76 / 100
76『夏コミに行きたい!』
しおりを挟む
泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)
76『夏コミに行きたい!』シグマ
これの三倍以上の人が来るんだ……
そう思うとため息が出る。
ウットリしてるんじゃない、す、すごいなあ(;'∀')……そう感じて尻込みしてしまう。
気まぐれでテレビを点けたら後楽園球場の試合を映していた。
ググってみると……後楽園球場は43000人ほど人が入る。
――満席の後楽園球場には定員いっぱい43000人、満杯の野球ファンで埋め尽くされております!――
アナウンサーの言葉でリモコンを持つ手が止まった。
画面の後楽園もすごいけど、かねがね行きたかったアソコは一日に17万人、三日で50万人以上の人が集まる。
夏コミ 20××!
日本最大!……ってことは世界最大のオタクの祭典!
中学の頃から行きたかったけど、動画サイトなどで見る混雑ぶりというか密度の高さで諦めていた。
夏コミに行けば、限定アイテムや同人誌が手に入る。
これが他府県なら諦めもつくけど、なんてったって東京ビッグサイトだ。始発に乗っても六時前には着ける。
それに、今のあたしはボッチじゃない、サブカル研のみんなに声を掛ければいいんだ!
…………でも迷ってしまう。
オタクと言ってもいろいろなんだ。
人生全てが二次元というようなガチな人から、数ある趣味の一つですという人まで。
うちのサブカル研は、あたしが無理を言って、その無理に先輩たちが合わせてくれているところがある。
そうなんだ、合わせてくれているんだ。
ノリスケ先輩は元々二次元が好きみたい。パソコンでゲーム進行していても、とてもテンポがいい。
ゲームで詰まっても「おもしれーじゃねーか」とセーブデータを見て「ここが分岐だったんだなあ(^▽^)」と適切に過去フラグに戻って、すぐにルートに戻ってくる。
でも、オメガ先輩は途中で投げ出すゲームも多い。
最初にやってもらった『君の名を』はツボにはまったみたいだけど、先月紹介した『時を掛ける妹』は止まっているみたいで、あまり興味はない様子だ。
部活らしくやろうということで始めた『バトルフィールドラブ』で勝ったことが一度もない。エロゲなんで勝ちにこだわることもないんだけど、やっぱ、お付き合いでやらされてる感が漂っている。
冷静に分析すれば、あたしの我がままに、人のいい先輩たちが着きあってくれているということなんだ。
そこんとこ分かっているから、連休中も無理は言わなかった……言えなかった。
それで、あたしは風信子先輩に相談してみることにした。
「へー、そういうのがあるんだ!」
まず感心された。
三日で50万人以上のイベントとはいえ、やっぱ社会的にはオタクの祭典。連日ニュースで取り上げられたたり、スポンサーがついて中継されるようなもんじゃない。情報に接していなければ知らなくて当たり前。
そもそもオタクのイメージって「異性にモテない」「目を合わせて話さない」「服装がキモイ、あるいはダサい」「引きこもってゲームばっかりやってる」そんな感じ。
そんなオタクが集まっても、世間は後楽園球場に集まった野球ファンのようには見てくれない。そうなんだよ、野球に関しては「野球オタク」とかは言わない。あくまでファンだよ。サッカーやラグビーとかは、熱狂したファンが発狂して事件を起こすことがあるよね、暴力沙汰になって、暴動めいたり、殺人事件になったり、興奮したファンを鎮めるために機動隊やら軍隊が出撃することも珍しくない。
オタクが何十万人集まっても、機動隊やら軍隊が出動なんて無いよ。会場に行っても、スタッフが「並んでください」「走らないでください」という注意に見事なくらい従ってる。イベントが終わった時も自主的にゴミの回収とかもやるしね。
でも、いくら大人しくても、秩序だってても、オタクはオタク。ファンのカテゴライズには勝てない。なんというか、イナゴの大群とかネズミの大群見る感じ。たとえネズミがきれいに一列に並んでも「えらい、キチンとしてるねえ」とは言われないよね。
去年の夏コミの動画を見ていると、風信子先輩は意外なことを言った。
「ねえ、これって出展とかした方が面白いんじゃない?」
絶句した、そういう発想は持ったことが無いから……。
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一 (オメガ) 高校三年
百地美子 (シグマ) 高校二年
妻鹿小菊 高校一年 オメガの妹
妻鹿幸一 祖父
妻鹿由紀夫 父
鈴木典亮 (ノリスケ) 高校三年 雄一の数少ない友だち
風信子 高校三年 幼なじみの神社(神楽坂鈿女神社)の娘
柊木小松(ひいらぎこまつ) 大学生 オメガの一歳上の従姉 松ねえ
ミリー・ニノミヤ シグマの祖母
ヨッチャン(田島芳子) 雄一の担任
木田さん 二年の時のクラスメート(副委員長)
増田汐(しほ) 小菊のクラスメート
76『夏コミに行きたい!』シグマ
これの三倍以上の人が来るんだ……
そう思うとため息が出る。
ウットリしてるんじゃない、す、すごいなあ(;'∀')……そう感じて尻込みしてしまう。
気まぐれでテレビを点けたら後楽園球場の試合を映していた。
ググってみると……後楽園球場は43000人ほど人が入る。
――満席の後楽園球場には定員いっぱい43000人、満杯の野球ファンで埋め尽くされております!――
アナウンサーの言葉でリモコンを持つ手が止まった。
画面の後楽園もすごいけど、かねがね行きたかったアソコは一日に17万人、三日で50万人以上の人が集まる。
夏コミ 20××!
日本最大!……ってことは世界最大のオタクの祭典!
