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4『日本列島を生む!……その③』

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誤訳怪訳 日本の神話

4『日本列島を生む!……その③』     




 書き落としましたが、淡路島を生む前にイザナギ・イザナミは淡島を生んでいますが、この子も具合が悪く流されています。

 で、早とちりのイザナギが「これは、女子から声かけたんでまずかったんだぜ。今度はオレの方から声かけて、やり直してみよう!」と書きましたが、二人は、それまでに天上の神さまにお伺いをたてます。ただ古事記には天の神さまとあるだけで、具体的には書いていません。
 まあ、物語的には、その後の淡路島以下の島々を生む描写を際立たせるためのハッタリ的描写なんだと言われています。

 しかし、こういうハッタリにこそ、時代の背景や民族性が出るものです。

 天界の神さまは、鹿の肩甲骨を持ってきて、これを火で焼いて、そのヒビの入り方で占います。日本史の授業で古代の占いの方法で習う「太占(ふとまに)」が、まさにこれです。そして「女から声をかけたのが良くない」という卦が出ます。
 ここから、古代の占いの方法と、それが広く一般的に行われていたこと。そして、この古代においても女から男に声を掛けるのは少しハシタナイと思われていたことなどがうかがわれます。

 で、ハッタリの民族性ですが、従軍慰安婦や南京大虐殺の『日本軍の蛮行』が日本的ではなく、ひどく水滸伝などに出てきそうな大陸的な残虐性で表現されていることを思い浮かべます。日本人は人を殺すのに、あまり残虐な方法はとりません。大概一気に命を絶っています。

 中世から近世にかけて「のこぎり引き」という刑法がありました。

 罪人を首まで土中に埋め、のこぎりで、みんなが一切りずつやっていくというのですが、実際は手馴れた処刑人が一気に頸動脈を切ったようです。日本の中世というのは、例外的に人の殺し方にバリエーションがあった時代ですが、大陸のそれには及びません。

 江戸時代も形式的には「のこぎり引き」は残っていましたが、ほとんど形式だけで、実際に生きた人間の首をのこぎりでひけるものではありません。実際は「のこぎりでひくものがいなかった」ということで、罪一等減じて島流しなどですませています。

 脱線の脱線ですが、江戸時代酔っぱらいが、その気になって罪人の首をのこぎり(形式化していて、木製でした)で一ひき。
 罪人が悲鳴を上げたので、番所の役人が慌てて出てきて保護したという記録があります。

 脱線ついでに拷問の話。  

 時代劇を見て居ると、しょっちゅう拷問をやっていますが、実際に拷問をするのは江戸では老中、大坂では大阪城代の許可がなければできなかったようです。

 こんな長閑な話が残っています。江戸末期に大泥棒が捕まり、仲間の名前を吐かせるために、海老責めという拷問にかけることになったのですが、役人の誰もやったことがありません。そこで記録を調べると50年前にやったことがわかり、もう隠居していた当時の役人を呼び出して、見学のために奉行所の役人が大勢集まったという記録があります。うる覚えなのですが、隠居の牢役人も忘れてしまい、ああでもない、こうでもないとやっているうちに、たまらなくなった罪人は白状したようです。

 本題に戻ります。

 淡路島を生んだ後、四国、九州、本州などの島々……本当は、本州などは大倭豐秋津島(おおやまととよあきつしま)別命アマツミソラトヨアキツネワケなどと言いますが、とてもややこしいので、総称の大八島としておきます。

 八はたくさんという意味で大八島、八島は日本の美称にもなっており、日露戦争の前に、どうしても強力な海軍力が必要だということで、イギリスに発注した戦艦に八島という名前を付けています。
 旅順港の閉鎖に他の艦艇共々使われましたが、1904年ロシアの機雷に触れて僚艦初瀬と共に沈没しています。この時の機雷は、日本艦隊の動きを観察していたロシア海軍の頭のいい将校が「日本艦隊は、毎日同じコースを走ってくる」ことに気づいて、試しに仕掛けたら大当たりしたという背景があり、悲しいまでの日本人の律義さと規則性が出ています

 ちなみに、この日は5月15日で、後の5・15事件も、この日で日本にとっては厄日であります。

 で、わたしの誕生日も同月同日で、そのせいか、もうひとつ運がよくありません、嗚呼嘆息!
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