魔法少女マヂカ

武者走走九郎or大橋むつお

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075『M資金・12 第七艦隊・1』

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魔法少女マヂカ

075『M資金・12 第七艦隊・1』語り手:マヂカ 

 

 
 敵も堪えてる。

 
 かつては応接室にでもあったのか、塗りの禿げたテーブルに湯呑を置きながら安倍先生は言った。

 自分も湯呑を持って、すぐ前のソファーに腰を下ろす。下ろした勢いで脚を組むんだけど、スカートの中が見えてしまう。

 女同士の気楽さ? 相談室という閉鎖性に気を抜いた? 緩んだ姿を見せて油断させてる? 単に鈍感? いや、なにか意味があるんだろうけど、取りあえず気づかないフリをする。

「バルチック魔法少女隊の稼働率は三割を切ってる。ツェザレウィッチを撃破されて、あんたらに対抗できる魔法少女は、今のところ居ないみたいよ。とりあえずは安心して」

 安倍先生は、ポリ高の常勤講師で、この五月からは、わたしたちの二年B組の担任を兼ね、調理研の顧問でもあって。それでいて、特務師団の教官であり高機動車北斗の指揮官であったりする。

 凄い人物に思えるのだが、ポリ高での仕事を含め、学校や特務師団に便利使いされているとも言える。

「あ、いま、憐れみの目で見ただろ」

「え、いえ、とんでもない。それより『敵も堪えている』という枕詞は、だから休養していいというフレーズに続くのではなく、この隙に、一層の奮励努力をしろという貧乏特務師団の命令に続くような気がするんですけど、これは、所期の目的を果たせなかった前線魔法少女のヒガミでしょうか?」

「単刀直入に言おう、ここしばらくは第七艦隊と連携してやってもらいたいんだ」

「第七艦隊?」

 リアルの第七艦隊は、先日オリヨールの奇襲を受けて、まだ回復していないはずだ。

「一度行ったことがあるでしょ、霊雁島に司令部がある。ブリンダには、この後に連絡するから、放課後司令部に顔を出して」

「しばらく、学校を休むことに?」

「いや、戦闘は亜空間が主になるから、今まで通りよ。防衛省の地下食堂にも通ってもらわないと、間宮さんも危機にさらすことになるからな。文化祭もあることだし、学校も忙しくなる。覚悟してほしい。回収したインゴットは特務師団で使えるように司令が交渉している。許可が下りれば、少しはマシなことができるだろう。質問は?」

「食堂のA定食が売り切れてないことを祈ります」

「あ、これを使って」

 テーブルの上にA定食のチケットが置かれた。

「ありがとうございます」

「それから……」

 先生は、何度目かの足の組み換えをやった。さすがに注意してやろうかと思ったら、瞬間、先生の股間にメッセージが浮かんだ。

――気を付けろ、第七艦隊司令部にはスパイがいる――

 
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