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107『戦いすんで・2』
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魔法少女マヂカ
107『戦いすんで・2』語り手:マヂカ
さすがに実戦はねえ……。
ヘタレ八の字にした眉を小指で掻きながら言う。
意図してはいないんだろうけど、こういう仕草が可愛いのは反則だ。
同性で、なおかつ数百年の時空を生きてきた魔法少女でも、それ以上の追及ができなくなる。
サムって分かるわよね?
堂々とカオスのスパイと名乗って入ってきた栗色セミロングの美少女、サマンサ・レーガン。
双子玉川のドラゴン退治には居なかった。
太田道灌が救援を頼みに来た時には、たまたま居なかったんだけど、ひょっとしたら意識的に外していたんじゃないかと聞いてみたんだ。
すると「さすがに実戦はねえ……」という返事をした。
やっぱり意図的だ。
いや、竜神戦に参加しなかったことがね。仕草が可愛いのは、サムの個性だ。
じゃ、ブリンダに会いに行こう。
ということで、調理研のメンバーで千駄木女学院を目指している。
千駄木女学院はブリンダが交換留学生という触れ込みで入っている学校だ。
竜神戦は、友里、ノンコ、清美の三人が、初めて素のまま参加したので時間がかかってしまい、北斗で出撃した時には、ほとんど収まりかけていた。
つまり、ブリンダが一人で戦ったので「あんたら、遅いいいいいいいいい!」と機嫌を損ねている。
そこで、サムの紹介と親睦とお詫びを兼ねて駅向こうの千駄木女学院を目指している。
「千駄木女学院の方が偉く見えてくる」
日暮里の駅を超えたところで、ノンコが言う。
「なんで?」
「だって、私学だし、制服可愛いし、坂の上にあるしい」
「あたしらだって偉いわよ」
「そうかなあ」
「だって、あんたたち三人で、あのデカブツの北斗動かしてるんだもん。おっきさとか威力とかで言ったら『サクラ大戦』の霊子甲冑よりすごいよ、その機関助手なんだからノンコは、もっと胸張っていいわよ」
「ヘヘ、そっかなあ(n*´ω`*n)」
ノンコは単純に喜んでいるが、秘密基地に来たことのないサムがノンコの配置まで知っているのは「!?」なんだけど、サムには邪気が無い。何百年も魔法少女をやっていると、なんとはなしに敵性オーラは感じるのだ。
「ほら、男子が見てるよ」
ここらへんでは珍しい詰襟学生服の男子がすれ違いざまにチラ見していく。
「ノンコ、ちょっと先に行ってごらん」
「え?」
「実感できるからさ」
素直なノンコは、テテテテと先に進んだ。
すると、前から三々五々やってくる詰襟学生服たちが、チラチラとノンコに視線を向けているのが分かる。
詰襟たちは、わたしらのことも見る。ノンコを見る目と同質なんだけど、最初に視線を感じるノンコは自分に送られているんだと思うだろう、友里と清美は『??』だけど、まあいい。女子高生の、ちょっとした遊びだ。
「でも、どこの男子校だろうね」
冷静な清美が呟く。
ポリ高のテリトリーは日暮里駅が境目なので、この辺に見慣れない詰襟が歩いていても、それほど不思議には思わないんだ。
でも、わたしもサムも分かっている。
詰襟たちは、わたしたちとすれ違ったあと、次々に姿を消していることに……。
107『戦いすんで・2』語り手:マヂカ
さすがに実戦はねえ……。
ヘタレ八の字にした眉を小指で掻きながら言う。
意図してはいないんだろうけど、こういう仕草が可愛いのは反則だ。
同性で、なおかつ数百年の時空を生きてきた魔法少女でも、それ以上の追及ができなくなる。
サムって分かるわよね?
堂々とカオスのスパイと名乗って入ってきた栗色セミロングの美少女、サマンサ・レーガン。
双子玉川のドラゴン退治には居なかった。
太田道灌が救援を頼みに来た時には、たまたま居なかったんだけど、ひょっとしたら意識的に外していたんじゃないかと聞いてみたんだ。
すると「さすがに実戦はねえ……」という返事をした。
やっぱり意図的だ。
いや、竜神戦に参加しなかったことがね。仕草が可愛いのは、サムの個性だ。
じゃ、ブリンダに会いに行こう。
ということで、調理研のメンバーで千駄木女学院を目指している。
千駄木女学院はブリンダが交換留学生という触れ込みで入っている学校だ。
竜神戦は、友里、ノンコ、清美の三人が、初めて素のまま参加したので時間がかかってしまい、北斗で出撃した時には、ほとんど収まりかけていた。
つまり、ブリンダが一人で戦ったので「あんたら、遅いいいいいいいいい!」と機嫌を損ねている。
そこで、サムの紹介と親睦とお詫びを兼ねて駅向こうの千駄木女学院を目指している。
「千駄木女学院の方が偉く見えてくる」
日暮里の駅を超えたところで、ノンコが言う。
「なんで?」
「だって、私学だし、制服可愛いし、坂の上にあるしい」
「あたしらだって偉いわよ」
「そうかなあ」
「だって、あんたたち三人で、あのデカブツの北斗動かしてるんだもん。おっきさとか威力とかで言ったら『サクラ大戦』の霊子甲冑よりすごいよ、その機関助手なんだからノンコは、もっと胸張っていいわよ」
「ヘヘ、そっかなあ(n*´ω`*n)」
ノンコは単純に喜んでいるが、秘密基地に来たことのないサムがノンコの配置まで知っているのは「!?」なんだけど、サムには邪気が無い。何百年も魔法少女をやっていると、なんとはなしに敵性オーラは感じるのだ。
「ほら、男子が見てるよ」
ここらへんでは珍しい詰襟学生服の男子がすれ違いざまにチラ見していく。
「ノンコ、ちょっと先に行ってごらん」
「え?」
「実感できるからさ」
素直なノンコは、テテテテと先に進んだ。
すると、前から三々五々やってくる詰襟学生服たちが、チラチラとノンコに視線を向けているのが分かる。
詰襟たちは、わたしらのことも見る。ノンコを見る目と同質なんだけど、最初に視線を感じるノンコは自分に送られているんだと思うだろう、友里と清美は『??』だけど、まあいい。女子高生の、ちょっとした遊びだ。
「でも、どこの男子校だろうね」
冷静な清美が呟く。
ポリ高のテリトリーは日暮里駅が境目なので、この辺に見慣れない詰襟が歩いていても、それほど不思議には思わないんだ。
でも、わたしもサムも分かっている。
詰襟たちは、わたしたちとすれ違ったあと、次々に姿を消していることに……。
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