの程度がどのくらいなのかは分からないけど、フェンリル二世の表情からスゴイと言うのは伝わってくる。

「ただのメールが、なんで、そんなことになるの?」

「僕にも分からないよ、きみは小型妖精のようだけど、どこの種族なんだい?」

「う、それは……」

 元々はクリーチャー、シリンダーの突然変異体だとは言えない。

「あ、ごめん。詮索することじゃないよね。いや、あまりに凄いから、ついね。キミには自覚は無いんだろうけど、魔法石との相性が飛びぬけていいんだと思うよ」

 ウウ、そんな相性は、ありがたくないよ。

「試してみよう」

 フェンリル二世はポケットから、色の違う魔法石を取り出した。

「魔法石のピュアストーン、まだ、僕の思いが籠っていない状態だ。これに、さっきと同じのを籠めてくれないか」

「これに?」

 危険物だと分かって手に取るのは気持ちが悪い。

「あとで解除すれば、ただの魔法石に戻るから」

「う、うん……」

 明るい押し出しに、ソロリと手を出して、さっきと同じようにする。

「これでいい?」

「うん、ありがとう……あれ?」

「どうかした?」

 変な結果がでるのは、ちょっと嫌だ。

「何も変わってないよ」

「ほんと?」

 正直言って嬉しいんだけど、フェンリル二世の期待を裏切るようなので、努めて普通に言う。もう一回やって欲しいと別の魔法石を渡されるんだけど、四回やって結果は同じだった。

「おかしいなあ……じゃ、僕の登録が済んでるので試して」

「う、うん」

 結果は直ぐに出た。

「やっぱりだ、僕の登録が済んだ魔法石に上書きすると起きる現象だ!」

「そ、そうなの?」

 フェンリル二世はズイと身を乗り出した。

「どうだろ、しばらく僕といっしょに居てくれないか!?」

「し、しばらくって……」

「ぼくが……ぼくの目的を果たすまで……」


 その瞳には、決して断れない切迫感が溢れていた……。




☆ ステータス

 HP:13500 MP:180 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・900 マップ:12 金の針:1000 その他:∞ 所持金:8000万ギル(リボ払い残高無し)
 装備:剣士の装備レベル38(勇者の剣) 弓兵の装備レベル32(勇者の弓)
 憶えたオーバードライブ:シルバーケアル(ケイト) シルバースプラッシュ(テル)
 スプラッシュテール(ブリュンヒルデ) 空蝉(ポチ)

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

 テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  テルの幼なじみ ペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態
 ペギー         荒れ地の万屋 
 ユーリア        ヘルム島の少女
 ナフタリン       ユグドラシルのメッセンジャー族ラタトスクの生き残り
 フェンリル二世     狼族の王子

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 
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