108 / 161
108『カップ麺ころりん』
しおりを挟む
やくもあやかし物語
108『カップ麺ころりん』
あれこれカップ麺を12個買うとエコバッグには収まらない。
収まらない分はレジ袋は買わなければならない。
でも、お婆ちゃんはレジ袋嫌いだし、わずか三円でもレジ袋を買うのは業腹なのよ。
「じゃ、段ボール箱に入れましょう」
レジのオバサンがすごいことを言う。
レジ袋で三円だよ、段ボール箱だったら三十円? いや、ホームセンターで見たのは百円くらいしてたよ。
百円も出したら袋麺一個買えてしまう!
「サービスですから(^▽^)」
「え、そうなんですか!?」
「はい、これでどうでしょう」
デスクの下から手ごろなのを出してくれる。カップ麺12個入りの空き箱だ。
「あ、どうもありがとう!」
ちょっと感激して、清算を済ませるとカップ麺を段ボールに詰める。
12個のカップ麺だから、きちんと入る……いや、入らない。
だよね、メーカーが違うのが12個。
スーパーカップとかデカップとか、ついおっきいのばっか買ったからね(^_^;)。
「箱、二つにします?」
「いいです、二つだと持ちきれないから」
悪戦苦闘していると、学生バイトの男子が来て「ぼくがやります」とまとめてくれる。
「ありがとうございます」
「いいえ、サービスですから」
サービスついでに配達してくれたら……アハハ、それはないよね。
「はい、これでいけます!」
バイト君はきちんとやってくれた……のはいいんだけど、二宮金次郎みたく背中に背負う式。
「あ、ありがとう(^_^;)」
背負った姿を鏡に映すと、カチカチ山のタヌキ。
だよね、二宮金次郎なら歩きながら本を読まなきゃだもんね。
でもって、カチカチ山の女子中学生は黄昏時の街を家路につく。
ちょっとヤバいかも……。
二丁目の坂を上がっていると、結んでいた紐が緩んできた。
箱がバラけて、中身が出たら困る。
背中に手を回して段ボール箱を庇う。
こういうのって……あったよね。いらないことを思いだす。
『怪談奇談』というのに、赤ちゃんをおんぶしたまま、肝試しするって話があったよ。
無事に肝試しして戻ると、背中の赤ちゃんの首が無かったって、怖いオチが付いてたけど。
トン コロリン
音がして振り返ると、カップ麺が一個落ちて、坂道を転げ落ちていく。
ヤバイ
背中の段ボール箱を庇いながら、カップ麺を追いかける。
これは『おむすびころりん』の展開か!?
トン コロリン トントン コロコロ トンコロリン
本格的に紐がゆるんで、次々にカップ麺が落ちて、転がっていく!
「ちょ、待って!」
この坂道でトラブルとろくなことが無い。
焦って慌てて、三つ拾ったところで、目の前に二本の脚。
ああ、やっぱ……
顔を上げると、おなじみのメイドお化けが九個のカップ麺を器用にかついで、茜の夕陽を背に受けながらニコニコしていた。
「お帰りなさいませ、お嬢さまあ(=^0^=)」
ああ…………(^_^;)
☆ 主な登場人物
やくも 一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
お母さん やくもとは血の繋がりは無い 陽子
お爺ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
お婆ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
教頭先生
小出先生 図書部の先生
杉野君 図書委員仲間 やくものことが好き
小桜さん 図書委員仲間
あやかしたち 交換手さん メイドお化け ペコリお化け えりかちゃん 四毛猫 愛さん(愛の銅像) 染井さん(校門脇の桜) お守り石 光ファイバーのお化け 土の道のお化け 満開梅 春一番お化け 二丁目断層 親子(チカコ) 俊徳丸 鬼の孫の手 六畳の御息所
108『カップ麺ころりん』
あれこれカップ麺を12個買うとエコバッグには収まらない。
収まらない分はレジ袋は買わなければならない。
でも、お婆ちゃんはレジ袋嫌いだし、わずか三円でもレジ袋を買うのは業腹なのよ。
「じゃ、段ボール箱に入れましょう」
レジのオバサンがすごいことを言う。
レジ袋で三円だよ、段ボール箱だったら三十円? いや、ホームセンターで見たのは百円くらいしてたよ。
百円も出したら袋麺一個買えてしまう!
