5 / 11
空見焔の再来、そして少年は啖呵を切る
しおりを挟む
露草を雇って、本当に良かった。
雇ってたったの一週間で、白月は何度そう思ったか分からない。あの利かん気な虹音が、露草に優しく語りかけられるだけでひどく大人しくなり、相変わらず賑やかに笑い騒ぎはするが、城のものを壊すことはなくなった。露草は虹音に行儀作法も教えているようで、虹音が大人ぶって、優雅な足取りで歩くのは、微笑ましいとさえ思えた。ちょっと前まで小型の怪物にしか見えなかった娘を、そう思えることが驚きだ。
紫蛇も、白月に謝り続ける必要がなくなり、ずっと顔色が良くなった。それも白月には嬉しい。
露草に精霊の加護があるというのは本当のようで、なにか人の影のようなものが城中を動き回り、隅々まで掃除をして、城はすっかり綺麗になった。当然、蜘蛛の巣などどこにもない。窓枠を指で拭ってみたが、埃一つつかなかった。
そんな露草への褒美に、宝飾品などを与えようとしてみたが、露草は首を横に振る。
「……ただ、龍の宴にお連れくだされば、私はそれだけで。ですがどうか、それだけは叶えていただきたい」
白月は頷いた。露草のしてくれたことを考えれば、自分が今までの無断欠席を責められるくらいどうということもないと思えた。
「分かった、約束する。龍の約束は絶対だ」
白月がそう言った時だった。
「頼もぉう!! 『砂漠の魔龍』よ、この前はしてやられたが、今日こそ貴様を倒してやるぞ!!」
聞き慣れた声が、城の庭からした。窓の外を見ると、果たして空見焔がそこにいた。白月は呆れてしまう。本当にしつこいやつだ。そして、ふと思いついた。
「虹音、虹音。あのお兄さんに遊んでもらいなさい。大丈夫、あいつは頑丈だから、ちょっとやそっとじゃ壊れない」
虹音はパッと顔を輝かせて庭に飛び出していった。庭からは悲鳴のような声が聞こえてきた。
「な、なんだおまえは……『砂漠の魔龍』にさらわれた子どもか何か……ぎゃああ、何をする! やめろっ、こらっ、やめろと言っているだろう!! こらっ、『魔龍』! 白月、出てきてこの子どもを止めろぉおおおっ!!」
外を見ずとも、何が起きているのかは明白だ。白月は腹を押さえて笑い転げ、こんなに笑ったのは何年ぶりだろう、とそう思った。
やがて、虹音が飽きて帰ってきたが、外の声は止まない。
「貴様、白月、さては攫った子どもを使い魔にしたのだな!? 出てきて戦え、この恥知らずの卑怯者めが!!」
笑い疲れたところでもあるし、そろそろまた吹き飛ばしてやろうかと、白月が立ち上がろうとした時だった。何やら難しい顔をしていた紫蛇が、白月より先に立ち上がり、外に飛び出していった。
「紫蛇!?」
白月が慌てて紫蛇を追いかけると、紫蛇は、自分よりずっと上背のある焔の巨体と対峙して、震えながらも胸を張り、焔を睨んでいた。
「訂正してください。白月さんは、恥知らずでも卑怯者でもありませんし、俺たち兄妹は攫われたんじゃありません。助けてもらったんです!」
焔は、嵐のような少女が去ったかと思うと、今度は突然現れた美少年に楯突かれて、目を丸くしてうろたえていた。だが、先程の虹音と違って、礼儀正しい紫蛇の方は、明らかに人間だと判断したのだろう。
「なぁ、お前たちはきっと騙されているんだ。あの女は、男を誘惑して殺した、恐ろしい殺人者なんだぞ」
「白月さんがそんなことをするはずがありません。誇り高い方だと、ちょっと過ごしただけの俺にすら分かります! あなたには、それがわからないんですか!」
初めて見る紫蛇の怒りには妙な迫力と、威厳のようなものがあって、それが自分に向けられたものでなくても、白月は思わず立ちすくむ。まして、それを真っ向から向けられた焔の動揺は激しかった。
「俺は……白月が、流星殿を誘惑して殺したと、母上が、そう……いや、だが、あの白月が……そうは思えなかったからこそ、騙されていたのだと悔しくて……」
焔は独り言を呟きながら、呆然と立ち尽くしている。いよいよ頭がおかしくなったかと心配になり、白月は声をかける。
「焔?」
白月の声に、焔はハッと我に返った。
「──っ、また、来る!」
そう言って白月に背を向け、立ち去ろうとしたが、この城壁に門扉がないことを忘れていたようだ。いつも吹き飛ばされて帰っているから、帰り方を知らないらしい。困ったように白月を振り返る。
白月もまた、どうやって帰してやればいいか分からない。
──ので、いつもどおり、龍の姿に変じ、焔を一息で吹き飛ばしてやることにした。
「白月ぃいいい!! また来るからなぁああああ!!!」
焔はそう捨て台詞を残して、虹蛇王国まで飛ばされて行った。
虹音が庭に飛び出してきて、目をキラキラさせて白月を見上げた。
「私もあれやりたい」
と言う。さすがにそれはできかねるが、虹音と紫蛇、それに露草を乗せて飛んでやることにした。露草は固辞しようとしたが、露草がいなければ、虹音に鱗をひたすら毟られかねない。頼み込んで乗ってもらった。
魔法をかけて、背の上の三人に当たる風が和らぎ、三人が落ちないようにした。そうして、ゆっくりと空を飛ぶ。
頬を撫でる風、眼下に見下ろす景色に、虹音だけでなく、紫蛇も子どもらしく顔を明るくしてはしゃいでいる。露草は相変わらず深く布を被っているので、表情は見えなかったが、彼女はポツリと言った。
「先程の騎士様」
「焔?」
「はい。あの方は、白月様がお好きなのですね」
思いがけないことを言われて、白月は危うく、背の上の三人を振り落とすところだった。
「な、な、な、なんで」
「白月様がお好きだから、他の男を誘惑したと聞いて激昂した──と、そのように受け取れました」
「馬鹿馬鹿しい。だいたい、あの焔の家族には、さんざん虐められて──」
だが、焔がそれに気づいた様子はなかった。使用人と一緒に働かされる白月を見て、『おまえは貴族の娘なのに、偉ぶらずよく気働きするな!』などと呑気なことを言っていた。
そんなことを思い出して、白月は何をどう考えていいやらわからなくなり、結局思考を放棄した。
その日の夜のことだった。
何やら気が高ぶって寝付けずにいた白月は、結局寝るのを諦め、庭を散策することにした。
虹音の悪戯に荒れ果てた庭は、露草の手によって少しは見目が整えられている。降りかかりそうなほどの満天の星が空を埋め尽くしているのを見上げながら、白月はぶらぶらと歩いた。
と、同じように空を見上げる少年がいるのに気づいた。紫蛇だ。
「紫蛇」
気づかぬふりをした方が良かったのかと思ったのは、声をかけた後だった。振り返った少年は、やけに真剣な顔をしていた。
「白月さん。──昼間は、出過ぎたことをしました」
「いや」
白月は頭を振る。あんなふうに庇われるとは思っていなかったが、悪い気分ではなかった。紫蛇の隣に並び、ともに星空を眺める。
しばし沈黙があった。やがて紫蛇が言う。
「妹は、龍に成ったら、空に飛んでいくのでしょうか」
「さて。──人間に混じって生活することを選ぶ龍もいるが、人間は龍を怖がる。その場合は、種々の契約を迫られるだろうな」
かつて身の内にあった軛を思い出し、白月は眉を顰めた。あれは白月にとっては枷だった。己を縛る鎖であった。だが、その鎖を心地よく受け入れ、人間社会に溶け込む者とて、おそらくはいるのだろう。
虹音ははて、どちらか。──あの娘のことはさっぱり分からん。
「虹音が行ってしまったら、俺はどうすれば良いのかと思って。母が亡くなってから、妹の面倒を見ることしか、今まで考えてこなかったから」
自由にすればいいさ、と言おうとして、白月はやめる。妹を背負って嵐の砂漠を越え、必死の形相で白月に助けを求めた少年。
守るものもなく生きてきた白月と彼は、きっと違う。だから代わりに言った。
「君なら、なんでもできるさ。やりたいことを探せばいい。──そして、疲れたときや、助けが必要な時は、またここにおいで」
その言葉は、すんなりと身体の奥深くから出てきたようだった。決して上っ面の親切ではなかった。妹を守るために必死で生きてきた少年。そして、今日白月を庇ってくれた少年。この少年のためなら、そうしてやりたいと思ったのだ。
ともに生きることは、おそらくできない。白月はやはり、独りで空を飛ぶのが一番好きだ。だが、時折なら、誰かと関わることも悪くはない。
「白月さん──ありがとう」
紫蛇はそう言った。
雇ってたったの一週間で、白月は何度そう思ったか分からない。あの利かん気な虹音が、露草に優しく語りかけられるだけでひどく大人しくなり、相変わらず賑やかに笑い騒ぎはするが、城のものを壊すことはなくなった。露草は虹音に行儀作法も教えているようで、虹音が大人ぶって、優雅な足取りで歩くのは、微笑ましいとさえ思えた。ちょっと前まで小型の怪物にしか見えなかった娘を、そう思えることが驚きだ。
紫蛇も、白月に謝り続ける必要がなくなり、ずっと顔色が良くなった。それも白月には嬉しい。
露草に精霊の加護があるというのは本当のようで、なにか人の影のようなものが城中を動き回り、隅々まで掃除をして、城はすっかり綺麗になった。当然、蜘蛛の巣などどこにもない。窓枠を指で拭ってみたが、埃一つつかなかった。
そんな露草への褒美に、宝飾品などを与えようとしてみたが、露草は首を横に振る。
「……ただ、龍の宴にお連れくだされば、私はそれだけで。ですがどうか、それだけは叶えていただきたい」
白月は頷いた。露草のしてくれたことを考えれば、自分が今までの無断欠席を責められるくらいどうということもないと思えた。
「分かった、約束する。龍の約束は絶対だ」
白月がそう言った時だった。
「頼もぉう!! 『砂漠の魔龍』よ、この前はしてやられたが、今日こそ貴様を倒してやるぞ!!」
聞き慣れた声が、城の庭からした。窓の外を見ると、果たして空見焔がそこにいた。白月は呆れてしまう。本当にしつこいやつだ。そして、ふと思いついた。
「虹音、虹音。あのお兄さんに遊んでもらいなさい。大丈夫、あいつは頑丈だから、ちょっとやそっとじゃ壊れない」
虹音はパッと顔を輝かせて庭に飛び出していった。庭からは悲鳴のような声が聞こえてきた。
「な、なんだおまえは……『砂漠の魔龍』にさらわれた子どもか何か……ぎゃああ、何をする! やめろっ、こらっ、やめろと言っているだろう!! こらっ、『魔龍』! 白月、出てきてこの子どもを止めろぉおおおっ!!」
外を見ずとも、何が起きているのかは明白だ。白月は腹を押さえて笑い転げ、こんなに笑ったのは何年ぶりだろう、とそう思った。
やがて、虹音が飽きて帰ってきたが、外の声は止まない。
「貴様、白月、さては攫った子どもを使い魔にしたのだな!? 出てきて戦え、この恥知らずの卑怯者めが!!」
笑い疲れたところでもあるし、そろそろまた吹き飛ばしてやろうかと、白月が立ち上がろうとした時だった。何やら難しい顔をしていた紫蛇が、白月より先に立ち上がり、外に飛び出していった。
「紫蛇!?」
白月が慌てて紫蛇を追いかけると、紫蛇は、自分よりずっと上背のある焔の巨体と対峙して、震えながらも胸を張り、焔を睨んでいた。
「訂正してください。白月さんは、恥知らずでも卑怯者でもありませんし、俺たち兄妹は攫われたんじゃありません。助けてもらったんです!」
焔は、嵐のような少女が去ったかと思うと、今度は突然現れた美少年に楯突かれて、目を丸くしてうろたえていた。だが、先程の虹音と違って、礼儀正しい紫蛇の方は、明らかに人間だと判断したのだろう。
「なぁ、お前たちはきっと騙されているんだ。あの女は、男を誘惑して殺した、恐ろしい殺人者なんだぞ」
「白月さんがそんなことをするはずがありません。誇り高い方だと、ちょっと過ごしただけの俺にすら分かります! あなたには、それがわからないんですか!」
初めて見る紫蛇の怒りには妙な迫力と、威厳のようなものがあって、それが自分に向けられたものでなくても、白月は思わず立ちすくむ。まして、それを真っ向から向けられた焔の動揺は激しかった。
「俺は……白月が、流星殿を誘惑して殺したと、母上が、そう……いや、だが、あの白月が……そうは思えなかったからこそ、騙されていたのだと悔しくて……」
焔は独り言を呟きながら、呆然と立ち尽くしている。いよいよ頭がおかしくなったかと心配になり、白月は声をかける。
「焔?」
白月の声に、焔はハッと我に返った。
「──っ、また、来る!」
そう言って白月に背を向け、立ち去ろうとしたが、この城壁に門扉がないことを忘れていたようだ。いつも吹き飛ばされて帰っているから、帰り方を知らないらしい。困ったように白月を振り返る。
