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3『美少女部長 真中螺子』
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ピボット高校アーカイ部
3『美少女部長 真中螺子』
あ、すみません(#'∀'#)!
クラっときてよろめいたところに人が立っていてぶつかってしまった。
二の腕に受けた感触で女性、それも鼻を掠めた匂いで同年配の女の子だと知れておたついてしまう。
……えっ!?
女の子はうちの制服を着ていて……首が無い。
「それはマネキンだ」
「は、はあ……」
改めて見ると、襟から出た首にはジョイントが付いていて、首のないマネキンだと分かる。
「見ての通り、わたしは女子高時代の旧制服だ。部活では、旧制服に着替えている。それで、普通の制服は、そのマネキンにかけているんだ」
「はあ……」
かけてあるという感じじゃない。ちゃんと着せてあって、ブラウスの襟にはリボンも掛けてある。
「他の部活でも、ジャージとかユニホームに着替えているだろう、同じことだ。まあ、そこに座ってくれ」
示されたソファーに掛ける。
「おわ(°д°)」
思いのほか深く沈んでビックリした。
「応接室のお下がりだ、昭和のものなんでクッションが良すぎるんだ」
言いながら、先輩は向かいで足を組む。
(#'0'#)
「すまん……不用意だったな」
脚を戻すと、浅く座りなおして身を乗り出した。
「部長の真中螺子(まなからこ)だ。きみは田中鋲……でいいんだな?」
メモにサラリと名前を書いて確認。
「あ……なんで相合い傘なんですか(#'o'#)」
「二人だけのクラブという意味だ。それに、これは相合い傘ではないぞ『これから二人で部活をやっていくぞ!』的な矢印だ」
「でも、真ん中に傘の柄が……」
「これはケジメだ」
「ケジメ?」
「ああ、部室は学校の端っこ、日ごろ人気のない旧校舎の一室。わたしは見ての通りの美少女だし、きみは第二次性徴真っ盛りの十六歳。ケジメが必要だろう?」
「う……」
「まあ、心構え、心意気の両方を表していると思ってくれ」
際どくって、めちゃくちゃのようで筋が通っているような気もする。
「入学にあたっては、アーカイ部への入部が条件であったはずだ。多少の疑念があっても、鋲に選択権は無い」
「は、はい」
もう呼び捨て、それも下の名前で(^_^;)
「分かっていると思うが、うちは、並みの部活ではない」
「そ、そうなんですか(^_^;)」
「周りを見てくれたまえ」
「え?」
薄明かりなので目につかなかったけど、壁際は全て棚や本棚、ロッカーの類で、大小さまざまなファイルめいたものが詰め込まれている。見たことはないけど、新聞社やテレビ局の資料室は、こんな感じだろう。
「これはな、この、要(かなめ)の街の記録なんだ。街の図書館よりも充実しているぞ」
「アーカイブなんですね」
「そうだ、百年前に学校が設立された時、要の街が全面的に協力してくれたんだが、その時の条件が『街の記録の整理と保管』ということだった。学校は研究室を作ろうとしたが、街の代表者たちは『肩の凝らない部活のようなものでいいですよ』と言う。それで、こういう訳さ」
「なるほど……」
部長は、ちょっと変わった人だけど、やっていることは『郷土史部』みたいなことなんで、ちょっと安心した。
「納得したら、入部届けを書いてくれるか。いちおう手続きなんでな」
「はい、すぐに!」
返事をしてボールペンを手に取ると、先輩はホッとした笑顔になって、脚を組んで座りなおした。
(#'0'#)
「ああ、すまん」
こうやって、僕の高校生活が始まった。
☆彡 主な登場人物
田中 鋲(たなかびょう) 要高校一年 アーカイ部
真中 螺子(まなからこ) 要高校三年 アーカイブ部部長
3『美少女部長 真中螺子』
あ、すみません(#'∀'#)!
クラっときてよろめいたところに人が立っていてぶつかってしまった。
二の腕に受けた感触で女性、それも鼻を掠めた匂いで同年配の女の子だと知れておたついてしまう。
……えっ!?
女の子はうちの制服を着ていて……首が無い。
「それはマネキンだ」
「は、はあ……」
改めて見ると、襟から出た首にはジョイントが付いていて、首のないマネキンだと分かる。
「見ての通り、わたしは女子高時代の旧制服だ。部活では、旧制服に着替えている。それで、普通の制服は、そのマネキンにかけているんだ」
「はあ……」
かけてあるという感じじゃない。ちゃんと着せてあって、ブラウスの襟にはリボンも掛けてある。
「他の部活でも、ジャージとかユニホームに着替えているだろう、同じことだ。まあ、そこに座ってくれ」
示されたソファーに掛ける。
「おわ(°д°)」
思いのほか深く沈んでビックリした。
「応接室のお下がりだ、昭和のものなんでクッションが良すぎるんだ」
言いながら、先輩は向かいで足を組む。
(#'0'#)
「すまん……不用意だったな」
脚を戻すと、浅く座りなおして身を乗り出した。
「部長の真中螺子(まなからこ)だ。きみは田中鋲……でいいんだな?」
メモにサラリと名前を書いて確認。
「あ……なんで相合い傘なんですか(#'o'#)」
「二人だけのクラブという意味だ。それに、これは相合い傘ではないぞ『これから二人で部活をやっていくぞ!』的な矢印だ」
「でも、真ん中に傘の柄が……」
「これはケジメだ」
「ケジメ?」
「ああ、部室は学校の端っこ、日ごろ人気のない旧校舎の一室。わたしは見ての通りの美少女だし、きみは第二次性徴真っ盛りの十六歳。ケジメが必要だろう?」
「う……」
「まあ、心構え、心意気の両方を表していると思ってくれ」
際どくって、めちゃくちゃのようで筋が通っているような気もする。
「入学にあたっては、アーカイ部への入部が条件であったはずだ。多少の疑念があっても、鋲に選択権は無い」
「は、はい」
もう呼び捨て、それも下の名前で(^_^;)
「分かっていると思うが、うちは、並みの部活ではない」
「そ、そうなんですか(^_^;)」
「周りを見てくれたまえ」
「え?」
薄明かりなので目につかなかったけど、壁際は全て棚や本棚、ロッカーの類で、大小さまざまなファイルめいたものが詰め込まれている。見たことはないけど、新聞社やテレビ局の資料室は、こんな感じだろう。
「これはな、この、要(かなめ)の街の記録なんだ。街の図書館よりも充実しているぞ」
「アーカイブなんですね」
「そうだ、百年前に学校が設立された時、要の街が全面的に協力してくれたんだが、その時の条件が『街の記録の整理と保管』ということだった。学校は研究室を作ろうとしたが、街の代表者たちは『肩の凝らない部活のようなものでいいですよ』と言う。それで、こういう訳さ」
「なるほど……」
部長は、ちょっと変わった人だけど、やっていることは『郷土史部』みたいなことなんで、ちょっと安心した。
「納得したら、入部届けを書いてくれるか。いちおう手続きなんでな」
「はい、すぐに!」
返事をしてボールペンを手に取ると、先輩はホッとした笑顔になって、脚を組んで座りなおした。
(#'0'#)
「ああ、すまん」
こうやって、僕の高校生活が始まった。
☆彡 主な登場人物
田中 鋲(たなかびょう) 要高校一年 アーカイ部
真中 螺子(まなからこ) 要高校三年 アーカイブ部部長
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