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128『ループする二条駅』
しおりを挟む魔法少女マヂカ
128『ループする二条駅』語り手:マヂカ
京都駅を出発すると梅小路京都西駅、丹波口駅を経て二条駅。
装甲列車が出てきたので梅小路には気を配ったが、霞の向こうに鉄道博物館が濃灰色のシルエットになって沈もるばかり。念のためボイラー室側壁のガンピットから量子カノン銃を覗かせて警戒するが、北斗は梅小路公園の外縁を撫でるようにして、たちまちのうちに丹波口駅に迫る。
「とりあえずは無事の発進かニャ……」
ミケニャンが早々と安どのため息を漏らす。
「どれぐらいで黄泉比良坂に着くのかな?」
「いまの北斗はSLモードだから、無事に行けば十時間くらいじゃない? ノンコ、眠かったら寝ていていいよ。ブリンダとサムが寝台車取ってきてくれたから」
「まだ、大丈夫だよ」
「あ、高架になったぞ」
「そうか、京都市内は高架工事が完了しているんだ……」
京都は休眠前に訪れた戦前の印象しかない。山陰線の高架と言えば餘部鉄橋があるくらいで、ずっと地上を走るイメージしかない。
「うわあ、お寺みたいな駅だ」
ノンコが和風の二条駅を珍しがっている。
二条駅は古都のイメージを壊さないように寺院建築を模した和風の駅舎になっている。離宮として使われた二条城が近いこともあって、天皇や皇族方の利用を考慮して、その規模の割には貴賓室を備えているなど、地味な割には凝った造りになっている。
あれ……?
二条駅は地上駅のはずだ。高架になって目の高さに地上駅が見えるのはおかしい?
「マヂカ、進行方向に同じ駅が見えるぞ」
ブリンダも警戒の声をあげる。
「その向こうにも……」
次々と二条駅が現れては後方の霞の中に消えていく。
「ループしている……」
「友里、二条駅を検索してくれ、いまの二条駅の姿をモニターに出すんだ!」
安倍先生が叫ぶ、聖メイド服であるバジーナ・ミカエル・フォン・クルゼンシュタイン一世の衣装をまとったまま男っぽく命ずるのは、なにか倒錯した魅力がある。
「これです!」
すっきりした高架の駅舎がモニターに映し出される。
「みんな、この駅のイメージを持て! すぐに!」
しかし、少し遅かったようだ。和風の二条駅駅舎は次々にループしていく。
「総員戦闘準備! 次の二条駅に停車して妨害している霊魔を撃破する!」
「「「「「「ラジャーー!」」」」」」
総員の声が揃い、機関士である友里が加減弁を押しブレーキをかけた。
キキキキーーーーーー!!
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