「サービスですから(^▽^)」
「え、そうなんですか!?」
「はい、これでどうでしょう」
デスクの下から手ごろなのを出してくれる。カップ麺12個入りの空き箱だ。
「あ、どうもありがとう!」
ちょっと感激して、清算を済ませるとカップ麺を段ボールに詰める。
12個のカップ麺だから、きちんと入る……いや、入らない。
だよね、メーカーが違うのが12個。
スーパーカップとかデカップとか、ついおっきいのばっか買ったからね(^_^;)。
「箱、二つにします?」
「いいです、二つだと持ちきれないから」
悪戦苦闘していると、学生バイトの男子が来て「ぼくがやります」とまとめてくれる。
「ありがとうございます」
「いいえ、サービスですから」
サービスついでに配達してくれたら……アハハ、それはないよね。
「はい、これでいけます!」
バイト君はきちんとやってくれた……のはいいんだけど、二宮金次郎みたく背中に背負う式。
「あ、ありがとう(^_^;)」
背負った姿を鏡に映すと、カチカチ山のタヌキ。
だよね、二宮金次郎なら歩きながら本を読まなきゃだもんね。
でもって、カチカチ山の女子中学生は黄昏時の街を家路につく。
ちょっとヤバいかも……。
二丁目の坂を上がっていると、結んでいた紐が緩んできた。
箱がバラけて、中身が出たら困る。
背中に手を回して段ボール箱を庇う。
こういうのって……あったよね。いらないことを思いだす。
『怪談奇談』というのに、赤ちゃんをおんぶしたまま、肝試しするって話があったよ。
無事に肝試しして戻ると、背中の赤ちゃんの首が無かったって、怖いオチが付いてたけど。
トン コロリン
音がして振り返ると、カップ麺が一個落ちて、坂道を転げ落ちていく。
ヤバイ
背中の段ボール箱を庇いながら、カップ麺を追いかける。
これは『おむすびころりん』の展開か!?
トン コロリン トントン コロコロ トンコロリン
本格的に紐がゆるんで、次々にカップ麺が落ちて、転がっていく!
「ちょ、待って!」
この坂道でトラブルとろくなことが無い。
焦って慌てて、三つ拾ったところで、目の前に二本の脚。
ああ、やっぱ……
顔を上げると、おなじみのメイドお化けが九個のカップ麺を器用にかついで、茜の夕陽を背に受けながらニコニコしていた。
「お帰りなさいませ、お嬢さまあ(=^0^=)」
ああ…………(^_^;)
☆ 主な登場人物
やくも 一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
お母さん やくもとは血の繋がりは無い 陽子
お爺ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
お婆ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
教頭先生
小出先生 図書部の先生
杉野君 図書委員仲間 やくものことが好き
小桜さん 図書委員仲間
あやかしたち 交換手さん メイドお化け ペコリお化け えりかちゃん 四毛猫 愛さん(愛の銅像) 染井さん(校門脇の桜) お守り石 光ファイバーのお化け 土の道のお化け 満開梅 春一番お化け 二丁目断層 親子(チカコ) 俊徳丸 鬼の孫の手 六畳の御息所
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
人質から始まった凡庸で優しい王子の英雄譚
咲良喜玖
ファンタジー
アーリア戦記から抜粋。
帝国歴515年。サナリア歴3年。
新国家サナリア王国は、超大国ガルナズン帝国の使者からの宣告により、国家存亡の危機に陥る。
アーリア大陸を二分している超大国との戦いは、全滅覚悟の死の戦争である。
だからこそ、サナリア王アハトは、帝国に従属することを決めるのだが。
当然それだけで交渉が終わるわけがなく、従属した証を示せとの命令が下された。
命令の中身。
それは、二人の王子の内のどちらかを選べとの事だった。
出来たばかりの国を守るために、サナリア王が判断した人物。
それが第一王子である【フュン・メイダルフィア】だった。
フュンは弟に比べて能力が低く、武芸や勉学が出来ない。
彼の良さをあげるとしたら、ただ人に優しいだけ。
そんな人物では、国を背負うことが出来ないだろうと、彼は帝国の人質となってしまったのだ。
しかし、この人質がきっかけとなり、長らく続いているアーリア大陸の戦乱の歴史が変わっていく。
西のイーナミア王国。東のガルナズン帝国。
アーリア大陸の歴史を支える二つの巨大国家を揺るがす英雄が誕生することになるのだ。
偉大なる人質。フュンの物語が今始まる。
他サイトにも書いています。
こちらでは、出来るだけシンプルにしていますので、章分けも簡易にして、解説をしているあとがきもありません。
小説だけを読める形にしています。
〈本編完結〉ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません
詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編として出来るだけ端折って早々に完結予定でしたが、予想外に多くの方に読んでいただき、書いてるうちにエピソードも増えてしまった為長編に変更致しましたm(_ _)m
ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいです💦
*主人公視点完結致しました。
*他者視点準備中です。
*思いがけず沢山の感想をいただき、返信が滞っております。随時させていただく予定ですが、返信のしようがないコメント/ご指摘等にはお礼のみとさせていただきます。
*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。
周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。
見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。
脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。
「マリーローズ?」
そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。
目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。
だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。
日本で私は社畜だった。
暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。
あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。
「ふざけんな___!!!」
と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
稀代の大賢者は0歳児から暗躍する〜公爵家のご令息は運命に抵抗する〜
撫羽
ファンタジー
ある邸で秘密の会議が開かれていた。
そこに出席している3歳児、王弟殿下の一人息子。実は前世を覚えていた。しかもやり直しの生だった!?
