48 / 96
47『心の奥』
しおりを挟む
くノ一その一今のうち
47『心の奥』
心(甲斐善光寺の地下戒壇)の中は陰圧が掛かっていて、外の戒壇に空気が漏れないようになっている。
だから、ニオイも気配も外に漏れることが無く発見が遅れた。
しかし、陰圧が掛かっているということは、吸い込まれた空気がどこかに抜けているということだ。
抜けていく方向に何かがある、恐らくは信玄の埋蔵金の大半を収めた洞窟が。
甲府城の地下にあったのは、埋蔵金のパートワンというか見せ金だ。本命の埋蔵金に寄せ付けないためのダミーに過ぎない。
立ったままの姿勢でじっと動かない。感度をよくするために両手をパーにして伸ばしている。
動いてしまえば、空気をかき回してしまい、この微かな空気の流れを見失ってしまう。
両手を広げて立っているなんて、忍者にあるまじき無防備さだ。
腕のいい忍びが吹き矢でも吹けば逃げようがない。至近距離なら手裏剣でさえ避けきれないだろう。
…………分からない。
入り口は狭い分、空気の流れが早くて陰圧として空気の流れを感じられた。だが、ここは教室ほどの広さがあって両手を広げたぐらいでは空気の流れを掴めない。視覚的には右前方に窪みがあって、そこから先が続いているように見えなくもない。しかし、わたしも忍者。五感のうちで視覚が最も騙されやすいのを知っている。
こういう場合、風魔忍者は裸になる。裸になれば全身の皮膚で空気の流れを感じられる。
特にくノ一の胸の先は感度がいいとされる。
服を脱いで胸を晒せば……いや、それは最後の手段だ。
取りあえず袖をまくり、ジャージの裾をあげる……手首、肘の裏、ふくらはぎ、膝の裏側がひんやりして空気を感じる。しかし、流れを感じとるところまではいかない。
ジャージの上をまくり上げ、腹と背中もセンサーにする。
これで分からなければ……いよいよ胸を晒すしかない(#'∀'#)。
え…………ちょっと混乱した。
微かに空気の流れを感じるようになったんだけど、それは視覚情報とは真逆。
左側の隙間も穴も見えない岩肌から風が流れてくるように感じる。
とっさに前転すると同時に掴んだ石を岩肌に向かって投げた!
スサ!
小さく、でも鋭い音がしたかと思うと、岩肌がハラリと崩れ、そこから黒い影が飛び出した。
崩れたのは岩肌に見せた布切れだ。
セイ!
手裏剣を投げると『ドス』っという音と手応えがし、影が立ち止まって、こちらを向いた。
影の太ももに手裏剣が刺さっている。
「やはり、現役を相手にするには歳を取り過ぎたか……」
そう言って太ももの手裏剣を抜いて、こちらを向いたのは意外な顔だった。
「………多田さん!?」
それは、年老いたお母さんが危篤ということでスタッフから抜けた照明係りの多田さん。
やっぱり、佐助の手下だったんだ。印象の薄い人で顔も思い出せなかったけど、今は、しっかり分かる。多田さん本人も隠そうとしていない。
「そのッチはいいものを持ってるよ、くノ一としても年頃の女の子としても」
「なっ(#・▲・#)」
思わずお腹を隠してしまう。
「ふふ、岩陰に隠れて思わず体が熱くなって、それで見つかってしまうとは忍者としては失格だがね……」
ピカ!
その瞬間、心の中は無音の雷が落ちたように光に満ちてホワイトアウト!
