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004『ブリュンヒルデ 父に詰め寄る・1』
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漆黒のブリュンヒルデ
004『ブリュンヒルデ 父に詰め寄る・1』
衛兵たちが警備する外郭を駆け抜けると、凱旋祝賀の準備に非番の侍女や近習たちまでも動員されて灰神楽が立つほどに忙しい内郭を突き抜ける。さらに本丸宮殿の門前に立つまでに十秒とかからぬブリュンヒルデであった。
ここまでヘルメス神をも凌ぐ俊足で駆けた姫ではあるが、本丸宮殿に入るには門衛長ロイデンの許可がいる。
「ブリュンヒルデである。父君に糺したきことがあって立ち戻った。疾く門を開けよ!」
「何やつ!? 姫ならば、いまだ凱旋の途につかれたばかり、かような刻限におわすはずがないぞ」
「ロイゼン、余の声を忘れたか!?」
「籠った声では分からぬ。兜を脱いで顔を見せよ」
「身は、主神オーディンの王女ブリュンヒルデである」
シャキン
姫は、バイザーのみを上げて忠勤な門衛長を睨んだ。
「こ、こは、まことに姫君!?」
門衛長の開錠を待ちきれず、乱暴に門を押し開くと、姫騎士とは思えぬ歩調で奥つ城(き)に向かう。
グゥアッシャーン!
兜を投げ捨てると、姫は玉座を睨みつけた。
「……ヒルデ、驚かすものではない。戦勝の知らせは、つい先ほど届いたばかりだ。やっと非番の者たちを集めて祝賀の支度にとりかかったばかりなのだぞ」
「父上、人払いを願います。ヘルメスの百倍もの速さで戻ってまいったは、問いただしき義のあるからでございます」
「問いただすとは尋常ではない。軍務に関わることならばトール元帥にも同席してもらわねばならぬであろうし、奥向きの事であるならば内大臣、侍従長、侍女長にも声をかけねばならぬが、侍従長ワイゼンは腰を痛めて臥せっておるぞ」
「父上!」
「……承知した。皆の者、しばし控えておれ」
オーディンの指示で、十数人の侍臣、侍女たちは席を外した。
「オーギュスト! 扉を締めよ!」
「申し訳ございません!」
扉の外に控えていた近習のオーギュストを一喝すると、オーディンの執務室は、やっと親子二人になった。
くぅぉのお! くっそオヤジいいいいいいいいいいい(ꐦ°᷄д°᷅)!!
姫は、眉を逆立て頬を朱に染めて、父オーディンに掴みかかった!
004『ブリュンヒルデ 父に詰め寄る・1』
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ここまでヘルメス神をも凌ぐ俊足で駆けた姫ではあるが、本丸宮殿に入るには門衛長ロイデンの許可がいる。
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「ロイゼン、余の声を忘れたか!?」
「籠った声では分からぬ。兜を脱いで顔を見せよ」
「身は、主神オーディンの王女ブリュンヒルデである」
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門衛長の開錠を待ちきれず、乱暴に門を押し開くと、姫騎士とは思えぬ歩調で奥つ城(き)に向かう。
グゥアッシャーン!
兜を投げ捨てると、姫は玉座を睨みつけた。
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「父上、人払いを願います。ヘルメスの百倍もの速さで戻ってまいったは、問いただしき義のあるからでございます」
「問いただすとは尋常ではない。軍務に関わることならばトール元帥にも同席してもらわねばならぬであろうし、奥向きの事であるならば内大臣、侍従長、侍女長にも声をかけねばならぬが、侍従長ワイゼンは腰を痛めて臥せっておるぞ」
「父上!」
「……承知した。皆の者、しばし控えておれ」
オーディンの指示で、十数人の侍臣、侍女たちは席を外した。
「オーギュスト! 扉を締めよ!」
「申し訳ございません!」
扉の外に控えていた近習のオーギュストを一喝すると、オーディンの執務室は、やっと親子二人になった。
くぅぉのお! くっそオヤジいいいいいいいいいいい(ꐦ°᷄д°᷅)!!
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