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8『下足ロッカーにピンクの封筒』
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泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)
8『下足ロッカーにピンクの封筒』
あやうくバレるところだった。
昇降口に着いてロッカーを開けると、半分開けたところで上履きの上に乙女チックなピンクの封筒が載っているのに気づいた。
「すまん、ちょっとここで待っててくれ」
先に行ってくれと言ってしまいそうなんだけど、そんなことをすればノリスケに勘ぐられてしまう。
この場合は「待っててくれ」というのが自然だ。
食堂の自販機でホットの缶コーヒーを買いハンカチに包んで昇降口に戻る。
「すまん、小菊のお詫び、とりあえずな」
「おーアッタケー」
缶コーヒーを渡すと、両手で転がしたり頬っぺたにスリスリするところなど、ガキの頃から変わらないノリスケではある。
教科書に紛らせてピンクの封筒を取り出す。
「でも、お詫びの本編は、あのエロゲな!」
「あ、ああ」
「あれはな『君の名を』って、なんだかヒットしたアニメ映画みたいなタイトルなんだけどよ(このタイトルのお蔭で、受け取ってしばらくは『なんだ、脅かしやがって、アニメのゲームじゃねえか(^_^;)』と思った。アキバの駅に戻る途中、オタクどもに気づかされる)十年に一本出るかでないかのエロゲの名作なんだってよっ!」
「そ、そーか(☆∀☆)!」
手紙は、少し幼さの残る女子の字だ。
――めんどうかけました、放課後、別館の屋上で待ってます――
シグマからの手紙だ、封筒見た時にピンときたけどさ。
下足ロッカーにピンクの封筒、で、屋上で待ってます……この二点だけ取り上げれば、ラブコメの鉄板フラグだ。
でも、リアルってのは違うんだよなーーー。
アキバでの勢い、それにお祖母ちゃん危篤の電話にうろたえた姿、おれも、つい「俺に任せとけ!」なんて言ったけど、なんせエロゲだ。気楽に廊下なんかでは受け取れないんだろう。
ふつう学校の屋上ってのは、事故の防止やら生徒のワルサ防止のために二重三重にロックされているもんで、その屋上に呼び出すと言うのが尋常じゃない。
それに、これは俺も悪いんだけど、ゲームソフトの受け渡しの約束をした割には、お互いに番号の交換もしていない。スマホの番号を知っていれば、もっと簡単に済んだはずだ。
屋上に通ずる四階の階段は、踊り場から上は鉄格子がハマっている。
南京錠が……かけたフリになっていた。錠の部分が下りきっていないで、半回転ひねればば簡単に開く。
屋上のドアはノブを回せば開いた。
あれ?
屋上にシグマの姿は無かった。
鍵が二つとも開いていたから、絶対屋上に居るはずなのに……。
あ!?
考えたら、あの手紙には用件だけが書いてあって、名前が書いていなかった。
状況から完全にシグマだと思っていた……。
これは、だれか第三者にハメられたか!?
そう思いついた時、背後でカサリと音がした……。
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一(オメガ) 高校二年
百地 (シグマ) 高校一年
妻鹿小菊 中三 オメガの妹
ノリスケ 高校二年 雄一の数少ない友だち
ヨッチャン(田島芳子) 雄一の担任
8『下足ロッカーにピンクの封筒』
あやうくバレるところだった。
昇降口に着いてロッカーを開けると、半分開けたところで上履きの上に乙女チックなピンクの封筒が載っているのに気づいた。
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この場合は「待っててくれ」というのが自然だ。
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教科書に紛らせてピンクの封筒を取り出す。
「でも、お詫びの本編は、あのエロゲな!」
「あ、ああ」
「あれはな『君の名を』って、なんだかヒットしたアニメ映画みたいなタイトルなんだけどよ(このタイトルのお蔭で、受け取ってしばらくは『なんだ、脅かしやがって、アニメのゲームじゃねえか(^_^;)』と思った。アキバの駅に戻る途中、オタクどもに気づかされる)十年に一本出るかでないかのエロゲの名作なんだってよっ!」
「そ、そーか(☆∀☆)!」
手紙は、少し幼さの残る女子の字だ。
――めんどうかけました、放課後、別館の屋上で待ってます――
シグマからの手紙だ、封筒見た時にピンときたけどさ。
下足ロッカーにピンクの封筒、で、屋上で待ってます……この二点だけ取り上げれば、ラブコメの鉄板フラグだ。
でも、リアルってのは違うんだよなーーー。
アキバでの勢い、それにお祖母ちゃん危篤の電話にうろたえた姿、おれも、つい「俺に任せとけ!」なんて言ったけど、なんせエロゲだ。気楽に廊下なんかでは受け取れないんだろう。
ふつう学校の屋上ってのは、事故の防止やら生徒のワルサ防止のために二重三重にロックされているもんで、その屋上に呼び出すと言うのが尋常じゃない。
それに、これは俺も悪いんだけど、ゲームソフトの受け渡しの約束をした割には、お互いに番号の交換もしていない。スマホの番号を知っていれば、もっと簡単に済んだはずだ。
屋上に通ずる四階の階段は、踊り場から上は鉄格子がハマっている。
南京錠が……かけたフリになっていた。錠の部分が下りきっていないで、半回転ひねればば簡単に開く。
屋上のドアはノブを回せば開いた。
あれ?
屋上にシグマの姿は無かった。
鍵が二つとも開いていたから、絶対屋上に居るはずなのに……。
あ!?
考えたら、あの手紙には用件だけが書いてあって、名前が書いていなかった。
状況から完全にシグマだと思っていた……。
これは、だれか第三者にハメられたか!?
そう思いついた時、背後でカサリと音がした……。
☆彡 主な登場人物
妻鹿雄一(オメガ) 高校二年
百地 (シグマ) 高校一年
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