数秒たって目を開けると、心の入り口が開いていて、それまで影が潜んでいたところは岩肌に重なりがあって奥が見えないようになっている、覗いてみると、さらに岩の重なりがあって奥に広がっていることが分かった。
☆彡 主な登場人物
風間 その 高校三年生 世襲名・そのいち
風間 その子 風間そのの祖母(下忍)
百地三太夫 百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
鈴木 まあや アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
忍冬堂 百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
徳川社長 徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
服部課長代理 服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
十五代目猿飛佐助 もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
47『心の奥』
心(甲斐善光寺の地下戒壇)の中は陰圧が掛かっていて、外の戒壇に空気が漏れないようになっている。
だから、ニオイも気配も外に漏れることが無く発見が遅れた。
しかし、陰圧が掛かっているということは、吸い込まれた空気がどこかに抜けているということだ。
抜けていく方向に何かがある、恐らくは信玄の埋蔵金の大半を収めた洞窟が。
甲府城の地下にあったのは、埋蔵金のパートワンというか見せ金だ。本命の埋蔵金に寄せ付けないためのダミーに過ぎない。
立ったままの姿勢でじっと動かない。感度をよくするために両手をパーにして伸ばしている。
動いてしまえば、空気をかき回してしまい、この微かな空気の流れを見失ってしまう。
両手を広げて立っているなんて、忍者にあるまじき無防備さだ。
腕のいい忍びが吹き矢でも吹けば逃げようがない。至近距離なら手裏剣でさえ避けきれないだろう。
…………分からない。
入り口は狭い分、空気の流れが早くて陰圧として空気の流れを感じられた。だが、ここは教室ほどの広さがあって両手を広げたぐらいでは空気の流れを掴めない。視覚的には右前方に窪みがあって、そこから先が続いているように見えなくもない。しかし、わたしも忍者。五感のうちで視覚が最も騙されやすいのを知っている。
こういう場合、風魔忍者は裸になる。裸になれば全身の皮膚で空気の流れを感じられる。
特にくノ一の胸の先は感度がいいとされる。
服を脱いで胸を晒せば……いや、それは最後の手段だ。
取りあえず袖をまくり、ジャージの裾をあげる……手首、肘の裏、ふくらはぎ、膝の裏側がひんやりして空気を感じる。しかし、流れを感じとるところまではいかない。
ジャージの上をまくり上げ、腹と背中もセンサーにする。
これで分からなければ……いよいよ胸を晒すしかない(#'∀'#)。
え…………ちょっと混乱した。
微かに空気の流れを感じるようになったんだけど、それは視覚情報とは真逆。
左側の隙間も穴も見えない岩肌から風が流れてくるように感じる。
とっさに前転すると同時に掴んだ石を岩肌に向かって投げた!
スサ!
小さく、でも鋭い音がしたかと思うと、岩肌がハラリと崩れ、そこから黒い影が飛び出した。
崩れたのは岩肌に見せた布切れだ。
セイ!
手裏剣を投げると『ドス』っという音と手応えがし、影が立ち止まって、こちらを向いた。
影の太ももに手裏剣が刺さっている。
「やはり、現役を相手にするには歳を取り過ぎたか……」
そう言って太ももの手裏剣を抜いて、こちらを向いたのは意外な顔だった。
「………多田さん!?」
それは、年老いたお母さんが危篤ということでスタッフから抜けた照明係りの多田さん。
やっぱり、佐助の手下だったんだ。印象の薄い人で顔も思い出せなかったけど、今は、しっかり分かる。多田さん本人も隠そうとしていない。
「そのッチはいいものを持ってるよ、くノ一としても年頃の女の子としても」
「なっ(#・▲・#)」
思わずお腹を隠してしまう。
「ふふ、岩陰に隠れて思わず体が熱くなって、それで見つかってしまうとは忍者としては失格だがね……」
ピカ!
その瞬間、心の中は無音の雷が落ちたように光に満ちてホワイトアウト!
数秒たって目を開けると、心の入り口が開いていて、それまで影が潜んでいたところは岩肌に重なりがあって奥が見えないようになっている、覗いてみると、さらに岩の重なりがあって奥に広がっていることが分かった。
☆彡 主な登場人物
風間 その 高校三年生 世襲名・そのいち
風間 その子 風間そのの祖母(下忍)
百地三太夫 百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
鈴木 まあや アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
忍冬堂 百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
徳川社長 徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
服部課長代理 服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
十五代目猿飛佐助 もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる