3 / 50
3[旅立ちの時・1]
しおりを挟む
宇宙戦艦三笠
3 [旅立ちの時・1]
「あ、ごめん! そのままの姿で連れてきちゃった!」
パチン
お下げの神さまが、そう言って指を鳴らすと、オレたち四人は紺色の軍服姿に変わった。
「わ!」「え!」「お!」「う!」
四人四様の声をあげて驚いた。
オレの網膜には天音の白い裸が強烈に焼き付いたので、数秒ダブって見えちまった。で、記憶に間違いがなければ、四人の軍服は戦艦三笠を観に行った時に展示してあった帝国海軍のそれだ。襟元の階級章は天音と樟葉が中佐、トシが少佐。自分のは……見えないので良く分からない。
周りを見渡すと、立派な応接室のようだけど、部屋全体が三角形で、ところどころの窓が小さくて丸い……記憶に間違いがなければ、これは三笠公園の戦艦三笠の司令長官室にそっくりだ。
「そう、戦艦三笠の司令長官室ですのよ」
お下げの神さまが、口をωにして言った。
「な……なんで、こんなところに?」
質問しようとしたら、樟葉に先を越されてしまった。
「言ったでしょ。戦艦三笠に乗ってくださいって」
「いや」「だから」「なんで」
「「「「戦艦三笠に?」」」」
「地球を救ってもらうためです」
「「「「地球を救う( ゜д゜ )!?」」」」
「地球は、氷河期を迎えようとしています。温暖化しているというのは国際的な利権がらみの大嘘です。これを見て……」
神さまが指差すと、スクリーンが現れ、そこに南極大陸の白い姿が現れた。
「これは去年の冬の姿だけど、観測史上最大の氷面積になっています。で、これが北極。氷は完全に回復しています。そして、世界各国の近年の冬の様子……エジプトで雪が降っています」
「でも……これって、温暖化の前の特異現象……」
「そんなこと、まともに信じているのは、日本と某国営放送ぐらいのもの。二酸化炭素の排出権が利権化していることや、水資源の取り合いのための目くらましにすぎないわ。世界の人々が寒冷化に気づきはじめている、やっとね……そして、寒冷化は人々の予測を超えて進み始めているのです。あと100年もたたずに地球は氷河期に突入して、人類は滅亡する。恐竜が絶滅したように、ごく短時間でね」
「それで、なんで戦艦三笠なの?」
「地球を救うのは、日本の戦艦に決まっています」
「それって、ヤマトの専売特許じゃないの?」
「だって……現物で残っている戦艦は、この三笠だけですから」
ホワン
そう言うと、神さまは四人に分身した。
おそらくこの分身が、ブンケンのメンバーをそれぞれ連れてきたんだろう。
「船には、それぞれ船霊(ふなだま)がいるの」
「戦艦大和には大和神社(おおやまとじんじゃ)の大国魂神(おおくにたまのかみ)」
「戦艦長門には厳島神社」
「戦艦山城には賀茂神社」
「などの、神社の神さまが分祀されていたわ」
「でも、船が沈む前に、船霊は、その船を離れてしまうの」
「で、唯一、わたしだけが三笠に留まっているわけ」
「じゃ、あなたは……」
ホワン
樟葉の言葉で、分身していた神さまが一つになった。
一つになっても、相変わらずお下げのセーラー服。
「一応、天照大神(あまてらすおおみかみ)。でも、大そうに思ってくれなくていいのよ(^_^;)」
「それにしても、アマテラスさんがセーラー服の女子高生じゃなあ」
と、オレが言うと、トシが初めて口をきいた。
「分かるよ! 日本人の大方が、その程度にしか思ってないから、こんなお姿なんでしょ?」
「あ、それはね、それはみんなに親しみ持ってもらいたいからかな……アハハハ」
なんだか無理して笑っているような気がした。案外トシの一言は図星なのかもしれない。
「で、なんであたしたちなんですか?」
「それは、まあ、チュートリアルやりながら……」
ドッカーン!!
ウワアアア!
三笠のどこかに弾が当たったような衝撃がした!
☆ 主な登場人物
修一 横須賀国際高校二年
樟葉 横須賀国際高校二年
天音 横須賀国際高校二年
トシ 横須賀国際高校一年
神さま 戦艦三笠の船霊
3 [旅立ちの時・1]
「あ、ごめん! そのままの姿で連れてきちゃった!」
パチン
お下げの神さまが、そう言って指を鳴らすと、オレたち四人は紺色の軍服姿に変わった。
「わ!」「え!」「お!」「う!」
四人四様の声をあげて驚いた。
オレの網膜には天音の白い裸が強烈に焼き付いたので、数秒ダブって見えちまった。で、記憶に間違いがなければ、四人の軍服は戦艦三笠を観に行った時に展示してあった帝国海軍のそれだ。襟元の階級章は天音と樟葉が中佐、トシが少佐。自分のは……見えないので良く分からない。
周りを見渡すと、立派な応接室のようだけど、部屋全体が三角形で、ところどころの窓が小さくて丸い……記憶に間違いがなければ、これは三笠公園の戦艦三笠の司令長官室にそっくりだ。
「そう、戦艦三笠の司令長官室ですのよ」
お下げの神さまが、口をωにして言った。
「な……なんで、こんなところに?」
質問しようとしたら、樟葉に先を越されてしまった。
「言ったでしょ。戦艦三笠に乗ってくださいって」
「いや」「だから」「なんで」
「「「「戦艦三笠に?」」」」
「地球を救ってもらうためです」
「「「「地球を救う( ゜д゜ )!?」」」」
「地球は、氷河期を迎えようとしています。温暖化しているというのは国際的な利権がらみの大嘘です。これを見て……」
神さまが指差すと、スクリーンが現れ、そこに南極大陸の白い姿が現れた。
「これは去年の冬の姿だけど、観測史上最大の氷面積になっています。で、これが北極。氷は完全に回復しています。そして、世界各国の近年の冬の様子……エジプトで雪が降っています」
「でも……これって、温暖化の前の特異現象……」
「そんなこと、まともに信じているのは、日本と某国営放送ぐらいのもの。二酸化炭素の排出権が利権化していることや、水資源の取り合いのための目くらましにすぎないわ。世界の人々が寒冷化に気づきはじめている、やっとね……そして、寒冷化は人々の予測を超えて進み始めているのです。あと100年もたたずに地球は氷河期に突入して、人類は滅亡する。恐竜が絶滅したように、ごく短時間でね」
「それで、なんで戦艦三笠なの?」
「地球を救うのは、日本の戦艦に決まっています」
「それって、ヤマトの専売特許じゃないの?」
「だって……現物で残っている戦艦は、この三笠だけですから」
ホワン
そう言うと、神さまは四人に分身した。
おそらくこの分身が、ブンケンのメンバーをそれぞれ連れてきたんだろう。
「船には、それぞれ船霊(ふなだま)がいるの」
「戦艦大和には大和神社(おおやまとじんじゃ)の大国魂神(おおくにたまのかみ)」
「戦艦長門には厳島神社」
「戦艦山城には賀茂神社」
「などの、神社の神さまが分祀されていたわ」
「でも、船が沈む前に、船霊は、その船を離れてしまうの」
「で、唯一、わたしだけが三笠に留まっているわけ」
「じゃ、あなたは……」
ホワン
樟葉の言葉で、分身していた神さまが一つになった。
一つになっても、相変わらずお下げのセーラー服。
「一応、天照大神(あまてらすおおみかみ)。でも、大そうに思ってくれなくていいのよ(^_^;)」
「それにしても、アマテラスさんがセーラー服の女子高生じゃなあ」
と、オレが言うと、トシが初めて口をきいた。
「分かるよ! 日本人の大方が、その程度にしか思ってないから、こんなお姿なんでしょ?」
「あ、それはね、それはみんなに親しみ持ってもらいたいからかな……アハハハ」
なんだか無理して笑っているような気がした。案外トシの一言は図星なのかもしれない。
「で、なんであたしたちなんですか?」
「それは、まあ、チュートリアルやりながら……」
ドッカーン!!
ウワアアア!
三笠のどこかに弾が当たったような衝撃がした!
☆ 主な登場人物
修一 横須賀国際高校二年
樟葉 横須賀国際高校二年
天音 横須賀国際高校二年
トシ 横須賀国際高校一年
神さま 戦艦三笠の船霊
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
銀河太平記
武者走走九郎or大橋むつお
SF
いまから二百年の未来。
前世紀から移住の始まった火星は地球のしがらみから離れようとしていた。火星の中緯度カルディア平原の大半を領域とする扶桑公国は国民の大半が日本からの移民で構成されていて、臣籍降下した扶桑宮が征夷大将軍として幕府を開いていた。
その扶桑幕府も代を重ねて五代目になろうとしている。
折しも地球では二千年紀に入って三度目のグローバリズムが破綻して、東アジア発の動乱期に入ろうとしている。
火星と地球を舞台として、銀河規模の争乱の時代が始まろうとしている。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる