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082『M資金・19 F1幻想・2』
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魔法少女マヂカ
082『M資金・19 F1幻想・2』語り手:ブリンダ
こんなことでレースを諦めるオレではない!
ブリンダ・マクギャバンは不滅なのだ!
放り出された空中でニャンパラリンと一回転! オレを放り出したマシンは、惰性でホームストレッチを直進している。
ドライバーを放り出したショックで、少し左に寄れているが、何とかなるだろう。
セイ!
空中で姿勢を整え、狙いを定めてマシンの予測進路上にダイブ!
ドサッ!
あやまたずコクピットに飛び込むと同時にハンドルを掴んで進路を安定させる! ゴールまで50メートルを切っている!
コノオオオオオオオオオ!
ダメ押しにアクセルを踏み込んでゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーールイン!!
惰性で第一コーナーまで走って気が付いた。
掟を破って優勝してしまった(;゜Д゜)!
オレの正体を知ってか、スタンドから歓声が上がることもなく、レースクイーンが駆け寄ってくることもない。
それどころか、コースもスタンドも急速に色あせて、セピア色になったかと思うと、バグを起こしたCGのようにテクスチャが剥がれていって、世界が真っ白になってしまった。
「ちょっと、重いんだけどお」
ふたたびマシンが口をきいたかと思うと、オレが跨っているのは『出』の形に伸びたマヂカのお尻だった。
「あ、すまん。マシンだと思って酷使してしまった……あ、どうしよう、尻が二つに割れかけているぞ!」
「バカ言ってないで、さっさとどいて!」
「アハハ、すまんすまん」
どいてやると、やっとのことで起き上がるマヂカだったが、立ち上がると『出』の字のままツッパラかって、なんともおかしい。
「マヂカ。そ、そのかっこう、アハ、アハハハハハハハ……!」
「笑うなあ!! ブリンダの妄想のせいだろーがあ!!」
「お詫びに揉みほぐしてやる、横になれ」
「お、おう」
『出』の字になった身体をもみほぐしてやり、なんとか『大』の字ほどに回復したところで、ミラーが舞い降りてきた。
「ブリンダ、飛ばし過ぎい……!」
「なんで後ろ向きなんだ?」
ミラーの中のアリスは爆発したような後姿の髪しか見えない。
「後ろ向きじゃないわよ……ヨッコラセっと!」
ミラーの中ででんぐり返ったのか、乱れた後ろ髪が顔を隠していたのだ。首を振って髪を戻すと、思いのほかの笑顔でまくしたてた。
「いやあ、すごいわよ。ブッチギリの一等賞! カオスの奴ら、どんな妄想で攻めてくるのかと思ったら、ブリンダの妄想力の方がガチ強くってさ! F1レースに持ち込んだと思ったら、あれよあれよって間だったもんね!」
「勝ったのか?」
「うん、ブッチギリ!」
「それは、認めよう。最終コーナーで我慢しきれなくなって放り出してやったけど、ゴール寸前で戻ってきて立て直すんだもんなあ。まだ、股関節が痛くてかなわないけどね」
「今ので、分かったと思うんだけど、カオスはこちらの妄想力を利用して勝負をかけてくるのよ。いつも、こんなにうまくいくわけじゃないから、気を付けてね」
ガタピシ ガタピシ ガタピシ
哀れな音が近づいてくるので首を向けると、白い闇の向こうからT型フォードの機動車が戻ってきた。なにやらルーフの上で点滅している。
100000000YEN
「一億円?」
「今のバトルで取り戻したM資金よ。どうやら、一回戦ごとに清算するシステムのようね」
「勝手にドアが開いたぞ」
「はやく次のバトルだかダンジョンに行けってことよね」
「やれやれ……」
やっと回復したマヂカを載せて、オレたちは次を目指すのだった。
082『M資金・19 F1幻想・2』語り手:ブリンダ
こんなことでレースを諦めるオレではない!
ブリンダ・マクギャバンは不滅なのだ!
放り出された空中でニャンパラリンと一回転! オレを放り出したマシンは、惰性でホームストレッチを直進している。
ドライバーを放り出したショックで、少し左に寄れているが、何とかなるだろう。
セイ!
空中で姿勢を整え、狙いを定めてマシンの予測進路上にダイブ!
ドサッ!
あやまたずコクピットに飛び込むと同時にハンドルを掴んで進路を安定させる! ゴールまで50メートルを切っている!
コノオオオオオオオオオ!
ダメ押しにアクセルを踏み込んでゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーールイン!!
惰性で第一コーナーまで走って気が付いた。
掟を破って優勝してしまった(;゜Д゜)!
オレの正体を知ってか、スタンドから歓声が上がることもなく、レースクイーンが駆け寄ってくることもない。
それどころか、コースもスタンドも急速に色あせて、セピア色になったかと思うと、バグを起こしたCGのようにテクスチャが剥がれていって、世界が真っ白になってしまった。
「ちょっと、重いんだけどお」
ふたたびマシンが口をきいたかと思うと、オレが跨っているのは『出』の形に伸びたマヂカのお尻だった。
「あ、すまん。マシンだと思って酷使してしまった……あ、どうしよう、尻が二つに割れかけているぞ!」
「バカ言ってないで、さっさとどいて!」
「アハハ、すまんすまん」
どいてやると、やっとのことで起き上がるマヂカだったが、立ち上がると『出』の字のままツッパラかって、なんともおかしい。
「マヂカ。そ、そのかっこう、アハ、アハハハハハハハ……!」
「笑うなあ!! ブリンダの妄想のせいだろーがあ!!」
「お詫びに揉みほぐしてやる、横になれ」
「お、おう」
『出』の字になった身体をもみほぐしてやり、なんとか『大』の字ほどに回復したところで、ミラーが舞い降りてきた。
「ブリンダ、飛ばし過ぎい……!」
「なんで後ろ向きなんだ?」
ミラーの中のアリスは爆発したような後姿の髪しか見えない。
「後ろ向きじゃないわよ……ヨッコラセっと!」
ミラーの中ででんぐり返ったのか、乱れた後ろ髪が顔を隠していたのだ。首を振って髪を戻すと、思いのほかの笑顔でまくしたてた。
「いやあ、すごいわよ。ブッチギリの一等賞! カオスの奴ら、どんな妄想で攻めてくるのかと思ったら、ブリンダの妄想力の方がガチ強くってさ! F1レースに持ち込んだと思ったら、あれよあれよって間だったもんね!」
「勝ったのか?」
「うん、ブッチギリ!」
「それは、認めよう。最終コーナーで我慢しきれなくなって放り出してやったけど、ゴール寸前で戻ってきて立て直すんだもんなあ。まだ、股関節が痛くてかなわないけどね」
「今ので、分かったと思うんだけど、カオスはこちらの妄想力を利用して勝負をかけてくるのよ。いつも、こんなにうまくいくわけじゃないから、気を付けてね」
ガタピシ ガタピシ ガタピシ
哀れな音が近づいてくるので首を向けると、白い闇の向こうからT型フォードの機動車が戻ってきた。なにやらルーフの上で点滅している。
100000000YEN
「一億円?」
「今のバトルで取り戻したM資金よ。どうやら、一回戦ごとに清算するシステムのようね」
「勝手にドアが開いたぞ」
「はやく次のバトルだかダンジョンに行けってことよね」
「やれやれ……」
やっと回復したマヂカを載せて、オレたちは次を目指すのだった。
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