107 / 301
107『戦いすんで・2』
しおりを挟む
魔法少女マヂカ
107『戦いすんで・2』語り手:マヂカ
さすがに実戦はねえ……。
ヘタレ八の字にした眉を小指で掻きながら言う。
意図してはいないんだろうけど、こういう仕草が可愛いのは反則だ。
同性で、なおかつ数百年の時空を生きてきた魔法少女でも、それ以上の追及ができなくなる。
サムって分かるわよね?
堂々とカオスのスパイと名乗って入ってきた栗色セミロングの美少女、サマンサ・レーガン。
双子玉川のドラゴン退治には居なかった。
太田道灌が救援を頼みに来た時には、たまたま居なかったんだけど、ひょっとしたら意識的に外していたんじゃないかと聞いてみたんだ。
すると「さすがに実戦はねえ……」という返事をした。
やっぱり意図的だ。
いや、竜神戦に参加しなかったことがね。仕草が可愛いのは、サムの個性だ。
じゃ、ブリンダに会いに行こう。
ということで、調理研のメンバーで千駄木女学院を目指している。
千駄木女学院はブリンダが交換留学生という触れ込みで入っている学校だ。
竜神戦は、友里、ノンコ、清美の三人が、初めて素のまま参加したので時間がかかってしまい、北斗で出撃した時には、ほとんど収まりかけていた。
つまり、ブリンダが一人で戦ったので「あんたら、遅いいいいいいいいい!」と機嫌を損ねている。
そこで、サムの紹介と親睦とお詫びを兼ねて駅向こうの千駄木女学院を目指している。
「千駄木女学院の方が偉く見えてくる」
日暮里の駅を超えたところで、ノンコが言う。
「なんで?」
「だって、私学だし、制服可愛いし、坂の上にあるしい」
「あたしらだって偉いわよ」
「そうかなあ」
「だって、あんたたち三人で、あのデカブツの北斗動かしてるんだもん。おっきさとか威力とかで言ったら『サクラ大戦』の霊子甲冑よりすごいよ、その機関助手なんだからノンコは、もっと胸張っていいわよ」
「ヘヘ、そっかなあ(n*´ω`*n)」
ノンコは単純に喜んでいるが、秘密基地に来たことのないサムがノンコの配置まで知っているのは「!?」なんだけど、サムには邪気が無い。何百年も魔法少女をやっていると、なんとはなしに敵性オーラは感じるのだ。
「ほら、男子が見てるよ」
ここらへんでは珍しい詰襟学生服の男子がすれ違いざまにチラ見していく。
「ノンコ、ちょっと先に行ってごらん」
「え?」
「実感できるからさ」
素直なノンコは、テテテテと先に進んだ。
すると、前から三々五々やってくる詰襟学生服たちが、チラチラとノンコに視線を向けているのが分かる。
詰襟たちは、わたしらのことも見る。ノンコを見る目と同質なんだけど、最初に視線を感じるノンコは自分に送られているんだと思うだろう、友里と清美は『??』だけど、まあいい。女子高生の、ちょっとした遊びだ。
「でも、どこの男子校だろうね」
冷静な清美が呟く。
ポリ高のテリトリーは日暮里駅が境目なので、この辺に見慣れない詰襟が歩いていても、それほど不思議には思わないんだ。
でも、わたしもサムも分かっている。
詰襟たちは、わたしたちとすれ違ったあと、次々に姿を消していることに……。
107『戦いすんで・2』語り手:マヂカ
さすがに実戦はねえ……。
ヘタレ八の字にした眉を小指で掻きながら言う。
意図してはいないんだろうけど、こういう仕草が可愛いのは反則だ。
同性で、なおかつ数百年の時空を生きてきた魔法少女でも、それ以上の追及ができなくなる。
サムって分かるわよね?
堂々とカオスのスパイと名乗って入ってきた栗色セミロングの美少女、サマンサ・レーガン。
双子玉川のドラゴン退治には居なかった。
太田道灌が救援を頼みに来た時には、たまたま居なかったんだけど、ひょっとしたら意識的に外していたんじゃないかと聞いてみたんだ。
すると「さすがに実戦はねえ……」という返事をした。
やっぱり意図的だ。
いや、竜神戦に参加しなかったことがね。仕草が可愛いのは、サムの個性だ。
じゃ、ブリンダに会いに行こう。
ということで、調理研のメンバーで千駄木女学院を目指している。
千駄木女学院はブリンダが交換留学生という触れ込みで入っている学校だ。
竜神戦は、友里、ノンコ、清美の三人が、初めて素のまま参加したので時間がかかってしまい、北斗で出撃した時には、ほとんど収まりかけていた。
つまり、ブリンダが一人で戦ったので「あんたら、遅いいいいいいいいい!」と機嫌を損ねている。
そこで、サムの紹介と親睦とお詫びを兼ねて駅向こうの千駄木女学院を目指している。
「千駄木女学院の方が偉く見えてくる」
日暮里の駅を超えたところで、ノンコが言う。
「なんで?」
「だって、私学だし、制服可愛いし、坂の上にあるしい」
「あたしらだって偉いわよ」
「そうかなあ」
「だって、あんたたち三人で、あのデカブツの北斗動かしてるんだもん。おっきさとか威力とかで言ったら『サクラ大戦』の霊子甲冑よりすごいよ、その機関助手なんだからノンコは、もっと胸張っていいわよ」
「ヘヘ、そっかなあ(n*´ω`*n)」
ノンコは単純に喜んでいるが、秘密基地に来たことのないサムがノンコの配置まで知っているのは「!?」なんだけど、サムには邪気が無い。何百年も魔法少女をやっていると、なんとはなしに敵性オーラは感じるのだ。
「ほら、男子が見てるよ」
ここらへんでは珍しい詰襟学生服の男子がすれ違いざまにチラ見していく。
「ノンコ、ちょっと先に行ってごらん」
「え?」
「実感できるからさ」
素直なノンコは、テテテテと先に進んだ。
すると、前から三々五々やってくる詰襟学生服たちが、チラチラとノンコに視線を向けているのが分かる。
詰襟たちは、わたしらのことも見る。ノンコを見る目と同質なんだけど、最初に視線を感じるノンコは自分に送られているんだと思うだろう、友里と清美は『??』だけど、まあいい。女子高生の、ちょっとした遊びだ。
「でも、どこの男子校だろうね」
冷静な清美が呟く。
ポリ高のテリトリーは日暮里駅が境目なので、この辺に見慣れない詰襟が歩いていても、それほど不思議には思わないんだ。
でも、わたしもサムも分かっている。
詰襟たちは、わたしたちとすれ違ったあと、次々に姿を消していることに……。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる