魔法少女マヂカ

武者走走九郎or大橋むつお

文字の大きさ
上 下
132 / 301

132『太秦あたり・3・天鈿女命(アメノウズメノミコト)』

しおりを挟む

魔法少女マヂカ・132  

『太秦あたり・3・天鈿女命(アメノウズメノミコト)』語り手:マヂカ 

 

 
 弥勒さん……弥勒菩薩さん……弥勒菩薩半跏思惟さん

 
 ウズメさんが弥勒さんに呼びかけるが、弥勒は居ねむっているのか反応が無い。

「ミロクというのは恥ずかしいのか?」

「恥ずかしいから、寝たふりなの?」

 ブリンダとサムがスカタンをかます。

「恥ずかしいのではなくて半跏思惟(はんかしい)、片足だけの胡座で考え中ってことよ」

 
 パコーーン

 
「あたしが出てきたのに寝たふりはないでしょ!」

 ウズメに張り倒されて、目を白黒させ、ゆがんだ冠を直すミロク。

「え、あ、あ、あたし?」

「弥勒菩薩半跏思惟ってのは、あんたしか居ないでしょ!」

「あたしは広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟よ、中宮寺にも弥勒菩薩半跏思惟が居るから、分かんな~い(^_^;)」

「ここいらじゃ、あんたしかいないでしょーが!」

「でも、入試とかじゃ、キチンと書かなきゃ正解にならないしい」

「じゃあ、広隆寺弥勒菩薩半跏思惟!」

「えと、拝観時間には、まだ間があるんですけどお……」

「ここは裏次元だから、時間はたたないし、観光客もやってこないよ!」

「あ、あ、そうなの。じゃ、もうちょっと寝てよっかな、ここんとこ考え事多すぎてえ」

「ちょっと待て!」

「あ、痛い痛い、耳引っ張らないでくれるぅヽ(`Д´)ノ」

「おまえの耳たぶ長くて引っ張りやすい」

「もう、激おこぷんぷん丸だよ!」

「古い言い回し……って、それはいいんだ。いや、よくない! 激おこでごまかすな! おまえ、取り巻きたちに魔法少女を攻撃させただろ」

「え? え? ああ、なに、あんたたち!」

 たったいま気が付いたように、忍者たちと牛頭馬頭たちを睨みつける。

「いや、弥勒さまは攻撃命令を出されました。我らは、そのご命令を実行したまでのこと」

 服部半蔵が異を唱える。

「命令? うそよ、いつ、あたしが命令したあ?」

「かように、頬を((^^ゞ)」

「え……あ、ああ、あれはね、ちょっと痒くなったからあ、ごめんね、人騒がせでえ(^_^;)、てへぺろ」

「てへぺろすんな!」

「えと、そーゆうことだから、あなたたち、通っていいよお」

 ええんかい!

「ミロクさまあ、ウズメさまあ」

「「なに!?」」

 黒牛頭が折れた車軸を持ち上げて不足を言う。

「車軸が折れちまって、仕事にならないんすけど」

 黒牛頭がリーダーだったようで、牛頭馬頭どもが、いっせいに車軸の折れを持ち上げる。

「ああ、ごっめん! それはあたしだわ。あたしって車折神社の御祭神だから、プンスカすると車軸折れちゃうのよね。まあ、保険でなんとかするから」

「え? 保険きくんすか!」

「うん、岸和田のダンジリ保険の保険屋に入ってるから。修理が済むまでは代車でやっといて。牛頭馬頭が動かなかったら、亡者どもを地獄に送れないもんね」

「ほんじゃ、我々は、これで」

 牛頭馬頭たちは納得すると、次々に姿を消していく。気づくと、弥勒と忍者たちの姿も見えなくなっている。

「ごめんね、脚を停めてしまって。京都は神さまや仏様で一杯でしょ、古株のあたしなんだけど、神仏習合とかで、いろいろ難しくって。ま、お詫びに少し先までは送らせてもらうわ」

「えと、それは有難いんだけど、ウズメさんの服装……R18指定だから……」

「あ、堪忍どすえ。ほな、これで……」

 
 ドロンとバク転すると、普通の巫女姿になったウズメさんだった。

 北斗はウズメさんを乗せて、嵐山のトンネルに入っていった……。

 

 

 

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...