中学の頃から行きたかったけど、動画サイトなどで見る混雑ぶりというか密度の高さで諦めていた。
夏コミに行けば、限定アイテムや同人誌が手に入る。
これが他府県なら諦めもつくけど、なんてったって東京ビッグサイトだ。始発に乗っても六時前には着ける。
それに、今のあたしはボッチじゃない、サブカル研のみんなに声を掛ければいいんだ!
…………でも迷ってしまう。
オタクと言ってもいろいろなんだ。
人生全てが二次元というようなガチな人から、数ある趣味の一つですという人まで。
うちのサブカル研は、あたしが無理を言って、その無理に先輩たちが合わせてくれているところがある。
そうなんだ、合わせてくれているんだ。
ノリスケ先輩は元々二次元が好きみたい。パソコンでゲーム進行していても、とてもテンポがいい。
ゲームで詰まっても「おもしれーじゃねーか」とセーブデータを見て「ここが分岐だったんだなあ(^▽^)」と適切に過去フラグに戻って、すぐにルートに戻ってくる。
でも、オメガ先輩は途中で投げ出すゲームも多い。
最初にやってもらった『君の名を』はツボにはまったみたいだけど、先月紹介した『時を掛ける妹』は止まっているみたいで、あまり興味はない様子だ。
部活らしくやろうということで始めた『バトルフィールドラブ』で勝ったことが一度もない。エロゲなんで勝ちにこだわることもないんだけど、やっぱ、お付き合いでやらされてる感が漂っている。
冷静に分析すれば、あたしの我がままに、人のいい先輩たちが着きあってくれているということなんだ。
そこんとこ分かっているから、連休中も無理は言わなかった……言えなかった。
それで、あたしは風信子先輩に相談してみることにした。
「へー、そういうのがあるんだ!」
まず感心された。
三日で50万人以上のイベントとはいえ、やっぱ社会的にはオタクの祭典。連日ニュースで取り上げられたたり、スポンサーがついて中継されるようなもんじゃない。情報に接していなければ知らなくて当たり前。
そもそもオタクのイメージって「異性にモテない」「目を合わせて話さない」「服装がキモイ、あるいはダサい」「引きこもってゲームばっかりやってる」そんな感じ。
そんなオタクが集まっても、世間は後楽園球場に集まった野球ファンのようには見てくれない。そうなんだよ、野球に関しては「野球オタク」とかは言わない。あくまでファンだよ。サッカーやラグビーとかは、熱狂したファンが発狂して事件を起こすことがあるよね、暴力沙汰になって、暴動めいたり、殺人事件になったり、興奮したファンを鎮めるために機動隊やら軍隊が出撃することも珍しくない。
オタクが何十万人集まっても、機動隊やら軍隊が出動なんて無いよ。会場に行っても、スタッフが「並んでください」「走らないでください」という注意に見事なくらい従ってる。イベントが終わった時も自主的にゴミの回収とかもやるしね。
でも、いくら大人しくても、秩序だってても、オタクはオタク。ファンのカテゴライズには勝てない。なんというか、イナゴの大群とかネズミの大群見る感じ。たとえネズミがきれいに一列に並んでも「えらい、キチンとしてるねえ」とは言われないよね。
去年の夏コミの動画を見ていると、風信子先輩は意外なことを言った。
「ねえ、これって出展とかした方が面白いんじゃない?」
絶句した、そういう発想は持ったことが無いから……。
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一 (オメガ) 高校三年
百地美子 (シグマ) 高校二年
妻鹿小菊 高校一年 オメガの妹
妻鹿幸一 祖父
妻鹿由紀夫 父
鈴木典亮 (ノリスケ) 高校三年 雄一の数少ない友だち
風信子 高校三年 幼なじみの神社(神楽坂鈿女神社)の娘
柊木小松(ひいらぎこまつ) 大学生 オメガの一歳上の従姉 松ねえ
ミリー・ニノミヤ シグマの祖母
ヨッチャン(田島芳子) 雄一の担任
木田さん 二年の時のクラスメート(副委員長)
増田汐(しほ) 小菊のクラスメート
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
あーきてくっちゃ!
七々扇七緒
ライト文芸
『ゆるーく建築を知れる』📐北海道札幌市を舞台とした『ゆるふわ×建築』日常系のストーリーです🏠✨
北海道内でも人気が高く、多くの女子が入学を夢見る『才華女子高等学校』。多くのキラキラした学科がある中、志望調査で建築学科を志望した生徒はわずか3人?!
「10人以上志望者がいないと、その年度の建築学科は廃止になる」と宣告された、うらら達3人。
2年生から本格的な学科分けがあり、それまでにメンバーをあと7人増やさなければならない。うらら達は建築の楽しさを周りにも伝えるため、身近な建築の不思議や謎を調査する活動をすることに決めたのだった――。
🌸🌸🌸
人間にとって欠かせない衣食住、その中の『住』にあたる建築物は私たちにとって身近な存在です。でも、身近すぎて気づかないこと、知らないことって多いと思いませんか?
「なんで、こんな所に穴があるんだろう?」
「なんで、ここはヘコんでるんだろう?」
「なんで、この壁とあの壁は叩くと音が違うんだろう?」
「そもそも、建物ってどうやって作ってるんだろう!?」
建築には、全ての形に意味があります。
(意味ないことをしたらお金と手間がかかるからやらない)
一件難しく感じるかもしれませんが、
この小説では女子高生たちとゆる~く建築の豆知識をお伝えしながら、すこ~しでも良いので建築に興味を持ってくれたらうれしいな~
という気持ちで、建設業で働く私がの~んびり書いていく作品です。
ごゆっくりお楽しみくださいませ✨
☆注意☆
この作品に登場するイラストは、AIイラストを作成するアプリで作っています。
背景など作中と少し異なる表現があるかと思いますがご了承ください。
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる