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080『M資金・17 こ、これは……?』
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魔法少女マヂカ・080
『M資金・17 こ、これは……?』語り手:ブリンダ
ギュィーーーーン!!
口を開けたかと思うと、チェシャネコは猛烈な勢いで空気を吸い始め、オレたちの非力な機動車は吸い込まれ始めた!
ムギューーーー!
T型フォードはキャビンが密閉されていないので、シートに座っていても吸引力の影響を受ける。オレは握ったハンドルで突っ張っているので、かろうじて持ちこたえているが、マヂカはベッチョリとフロントガラスに張り付いてしまっている。
回り込んだ風圧は、マヂカの顔を押しつぶして、数倍の大きさに押し広げてしまっている。魔法少女というのは頑丈というか柔軟な体をしているので、不思議アリスのように、チョー高いところから落とされない限り潰れることは無いのだ。
「顔広がり過ぎだろ! フロントガラスの半分が貴様の顔で埋まって前が見えんぞ!」
「しょ、しょなころ……ゆっらっれええええええええ」
「あ、あああああ」
『あーーーーーー!』
「イッテーーーー!」
今度はルームミラーがルーフから外れて、オレのオデコに突き刺さってしまう! ルームミラーの中でアリスが絶叫するので、頑丈なオレも、ほとんど気絶寸前になる!
ギュィーーーーン!!
非力なT型フォードの機動車は、木の葉のように旋回しながらチェシャネコの口に吸い込まれていく。眼前にチェシャネコのノドチンコが迫ってくる! 慌ててハンドルを切るが……。
バチコーーーン!
ノドチンコに斜め上方向にはじかれた!
ウーーーーーーーーーーン
お互いの唸り声がうるさくて、ほぼ同時に目が覚めた。
こ、これは……?
平べったく伸びきったマヂカを貼りつかせたままフロントガラスは外れてしまい、視界の上半分をアリスが映ったままのルームミラーがオデコに突き刺さったままのオレ。機動車は、フロントガラスとハンドルとルームミラーを失って、斜め後ろに転がっている。
で……ハンドルが手から離れない!?
風圧に負けまいと、必死でハンドルを握っていたもので、握ったままの手がハンドルに圧着してしまったのだ!
『呑み込まれてしまったわね……ここがカオスの世界よ』
「おーい、マヂカああ?」
「フグググ……」
『顔が下敷きみたく伸びきっちゃって、喋れないみたいよ』
「それにしても、そのかっこうなあ……」
マヂカは、手足がツッパラかって、上から見ると漢字の『出』みたくなっている。なんだか自動車のフレームのようだ。
『あ、そういう想像はしない方が……』
アリスの忠告は遅かった。
マヂカの手足の先にはタイヤが出現し、肩甲骨のあたりにハンドルを突っ込むとちょうどいいくらいの穴が出現した。
「ノワッ!」
カチャ。
穴にハンドルが収まると、マヂカの体はアイドリングをかけたように振動し始めた。
「なんだか、スタート直前のF1レースみたい……」
『ダメエエエエエエエエ!』
アリスの叫びも空しく、周囲に同じような魔法少女F1カーが、エンジンをふかしながら十数台出現してしまった!
『M資金・17 こ、これは……?』語り手:ブリンダ
ギュィーーーーン!!
口を開けたかと思うと、チェシャネコは猛烈な勢いで空気を吸い始め、オレたちの非力な機動車は吸い込まれ始めた!
ムギューーーー!
T型フォードはキャビンが密閉されていないので、シートに座っていても吸引力の影響を受ける。オレは握ったハンドルで突っ張っているので、かろうじて持ちこたえているが、マヂカはベッチョリとフロントガラスに張り付いてしまっている。
回り込んだ風圧は、マヂカの顔を押しつぶして、数倍の大きさに押し広げてしまっている。魔法少女というのは頑丈というか柔軟な体をしているので、不思議アリスのように、チョー高いところから落とされない限り潰れることは無いのだ。
「顔広がり過ぎだろ! フロントガラスの半分が貴様の顔で埋まって前が見えんぞ!」
「しょ、しょなころ……ゆっらっれええええええええ」
「あ、あああああ」
『あーーーーーー!』
「イッテーーーー!」
今度はルームミラーがルーフから外れて、オレのオデコに突き刺さってしまう! ルームミラーの中でアリスが絶叫するので、頑丈なオレも、ほとんど気絶寸前になる!
ギュィーーーーン!!
非力なT型フォードの機動車は、木の葉のように旋回しながらチェシャネコの口に吸い込まれていく。眼前にチェシャネコのノドチンコが迫ってくる! 慌ててハンドルを切るが……。
バチコーーーン!
ノドチンコに斜め上方向にはじかれた!
ウーーーーーーーーーーン
お互いの唸り声がうるさくて、ほぼ同時に目が覚めた。
こ、これは……?
平べったく伸びきったマヂカを貼りつかせたままフロントガラスは外れてしまい、視界の上半分をアリスが映ったままのルームミラーがオデコに突き刺さったままのオレ。機動車は、フロントガラスとハンドルとルームミラーを失って、斜め後ろに転がっている。
で……ハンドルが手から離れない!?
風圧に負けまいと、必死でハンドルを握っていたもので、握ったままの手がハンドルに圧着してしまったのだ!
『呑み込まれてしまったわね……ここがカオスの世界よ』
「おーい、マヂカああ?」
「フグググ……」
『顔が下敷きみたく伸びきっちゃって、喋れないみたいよ』
「それにしても、そのかっこうなあ……」
マヂカは、手足がツッパラかって、上から見ると漢字の『出』みたくなっている。なんだか自動車のフレームのようだ。
『あ、そういう想像はしない方が……』
アリスの忠告は遅かった。
マヂカの手足の先にはタイヤが出現し、肩甲骨のあたりにハンドルを突っ込むとちょうどいいくらいの穴が出現した。
「ノワッ!」
カチャ。
穴にハンドルが収まると、マヂカの体はアイドリングをかけたように振動し始めた。
「なんだか、スタート直前のF1レースみたい……」
『ダメエエエエエエエエ!』
アリスの叫びも空しく、周囲に同じような魔法少女F1カーが、エンジンをふかしながら十数台出現してしまった!
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