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34『プリンセス ミナコ・16』
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ミナコ転生・34
『プリンセス ミナコ・16』
ミナコの中でなにかが弾けた。自分でも意識しない心の奥底で……。
ミナコは、横様に倒れながら父のジョルジュに足払いを掛け、父の自動小銃は虚しく虚空を半円状に弾をばらまいた。
そして、それが合図であったように、水中からダニエル、ダンカン、NATOの特殊部隊が水中から躍り出て、ゲリラ達を掃射した。
ダダダダダダダダダダ!
「ダニエル、ダンカン!」
「王女、頭を下げて!」
「「危ない!」」
ダニエルとダンカンは同時に声をあげた。
それからの数秒は、スローモーションのように見えた。
父のジョルジュは、倒れていたので、特殊部隊の隊員達は、瞬間、弾に撃たれて死んでいるものだと思った。熟練した隊員達はジョルジュが生きていて、拳銃を抜くところであることに反射的に気づいたが、一瞬遅れた。
ジョルジュは、ぶれながらもミナコの胸を狙った。
特殊部隊の隊員も反射的にジョルジュに狙いを定めた。
「撃たないで……!」
ミナコは、全身で父を庇った。そのために、父と特殊部隊の隊員の弾を二発も同時にうけてしまうことになった。
「王女!」
ジョルジュが、真っ先にミナコに駆け寄った。
「お父さんは無事……」
「ケガをされていますが、ご無事です」
「ミナコの王制は……わたしが……」
そこまで言ったとき、ミナコの口から、おびただしい血が溢れた。
「いかん、心肺停止。救護ヘリを呼べ!」
「もう、呼んである!」
ダニエルの叫びも、ダンカンの機転も虚しく、ミナコは、救護ヘリの中で十六歳の生涯を閉じた……。
その夜、ミナコ公国は悲しみに包まれた。
若きプリンセスは、その戴冠式も済まないうちに命を失った。皇太子ジョルジュは軽傷ではあったが、国民感情も母たる女王も、その復位は認めなかった。ローテも王位継承は固辞した。ミナコの真心が分かったからであることは言うまでもない。
その夜、ミナコの遺体は清められて、王宮の教会に安置された。女王と母の奈美子、妹の美奈が付き添った。
「まるで、シンデレラのようね……」
女王と奈美子は、代わる代わる髪をとかしたり、頬に触れたりした。
「まだ、少し体温が残っている……」
女王が涙をこぼした。
「この気温のせいでしょう。陛下、そろそろドライアイスを……」
ダンカンが、冷静に言った。
「ダンカン、あなたの冷静さを……」
女王は、厳しく悲しみに満ちた顔のまま言いかけた。
「は……?」
「感謝すると、おおせなのだ」
ダニエルが、女王の言葉を拾った。
「ありがとう、ダニエル……」
係のものが、花柄の枕になったドライアイスをミナコの頭にあてがおうとした。
「冷たい……」
微かではあるが、ミナコが声をたてた。
「「「「「「え?」」」」」」
……奇跡が起こったのだ!
それからは、原稿用紙で十枚分ぐらいの歓喜が続き、一カ月の療養のあとで、ミナコは回復し、正式にミナコ公国の王位継承者として、王女のティアラを頭に頂いた。
「さあ、これで今回のミナコは、終わりだ。ラストのがんばりは評価してやるが、その前は死に神をペテンにかけたからな、まだ、お前は別のミナコとして生きなければならない」
「疲れたあ……ちょっとでいいから、休みってのはもらえないのかしら?」
「おまえが、選んだ道だ、こんなもので済むと思うな」
ミナコと同じ姿の死に神が、情けのカケラもなく言い放った。
ミナコは、またまた混沌の中に引きずり込まれていった……。
『プリンセス ミナコ・16』
ミナコの中でなにかが弾けた。自分でも意識しない心の奥底で……。
ミナコは、横様に倒れながら父のジョルジュに足払いを掛け、父の自動小銃は虚しく虚空を半円状に弾をばらまいた。
そして、それが合図であったように、水中からダニエル、ダンカン、NATOの特殊部隊が水中から躍り出て、ゲリラ達を掃射した。
ダダダダダダダダダダ!
「ダニエル、ダンカン!」
「王女、頭を下げて!」
「「危ない!」」
ダニエルとダンカンは同時に声をあげた。
それからの数秒は、スローモーションのように見えた。
父のジョルジュは、倒れていたので、特殊部隊の隊員達は、瞬間、弾に撃たれて死んでいるものだと思った。熟練した隊員達はジョルジュが生きていて、拳銃を抜くところであることに反射的に気づいたが、一瞬遅れた。
ジョルジュは、ぶれながらもミナコの胸を狙った。
特殊部隊の隊員も反射的にジョルジュに狙いを定めた。
「撃たないで……!」
ミナコは、全身で父を庇った。そのために、父と特殊部隊の隊員の弾を二発も同時にうけてしまうことになった。
「王女!」
ジョルジュが、真っ先にミナコに駆け寄った。
「お父さんは無事……」
「ケガをされていますが、ご無事です」
「ミナコの王制は……わたしが……」
そこまで言ったとき、ミナコの口から、おびただしい血が溢れた。
「いかん、心肺停止。救護ヘリを呼べ!」
「もう、呼んである!」
ダニエルの叫びも、ダンカンの機転も虚しく、ミナコは、救護ヘリの中で十六歳の生涯を閉じた……。
その夜、ミナコ公国は悲しみに包まれた。
若きプリンセスは、その戴冠式も済まないうちに命を失った。皇太子ジョルジュは軽傷ではあったが、国民感情も母たる女王も、その復位は認めなかった。ローテも王位継承は固辞した。ミナコの真心が分かったからであることは言うまでもない。
その夜、ミナコの遺体は清められて、王宮の教会に安置された。女王と母の奈美子、妹の美奈が付き添った。
「まるで、シンデレラのようね……」
女王と奈美子は、代わる代わる髪をとかしたり、頬に触れたりした。
「まだ、少し体温が残っている……」
女王が涙をこぼした。
「この気温のせいでしょう。陛下、そろそろドライアイスを……」
ダンカンが、冷静に言った。
「ダンカン、あなたの冷静さを……」
女王は、厳しく悲しみに満ちた顔のまま言いかけた。
「は……?」
「感謝すると、おおせなのだ」
ダニエルが、女王の言葉を拾った。
「ありがとう、ダニエル……」
係のものが、花柄の枕になったドライアイスをミナコの頭にあてがおうとした。
「冷たい……」
微かではあるが、ミナコが声をたてた。
「「「「「「え?」」」」」」
……奇跡が起こったのだ!
それからは、原稿用紙で十枚分ぐらいの歓喜が続き、一カ月の療養のあとで、ミナコは回復し、正式にミナコ公国の王位継承者として、王女のティアラを頭に頂いた。
「さあ、これで今回のミナコは、終わりだ。ラストのがんばりは評価してやるが、その前は死に神をペテンにかけたからな、まだ、お前は別のミナコとして生きなければならない」
「疲れたあ……ちょっとでいいから、休みってのはもらえないのかしら?」
「おまえが、選んだ道だ、こんなもので済むと思うな」
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