どうしてちびっ子が秘密の会議に出席するような事になっているのか? 何があったのか?
それは生後半年の頃に遡る。
『ばぶぁッ!』と元気な声で目覚めた赤ん坊。
おかしいぞ。確かに俺は刺されて死んだ筈だ。
なのに、目が覚めたら見覚えのある部屋だった。両親が心配そうに見ている。
しかも若い。え? どうなってんだ?
体を起こすと、嫌でも目に入る自分のポヨンとした赤ちゃん体型。マジかよ!?
神がいるなら、0歳児スタートはやめてほしかった。
何故だか分からないけど、人生をやり直す事になった。実は将来、大賢者に選ばれ魔族討伐に出る筈だ。だが、それは避けないといけない。
何故ならそこで、俺は殺されたからだ。
ならば、大賢者に選ばれなければいいじゃん!と、小さな使い魔と一緒に奮闘する。
でも、それなら魔族の問題はどうするんだ?
それも解決してやろうではないか!
小さな胸を張って、根拠もないのに自信満々だ。
今回は初めての0歳児スタートです。
小さな賢者が自分の家族と、大好きな婚約者を守る為に奮闘します。
今度こそ、殺されずに生き残れるのか!?
とは言うものの、全然ハードな内容ではありません。
今回も癒しをお届けできればと思います。
イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)
こたろう文庫
ファンタジー
カクヨムにて日間・週間共に総合ランキング1位!
死神が間違えたせいで俺は死んだらしい。俺にそう説明する神は何かと俺をイラつかせる。異世界に転生させるからスキルを選ぶように言われたので、神にイラついていた俺は1回しか使えない強奪スキルを神相手に使ってやった。
閑散とした村に子供として転生した為、強奪したスキルのチート度合いがわからず、学校に入学後も無自覚のまま周りを振り回す僕の話
2作目になります。
まだ読まれてない方はこちらもよろしくおねがいします。
「クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される」
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
異世界二度目のおっさん、どう考えても高校生勇者より強い
八神 凪
ファンタジー
旧題:久しぶりに異世界召喚に巻き込まれたおっさんの俺は、どう考えても一緒に召喚された勇者候補よりも強い
【第二回ファンタジーカップ大賞 編集部賞受賞! 書籍化します!】
高柳 陸はどこにでもいるサラリーマン。
満員電車に揺られて上司にどやされ、取引先には愛想笑い。
彼女も居ないごく普通の男である。
そんな彼が定時で帰宅しているある日、どこかの飲み屋で一杯飲むかと考えていた。
繁華街へ繰り出す陸。
まだ時間が早いので学生が賑わっているなと懐かしさに目を細めている時、それは起きた。
陸の前を歩いていた男女の高校生の足元に紫色の魔法陣が出現した。
まずい、と思ったが少し足が入っていた陸は魔法陣に吸い込まれるように引きずられていく。
魔法陣の中心で困惑する男女の高校生と陸。そして眼鏡をかけた女子高生が中心へ近づいた瞬間、目の前が真っ白に包まれる。
次に目が覚めた時、男女の高校生と眼鏡の女子高生、そして陸の目の前には中世のお姫様のような恰好をした女性が両手を組んで声を上げる。
「異世界の勇者様、どうかこの国を助けてください」と。
困惑する高校生に自分はこの国の姫でここが剣と魔法の世界であること、魔王と呼ばれる存在が世界を闇に包もうとしていて隣国がそれに乗じて我が国に攻めてこようとしていると説明をする。
元の世界に戻る方法は魔王を倒すしかないといい、高校生二人は渋々了承。
なにがなんだか分からない眼鏡の女子高生と陸を見た姫はにこやかに口を開く。
『あなた達はなんですか? 自分が召喚したのは二人だけなのに』
そう言い放つと城から追い出そうとする姫。
そこで男女の高校生は残った女生徒は幼馴染だと言い、自分と一緒に行こうと提案。
残された陸は慣れた感じで城を出て行くことに決めた。
「さて、久しぶりの異世界だが……前と違う世界みたいだな」
陸はしがないただのサラリーマン。
しかしその実態は過去に異世界へ旅立ったことのある経歴を持つ男だった。
今度も魔王がいるのかとため息を吐きながら、陸は以前手に入れた力を駆使し異世界へと足を踏み出す――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる