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小さな嵐と救いの露草
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その日、心地よい午睡のまどろみに身を任せていた白月は、凄まじい轟音により眠りから引き戻された。
「なっ、何!?」
よもや、また虹蛇王国の軍勢がやって来たのかと思った。が、外を見れば、庭の池が竜巻状に吹き上げられており、そのてっぺんでは虹音が笑っていた。
「きゃっはっはは!!」
心から愉しげなその笑い声にぞっとする。
「虹音! 危ない! やめなさい!!」
白月は魔力を使って水流を鎮めようとする。が、虹音は不満げな顔になって、抵抗した。
「好きに過ごしていいって、言ったじゃない!」
その言葉に白月は少しひるんだが、ここは大人の狡さを発揮することとし、
「おとなしくしていれば、という意味だ!」
と怒鳴り返した。白月の方が虹音より魔力が強い。水流が収まり、ようやく一息つける、と思ったのも束の間。虹音は今度は城の中に駆け出していく。ガシャアアン、ドシャアアアン、とひどい音が連続して聞こえてくる。果たして何が起きたのか、確認したくもない。白月は頭を抱えた。
「虹音、やめなさい!」
紫蛇の必死な声も聞こえてくるが、虹音を止めるには至っていない。
ガオオオ、と獣の咆哮が聞こえてくるに至って、白月はようやく、虹音を止めるべく部屋を出た。
虹音がまたがっているのは、玄関広間に鎮座していたはずの狼の石像だ。それが今は、ふさふさした毛皮に、揺れるしっぽを持ち、虹音を乗せて城の中を疾走しているのだった。
「虹音!」
白月が呼ばわると、狼は足を止めた。白月は狼を睨む。
「元の場所に戻りなさい!」
狼は、しぶしぶ、といった体で、玄関広間の方へ走り去っていく。おそらく、台座の上に戻り、元通りの石像となるだろう。
白月は腕組みをし、目を眇めて虹音を見下ろした。あの狼が動くなんて今まで想像もしていなかったが、それを虹音に悟られてはいけない。しごく当然のことが起きた、といわんばかりの顔を作った。
「虹音。これ以上悪戯をして、城のものを壊すなら、ここには置いておけません!」
虹音はぷっくりと頬を膨らませた。
「遊んでただけなのに」
そこでようやく、虹音を追ってきた紫蛇がたどり着いた。ハァハァと息を切らせている。
「……虹音……やめなさい……おとなしくするんだ……」
「にいちゃん」
虹音は紫蛇に飛びついて抱き上げられると、ようやく大人しくなった。
紫蛇によると、虹音は元々利かん気な悪戯っ子で、母を亡くして孤児となってからも、引き取ってくれた村長を困らせ続け、紫蛇はほうぼうに謝り続ける毎日だったそうだ。龍への变化が始まり、身体が動かなくなってからは勿論おとなしかったが、こうして白月の魔力を得て復活した今、目覚めかけた龍の力まで得て、ますますきかん坊になったようだという。
「申し訳ありません。本当に、申し訳ありません」
と紫蛇は何度も頭を下げるが、白月は頭を振る。
「いや。君のせいじゃないし」
そう言いつつも、白月の午後は虹音との追いかけっこに費やされ、ぐったりと椅子にもたれかかった身体からは、もう気力の一つも湧いてこない。
──これが、一ヶ月毎日続くのか。
そう思うと、気が遠くなりそうだった。
四日後。楠率いる隊商の一行は、白月の城にたどり着いた。城壁の周囲には何人もの人がいて、城壁に触れては消えていく。
「あんたら、商人かい。故郷に帰るのに、この城壁は便利だもんな」
そう言って、先にいた者達が場所を開けてくれる。だが、先頭に立った楠が白月の鱗を掲げると、城壁には、まるで空間が歪んだように、ぐるりと穴が空き、それはやがて人一人の幅がある入り口になった。
おお、と周囲から歓声が上がる中、楠達の一行は一列になって、城の中に入っていった。
──そして、その惨状に、さすがの楠も眉を上げた。
ここ数日雨も降っていないのに、びしょびしょに濡れて泥だらけの庭。池の周囲に植わった木は折れて、窓に嵌められた玻璃もいくつか割れている。
そして、キャイキャイと騒ぐ子どもの声がして、その声が近づいてくるとともに、城の扉が開き、すっかり疲れた顔の少女が現れた。
「ああ、おまえか。よく来たな。──私の城も、普段はもう少し格式高いのだが」
その声音。真珠色の肌と翠の瞳。どうやらこの少女が先日の龍らしいと判断し、隊商の一行はそれぞれに顔を見合わせた。
城の中もひどいものだった。広間の中央を走り回る姿で固まった獣の石像。割れた花瓶。罅の入った壁。
厳重に施錠してあるという客間だけは、重厚な家具が無事な姿で残り──ただし、ずいぶん埃が積もっていた。白月は魔法で風を起こし、椅子の上の埃を吹き飛ばすと、商人達に椅子を勧め、自分もぐったりと長椅子にもたれかかった。腕の中で暴れる少女の身体は離さない。まるで、離すと何をするかわからないと恐れているようだった。
「紫蛇、紫蛇! 片付けは後にして、来てくれ!」
白月がそう呼ばわると、紫の瞳をした美しい少年が現れ、少女の身体を受け取った。少女は少年の腕に抱かれると、比較的大人しくなった。
「──故あって一ヶ月だけ預かっているのだが、とにかくこの虹音の悪戯には困っているのだ。紫蛇の言うことしか聞かんし、遊びに夢中になると紫蛇の言うことも大体は聞かん。果たして私が一ヶ月保つかどうか、もう自信がない……」
四日前に会ったばかりの商人に愚痴を言ってしまうのは、ひたすら暴れる虹音と、ひたすら謝る紫蛇にだけ囲まれ、愚痴を言える相手が今までいなかったからだろう。
「なぁ、この娘を、一ヶ月眠らせておく薬とか持ち合わせがないか?」
と聞いたのは、何も期待したからではなかった。平たく言ってやけっぱちだったのだ。
が、楠は冷静に答えた。
「そのような薬はありませぬ。──が、もっと良いものがございます」
その言葉に、白月はわずかに気力を取り戻し、前のめりになった。
「なんだ。言ってみよ」
楠は頷くと、隊商の一人に合図した。
「露草を、ここに」
「はっ」
髭を生やした隊商の男が、一人の女の手を引いて、白月の前に連れてくる。女は頭から深く布をかずいていて、その顔は見えないが、垣間見える白い肌とふっくりとした桃色の唇は、女が美しいことを予感させた。
「この露草は、人攫いに捕まっていたところを、縁あって私達の隊商が助けた女です。精霊の加護を持ち、不思議な力を持っております。さぞ、良い子守になるでしょう」
白月はがっかりした。
「なんだ、人か。使用人はいらぬ。待遇に不満を言っては仕事をせず、面倒ばかり起こす」
白月が独りになった後の龍宮家の使用人たちがそうだった。まだ子どもの白月は彼らに侮られ、屋敷にあった財産もいくつも持ち逃げされたものだ。
「露草の人格は、この私が保証いたしましょう。あなたが鱗を預けてくださった私の言ではご不満か」
そこまで言われれば無碍にもできず、白月は眉根を寄せる。
「とはいえ、子守が必要なのは一ヶ月だけだ。その後の彼女の身の振り方をどうする」
問えば、楠は頷く。
「この露草は、行方の知れぬ夫を探しているのです。ですが、夫が目指す先は分かっております。一ヶ月後の龍の宴です。おそらく、白月様も一ヶ月後には龍の宴に出席されるはず」
──忘れていた、とは言い難く、白月は神妙な顔で頷いてみせる。
龍の宴。それは、月に一度、満月の夜に、龍たちが集まり宴を開き、龍達の社会にまつわる様々な問題について話し合う夜だ。龍宮家にも言い伝えられている。──が、昔話の一つとして頭の片隅に片付けられて忘れ去っていた。先月までは参加もしてない。どうしよう、今更出席したら、今までの欠席について何か言われるだろうか。
そんな白月の心中に構わず、楠は言葉を続けた。
「龍の宴の場所まで、どうか露草をお連れください。その後は、露草が自分でどうとでもします」
淡々とした樟の言葉に、白月はしばし沈思する。
楠が露草を拾ったのは、昨日今日というわけではあるまい。四日前、白月が楠と初めて会った時には、楠の頭にはすでにその算段があり、ただ、持ちかけるのは早計にすぎると判断して、今日の来訪となったのだろう。
その時ちょうど、虹音がむずがり始めた。眠くなったのだろう。紫蛇の腕の中で暴れ、
「抱っこはいや、まだ遊ぶ!」
と喚き始めた。普段なら、これから一暴れが始まるところだ。ちょうどいい、と白月は思う。
「露草とやら。子守としてのおまえの腕を見せてくれ」
そう伝えれば、露草は深く頭を下げ、
「はい」
と鈴の鳴るような声で答えた。露草は紫蛇の腕から虹音を受け取ると、暴れるその身体を優しく揺すり、歌を歌い始めた。白月までまどろんでしまいそうな、優しく染み入る歌だった。虹音は見る見る間におとなしくなり、露草の腕の中で眠ってしまった。
白月は目を丸くして、その様子を見つめた。すでに心は決まっていた。
「採用だ。露草を雇おう。露草の賃金と、おまえへの代金はいくらになる」
楠は頷いて、代金の交渉に入った。白月はもちろん言い値を払った。
「なっ、何!?」
よもや、また虹蛇王国の軍勢がやって来たのかと思った。が、外を見れば、庭の池が竜巻状に吹き上げられており、そのてっぺんでは虹音が笑っていた。
「きゃっはっはは!!」
心から愉しげなその笑い声にぞっとする。
「虹音! 危ない! やめなさい!!」
白月は魔力を使って水流を鎮めようとする。が、虹音は不満げな顔になって、抵抗した。
「好きに過ごしていいって、言ったじゃない!」
その言葉に白月は少しひるんだが、ここは大人の狡さを発揮することとし、
「おとなしくしていれば、という意味だ!」
と怒鳴り返した。白月の方が虹音より魔力が強い。水流が収まり、ようやく一息つける、と思ったのも束の間。虹音は今度は城の中に駆け出していく。ガシャアアン、ドシャアアアン、とひどい音が連続して聞こえてくる。果たして何が起きたのか、確認したくもない。白月は頭を抱えた。
「虹音、やめなさい!」
紫蛇の必死な声も聞こえてくるが、虹音を止めるには至っていない。
ガオオオ、と獣の咆哮が聞こえてくるに至って、白月はようやく、虹音を止めるべく部屋を出た。
虹音がまたがっているのは、玄関広間に鎮座していたはずの狼の石像だ。それが今は、ふさふさした毛皮に、揺れるしっぽを持ち、虹音を乗せて城の中を疾走しているのだった。
「虹音!」
白月が呼ばわると、狼は足を止めた。白月は狼を睨む。
「元の場所に戻りなさい!」
狼は、しぶしぶ、といった体で、玄関広間の方へ走り去っていく。おそらく、台座の上に戻り、元通りの石像となるだろう。
白月は腕組みをし、目を眇めて虹音を見下ろした。あの狼が動くなんて今まで想像もしていなかったが、それを虹音に悟られてはいけない。しごく当然のことが起きた、といわんばかりの顔を作った。
「虹音。これ以上悪戯をして、城のものを壊すなら、ここには置いておけません!」
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「遊んでただけなのに」
そこでようやく、虹音を追ってきた紫蛇がたどり着いた。ハァハァと息を切らせている。
「……虹音……やめなさい……おとなしくするんだ……」
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紫蛇によると、虹音は元々利かん気な悪戯っ子で、母を亡くして孤児となってからも、引き取ってくれた村長を困らせ続け、紫蛇はほうぼうに謝り続ける毎日だったそうだ。龍への变化が始まり、身体が動かなくなってからは勿論おとなしかったが、こうして白月の魔力を得て復活した今、目覚めかけた龍の力まで得て、ますますきかん坊になったようだという。
「申し訳ありません。本当に、申し訳ありません」
と紫蛇は何度も頭を下げるが、白月は頭を振る。
「いや。君のせいじゃないし」
そう言いつつも、白月の午後は虹音との追いかけっこに費やされ、ぐったりと椅子にもたれかかった身体からは、もう気力の一つも湧いてこない。
──これが、一ヶ月毎日続くのか。
そう思うと、気が遠くなりそうだった。
四日後。楠率いる隊商の一行は、白月の城にたどり着いた。城壁の周囲には何人もの人がいて、城壁に触れては消えていく。
「あんたら、商人かい。故郷に帰るのに、この城壁は便利だもんな」
そう言って、先にいた者達が場所を開けてくれる。だが、先頭に立った楠が白月の鱗を掲げると、城壁には、まるで空間が歪んだように、ぐるりと穴が空き、それはやがて人一人の幅がある入り口になった。
おお、と周囲から歓声が上がる中、楠達の一行は一列になって、城の中に入っていった。
──そして、その惨状に、さすがの楠も眉を上げた。
ここ数日雨も降っていないのに、びしょびしょに濡れて泥だらけの庭。池の周囲に植わった木は折れて、窓に嵌められた玻璃もいくつか割れている。
そして、キャイキャイと騒ぐ子どもの声がして、その声が近づいてくるとともに、城の扉が開き、すっかり疲れた顔の少女が現れた。
「ああ、おまえか。よく来たな。──私の城も、普段はもう少し格式高いのだが」
その声音。真珠色の肌と翠の瞳。どうやらこの少女が先日の龍らしいと判断し、隊商の一行はそれぞれに顔を見合わせた。
城の中もひどいものだった。広間の中央を走り回る姿で固まった獣の石像。割れた花瓶。罅の入った壁。
厳重に施錠してあるという客間だけは、重厚な家具が無事な姿で残り──ただし、ずいぶん埃が積もっていた。白月は魔法で風を起こし、椅子の上の埃を吹き飛ばすと、商人達に椅子を勧め、自分もぐったりと長椅子にもたれかかった。腕の中で暴れる少女の身体は離さない。まるで、離すと何をするかわからないと恐れているようだった。
「紫蛇、紫蛇! 片付けは後にして、来てくれ!」
白月がそう呼ばわると、紫の瞳をした美しい少年が現れ、少女の身体を受け取った。少女は少年の腕に抱かれると、比較的大人しくなった。
「──故あって一ヶ月だけ預かっているのだが、とにかくこの虹音の悪戯には困っているのだ。紫蛇の言うことしか聞かんし、遊びに夢中になると紫蛇の言うことも大体は聞かん。果たして私が一ヶ月保つかどうか、もう自信がない……」
四日前に会ったばかりの商人に愚痴を言ってしまうのは、ひたすら暴れる虹音と、ひたすら謝る紫蛇にだけ囲まれ、愚痴を言える相手が今までいなかったからだろう。
「なぁ、この娘を、一ヶ月眠らせておく薬とか持ち合わせがないか?」
と聞いたのは、何も期待したからではなかった。平たく言ってやけっぱちだったのだ。
が、楠は冷静に答えた。
「そのような薬はありませぬ。──が、もっと良いものがございます」
その言葉に、白月はわずかに気力を取り戻し、前のめりになった。
「なんだ。言ってみよ」
楠は頷くと、隊商の一人に合図した。
「露草を、ここに」
「はっ」
髭を生やした隊商の男が、一人の女の手を引いて、白月の前に連れてくる。女は頭から深く布をかずいていて、その顔は見えないが、垣間見える白い肌とふっくりとした桃色の唇は、女が美しいことを予感させた。
「この露草は、人攫いに捕まっていたところを、縁あって私達の隊商が助けた女です。精霊の加護を持ち、不思議な力を持っております。さぞ、良い子守になるでしょう」
白月はがっかりした。
「なんだ、人か。使用人はいらぬ。待遇に不満を言っては仕事をせず、面倒ばかり起こす」
白月が独りになった後の龍宮家の使用人たちがそうだった。まだ子どもの白月は彼らに侮られ、屋敷にあった財産もいくつも持ち逃げされたものだ。
「露草の人格は、この私が保証いたしましょう。あなたが鱗を預けてくださった私の言ではご不満か」
そこまで言われれば無碍にもできず、白月は眉根を寄せる。
「とはいえ、子守が必要なのは一ヶ月だけだ。その後の彼女の身の振り方をどうする」
問えば、楠は頷く。
「この露草は、行方の知れぬ夫を探しているのです。ですが、夫が目指す先は分かっております。一ヶ月後の龍の宴です。おそらく、白月様も一ヶ月後には龍の宴に出席されるはず」
──忘れていた、とは言い難く、白月は神妙な顔で頷いてみせる。
龍の宴。それは、月に一度、満月の夜に、龍たちが集まり宴を開き、龍達の社会にまつわる様々な問題について話し合う夜だ。龍宮家にも言い伝えられている。──が、昔話の一つとして頭の片隅に片付けられて忘れ去っていた。先月までは参加もしてない。どうしよう、今更出席したら、今までの欠席について何か言われるだろうか。
そんな白月の心中に構わず、楠は言葉を続けた。
「龍の宴の場所まで、どうか露草をお連れください。その後は、露草が自分でどうとでもします」
淡々とした樟の言葉に、白月はしばし沈思する。
楠が露草を拾ったのは、昨日今日というわけではあるまい。四日前、白月が楠と初めて会った時には、楠の頭にはすでにその算段があり、ただ、持ちかけるのは早計にすぎると判断して、今日の来訪となったのだろう。
その時ちょうど、虹音がむずがり始めた。眠くなったのだろう。紫蛇の腕の中で暴れ、
「抱っこはいや、まだ遊ぶ!」
と喚き始めた。普段なら、これから一暴れが始まるところだ。ちょうどいい、と白月は思う。
「露草とやら。子守としてのおまえの腕を見せてくれ」
そう伝えれば、露草は深く頭を下げ、
「はい」
と鈴の鳴るような声で答えた。露草は紫蛇の腕から虹音を受け取ると、暴れるその身体を優しく揺すり、歌を歌い始めた。白月までまどろんでしまいそうな、優しく染み入る歌だった。虹音は見る見る間におとなしくなり、露草の腕の中で眠ってしまった。
白月は目を丸くして、その様子を見つめた。すでに心は決まっていた。
「採用だ。露草を雇おう。露草の賃金と、おまえへの代金はいくらになる」
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