白月もまた、どうやって帰してやればいいか分からない。
──ので、いつもどおり、龍の姿に変じ、焔を一息で吹き飛ばしてやることにした。
「白月ぃいいい!! また来るからなぁああああ!!!」
焔はそう捨て台詞を残して、虹蛇王国まで飛ばされて行った。
虹音が庭に飛び出してきて、目をキラキラさせて白月を見上げた。
「私もあれやりたい」
と言う。さすがにそれはできかねるが、虹音と紫蛇、それに露草を乗せて飛んでやることにした。露草は固辞しようとしたが、露草がいなければ、虹音に鱗をひたすら毟られかねない。頼み込んで乗ってもらった。
魔法をかけて、背の上の三人に当たる風が和らぎ、三人が落ちないようにした。そうして、ゆっくりと空を飛ぶ。
頬を撫でる風、眼下に見下ろす景色に、虹音だけでなく、紫蛇も子どもらしく顔を明るくしてはしゃいでいる。露草は相変わらず深く布を被っているので、表情は見えなかったが、彼女はポツリと言った。
「先程の騎士様」
「焔?」
「はい。あの方は、白月様がお好きなのですね」
思いがけないことを言われて、白月は危うく、背の上の三人を振り落とすところだった。
「な、な、な、なんで」
「白月様がお好きだから、他の男を誘惑したと聞いて激昂した──と、そのように受け取れました」
「馬鹿馬鹿しい。だいたい、あの焔の家族には、さんざん虐められて──」
だが、焔がそれに気づいた様子はなかった。使用人と一緒に働かされる白月を見て、『おまえは貴族の娘なのに、偉ぶらずよく気働きするな!』などと呑気なことを言っていた。
そんなことを思い出して、白月は何をどう考えていいやらわからなくなり、結局思考を放棄した。
その日の夜のことだった。
何やら気が高ぶって寝付けずにいた白月は、結局寝るのを諦め、庭を散策することにした。
虹音の悪戯に荒れ果てた庭は、露草の手によって少しは見目が整えられている。降りかかりそうなほどの満天の星が空を埋め尽くしているのを見上げながら、白月はぶらぶらと歩いた。
と、同じように空を見上げる少年がいるのに気づいた。紫蛇だ。
「紫蛇」
気づかぬふりをした方が良かったのかと思ったのは、声をかけた後だった。振り返った少年は、やけに真剣な顔をしていた。
「白月さん。──昼間は、出過ぎたことをしました」
「いや」
白月は頭を振る。あんなふうに庇われるとは思っていなかったが、悪い気分ではなかった。紫蛇の隣に並び、ともに星空を眺める。
しばし沈黙があった。やがて紫蛇が言う。
「妹は、龍に成ったら、空に飛んでいくのでしょうか」
「さて。──人間に混じって生活することを選ぶ龍もいるが、人間は龍を怖がる。その場合は、種々の契約を迫られるだろうな」
かつて身の内にあった軛を思い出し、白月は眉を顰めた。あれは白月にとっては枷だった。己を縛る鎖であった。だが、その鎖を心地よく受け入れ、人間社会に溶け込む者とて、おそらくはいるのだろう。
虹音ははて、どちらか。──あの娘のことはさっぱり分からん。
「虹音が行ってしまったら、俺はどうすれば良いのかと思って。母が亡くなってから、妹の面倒を見ることしか、今まで考えてこなかったから」
自由にすればいいさ、と言おうとして、白月はやめる。妹を背負って嵐の砂漠を越え、必死の形相で白月に助けを求めた少年。
守るものもなく生きてきた白月と彼は、きっと違う。だから代わりに言った。
「君なら、なんでもできるさ。やりたいことを探せばいい。──そして、疲れたときや、助けが必要な時は、またここにおいで」
その言葉は、すんなりと身体の奥深くから出てきたようだった。決して上っ面の親切ではなかった。妹を守るために必死で生きてきた少年。そして、今日白月を庇ってくれた少年。この少年のためなら、そうしてやりたいと思ったのだ。
ともに生きることは、おそらくできない。白月はやはり、独りで空を飛ぶのが一番好きだ。だが、時折なら、誰かと関わることも悪くはない。
「白月さん──ありがとう」
紫蛇はそう言った。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる